2020/10/25,31
●2020/10/25
825.
「あーあ」
「どうした」
「作者が、忘れたまんまオヤスミモードに入っちまったよ」
「本当に”あーあ”だな」
●2020/10/31
826.
「兄よ!」
「なんだ!」
「月見をするぞ!」
「乗った!」
827.
「友よ!」
【何? こんな時間に】
「月見をするぞ! 兄も一緒だ!」
【乗ったわ】
828.
「そういえば、お前らの苗字“満月”だったな」
「フッ。だからこそ月見をするのさ」
「随分と酔いしれてるな美々香ちゃん」
「人は満月に、心を酔わせるものなのさ」
829.
「美々香のその、名前への妙なこだわりは何なの?」
「アイデンティティ、とでも言っておこう」
「別にあなたは名前なんてなくても十分個性的よ」
「馬鹿野郎、名前がなかったら変な呼び方されるに決まってるだろう」
830.
「一応、変なやつって思われてる自覚はあるのね」
「フッまあな。自覚ってのは、人間の中で3本の指に入る大事なものなんだぜ?」
「残りの2本は?」
「金と時間」
831.
「で、その片方である時間を使って月見をしてるんだな、俺らは」
「ついでに言うと、この団子買うのに金使ってる」
「更には、今日という日を迎えるまでに多大なる時間と生活費が掛かっている。そのことを、私らは自覚するべきなんだ」
「なんで美々香はいちいち話を壮大にするの?」
832.
「そこに、月があるからさ。月は偉大なんだ」
「それにあやかってビッグになりたいって?」
「細かく説明するのが面倒だが、まあ、そんなところだ。ゆえに人は、空を見上げる」
「ワケわかんないんだけど・・・」
833.
「それはそうと、空だけじゃなくて紅葉も見たらどうだ?」
「おっと、そういやそういう季節だったな」
「月に一度は見れる満月よりもよっぽど見応えがあるだろう。もちろん、どっかの頭おかしい兄妹よりも」
「おい、俺までひとくくりにするなよ」
834.
「それは私のセリフだ。こんな奴と一緒にされちゃあ困る」
「でも見てみなさい? 花見はあんなに人でごった返すのに、月見はほとんど貸切状態。月がいかに大きかろうと、世間の評価ってやつはこうなのよ」
「そ、それは月見が夜限定だからだ!」
「花見も夜までやる人多いけどね」
835.
「諦めろ妹よ。同じ“満月”の名を持つ俺が贔屓目に見ても、桜には勝てんのだ」
「何故だ、何故なんだっ・・・! だが見ろ! 秋だってこんなに綺麗な紅葉があるんだぞ!」
「でもそれ“月”じゃないわよね?」
「う、うわあああぁぁぁぁぁ!!」
836.
「そんなことで喚くなよ。景色見ながら団子でも食おうぜ。やることは花見と一緒だ」
「しかし、何だこの、妙な敗北感は・・・」
「そんなの景色かお団子で晴らせば? 能天気な満月さん? 見えてるのが月でも桜でも、人は踊り狂うものよ」
「く、うおぉぉぉ・・・。叫びたい、今、モーレツに・・・」
837.
「というワケで、歌を歌おうと思う! 兄も付き合え!」
「なんでだよ」
「同じ敗北者じゃないか、“満月”としての」
「お前の勝手な敗北感を俺に押し付けるな」
838.
「ま、いいけどよ。花見だの月見だのってのは、人が踊り狂うものらしいかなら」
「秋といえば、やっぱりこの歌!」
「歌詞が夜の景色に合ってなくないか?」
「なら作るまでだ!」
839.
「つーきよにーひーかーーーりー」
「ゆーらぁめーくーもーみぃじー」
「かーぜにちーるー葉ーーーもー」
「きーらめいーてーおーどーるー」
840.
「「あーきのよーにーまーーーいー」」
「「なーがれるーひとひーらーがー」」
「こーがらしーをーよーーーぶー」
「「しーぐぅれーづーき~~~」」
※最後の歌は「もみじ」(岡野貞一作曲、高野辰之作詞)のメロディで、歌詞は原曲を基にアレンジしてます。