2020/10/18
798.
「主人公たるこの私! 800話を前に鏡になってしまった!」
「鏡になってもメタ発言は忘れないのね。というか本当に鏡になったの?」
「なってるよ! 見て見ろよ!」
「私からすれば、美々香は目の前で寝てて鏡からあなたの声が聞こえるだけなんだけど」
799.
「だから、その鏡が私なんだよ!」
「信じられる訳ないでしょそんなの」
「私だって信じられるかよ! でも、そうなんだよ! 信じてくれよ!」
「どうやって信じろって言うのよ・・・」
800.
「そうだ! 適当な方向に鏡を向けて見ろ! どうせ私の抜け殻は寝てるんだろ? それで鏡が向いてる方向当ててやる!」
「でもそれ、教室のどこかに隠しカメラがあって顔伏せたまま確認できたら一緒でしょ?」
「そんな手の込んだ真似するかよ!」
「あなたならやり兼ねないのよ」
801.
ガラララッ。
「はい、それじゃあ授業始めまーす」
「きりーつ」
「・・・誰か、満月さんを起こしなさい。あと鏡も仕舞って」
802.
「先生」
「どうしました、明星さん」
「彼女は鏡になってしまったそうなので、このまま授業を受けさせるしかありません」
「何を言ってるの。今すぐ起こしなさい。鏡叩き割るわよ?」
803.
「おい! なんだその言い草は! 生徒が鏡になっちまったんだぞ!」
「その声どこから出してるの? 器用なものね。芸人でも目指したら? まあ、あなたは存在自体がお笑いだけど」
「人が鏡になったからって好き勝手言いやがって!」
「サボるならもっとマシなサボり方して頂戴」
804.
「だからサボりではない! ちゃんと見えてるからこれで授業を受ける!」
「いい加減にしなさい。第一、それだと見えててもノートに書き写せないでしょう」
「日頃から書いてないから大丈夫だ!」
「ナメてるの?」
805.
「ナメてなどいない! 本当なんだ! 教師なら信じてくれ!」
「教師たる者、あなたの蛮行を放っておく訳にはいきません。あと5秒で顔を上げないと鏡を叩き割るから、嫌なら早くしなさい」
「やめろ! 今はこれが私の本体なんだ!」
「3、・・・2、・・・1、・・・・・・」
806.
「うわっ。ちょっ、待っ・・・!」
「ゼロ。言い遺すことはある? 鏡になっちゃった満月さん?」
「待て。待っ・・・先生の顔ドアップきっつ!!」
パリィィィィン!!!
807.
パリィィィィン!!!
「・・・・・・え?」
「・・・美々香!? うそ、割れちゃった!?」
「こいつの体、どうなってんだ・・・!?」
808.
「み、美々香の体が、鏡と一緒に割れてバラバラに・・・?」
「これもイタズラ・・・? 手の込んだことを・・・」
シーーーーーーン。
「・・・マジ、っぽくないですか・・・?」