2020/10/04
746.
「兄よ!」
「妹よ!」
「・・・せーのっ」
「「DIY!」」
747.
「というワケで、カッコイイDIY選手権、開催!」
「何なんだよそれは」
「いかにカッコよくDIYが何の略かを考える選手権だ」
「マジで何なんだよ」
748.
「審査員の方々を紹介しましょう。まずは、兄!」
「初耳だぞ。勝手に審査員にするな」
「そして、みずきと、みずき兄!」
「あいつらもなのか」
749.
「全く。変なことに巻き込まないでちょうだい」
「やるのは別に構わんが、俺たちが審査員なら誰が出るんだ、この選手権」
「確かに。どうすんだよ美々香」
「案ずるでない。出場者は、こちら! 母! 父! クレセント! そして、生活指導の谷崎!」
750.
「なんだい、またワケのわからないことを始めて」
「こっちも暇じゃないんだ。サラリーマンを甘く見るな」
「にゃおーーーん!」
「これでも一応公務員なんだが」
751.
「では母からいってもらいましょう! さあ! D・I・Yを頭文字に言葉を作るがいい!」
「何だって? そうだね・・・どこに、行ってるのさ、夜ご飯冷めちまうよ」
「おおーっとぉ! まさかの日本語! 昨日父の帰りが遅くて呟いてたセリフだぁーっ!」
「親父、今、目が泳いだぞ」
752.
「さぁ点数を見てみましょう! 兄、5点! みずき、5点! みずき兄、5点! 何とも言えない!」
「相対評価でやることにしたから、中間点だ」
「お兄さんと同じです」
「中身は悪くなかった。しかし、やはり英語を使わなかったのは評価を下げざるを得ない」
753.
「では続いて、父!」
「くっ、じゃあ・・・どこだって、いいじゃないか、よ」
「あぁーっとぉ! 完璧に逃げの一手だぁ!」
「弁解のチャンスを棒に振ったな」
754.
「では点数をどうぞ! 兄、2点! みずき、1点! みずき兄、0点!」
「母さんのやつに回答した努力は認める。だが、肝心の中身がダメだ」
「“回答”ということは、それ単体では作品になり得ない。1点は情けです」
「致命的なまでにダサい。これは“カッコイイDIY選手権”のはず」
755.
「我が父ながら酷い点数となったぁーっ! 次! クレセント! ボードに書いての発表だぁ!」
<December Is Year – end>
「ここへ来て初の英語作品だぁーっ! さすがクレセント!」
「それはいいんだが、中身単純過ぎないか?」
756.
「さぁて点数は~? 兄、3点! みずき、3点! みずき兄、7点!」
「12月は年末などという真理を3文字に略されても困る」
「いくらクレセントちゃんでも、猫の割には頑張ったとかで加点する訳にはいかないの。ごめんね」
「カッコイイかはともかく、英語を使ったことは評価したい」
757.
「暫定1位は母の15点のまま! 最後! 生活指導の谷崎!」
「ん゛ん゛っ、あー・・・。ドウター・イズ・ベリーヤング」
「は・・・? 最後Yになってないんだが・・・?」
「谷崎には期待していたんだがな。残念だ」
758.
「はい、点数をどうぞ。兄、1点。みずき、0点。みずき兄、0点。ま、当然っしょ」
「我が子が可愛いのは分かるが、ルールを無視してもらっては困る」
「教育者のすることではありませんね」
「“DIY”になってない以上、点数は与えられない」
759.
「というワケで優勝は、母!」
「なんだい、アタシが勝ったのかい」
「かなり低レベルな戦いだったがな」
「まともに英語で“DIY”出したの、クレセントだけだったしな。しかも優勝してない」
760.
「本日の優勝賞品は~~っ? 昨日の真実を知る権利!」
「へえ、そいつはいいモンだねえ。さっさと教えてくれないかい」
「父は昨日、プレゼントを買いに行っていた!」
「くっ・・・」
761.
「そういや、もうすぐ母さんの誕生日だったな」
「そ、そうなんだよ。サプライズにしようと思ってたのに、全く」
「なんだい、そんなことだったのかい。なら早く言ってくれれば良かったのに」
「それを無理矢理聞くのは野暮ってモンだぜぇ? 母さん」
762.
「しかし! そのプレゼントは来週! 父の隣に座る女性社員に贈られる!」
「み、美々香、お前、な、なっ・・・」
【ザーーーーーーーーー】
「えー、都合により映像が乱れております。再開が困難ですので、本日の放送は以上とさせて頂きます。ご視聴ありがとうございました」




