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2020/08/29

613.


「よし! 夏祭りに行くぞ!」


「でも浴衣はないんだな」


「そんな高尚なものを私が持ってるワケないだろう!」


「確かに。てか浴衣でウロついてる人って、あれどこで手に入れてんだろうな」



614.


「お、みずきも浴衣なしか。仲間だな!」


「持ってるワケないじゃないの。美々香と一緒っていうのは気に食わないけど」


「ま、やっぱそんなもんだよな」


「ですがお兄さんとの特別な日にはちゃんと着てきますよ?」



615.


「おい、これ見よがしにアピールするな」


「しょうがないじゃないの。前回でかなりイメージダウンしちゃったんだから」


【ああ、井戸にゃん、ああ・・・!】


「ちょっ!? 何でそんなの撮ってんのよ!」



616.


「あんな極上のネタを放置するワケがないだろう? ああ、井戸にゃん、ああ・・・!」


「やめなさい!」


「こっちは大変だったんだからな? その辺わかってんのか? お?」


「くっ、何も言い返せない・・・」



617.


「おーい、2人ともー、行くぞー」


「「はーい」」


「お前、妹の面倒ちゃんと見てろよな」


「涼太にだけは言われたくなかった台詞だが・・・否定できん・・・」



618.


「どうするよ? とりあえず金魚でもすくう?」


「“とりあえず”なんかで捕獲される金魚が可哀想だな」


「じゃあ積極的にすくいに行こうぜ? 」


「“じゃあ”で捕獲されても一緒だろ」



619.


「生き物は既にクレセントがいるからなー」


「リリースすれば問題ないっしょ? 私は今! 猛烈に金魚すくいがしたいんだ!」


「今さら取って付けたように言うなよ」


「理由なんて後付けでもいいのさ! その場その場で自分のやりたいことをやる! それが祭りだ!」



620.


「その理屈だと美々香の人生はまるっとお祭りってことになるわね」


「感謝しろよ? 私のお陰でお前ら毎日楽しく過ごせてるんだぞ?」


「毎日脳内お花畑フェスティバルに巻き込まないでちょうだい」


「人を巻き込んでこその祭りなのさ。同じアホなら踊らにゃソンソン!」



621.


「アホは美々香1人だけなんだから1人で踊ってなさい」


「いや1人でだって踊るな。美々香のことだから確実になんかやらかす」


「お前ら何のために祭りに来たんだよ?」


「「美々香を1人で行かせるとヤバいから監視」」



622.


「んなこと言っとりますがどう思いますか? みずき兄にして我が兄の友よ」


「俺は俺で妹の監視だ。この間のこともあるからな」


「失礼しちゃうわね。もうあんなヘマはしないわよ。たとえ井戸にゃんグッズの景品があろうとも・・・あ・・・あれは・・・!」


「「「おい待て!!」」」



623.


「ハァ、ハァ・・・。いけないわ。私としたことが」


「マジで大丈夫かよ、コイツ」


「射的とかお面屋とかには近寄らん方がいいかもな」


「それでお願いするわ。ハァ・・・金魚すくいにしましょう」



624.


「結局金魚すくいになったな」


「しょうがないだろ。花火始まる前にみずきバグるとメンドいし」


「でもこれだとどこが井戸にゃんグッズのある危険な出店か分からないわね。ハザードマップとかないのかしら」


「マジで何のために祭りに来たんだよ、俺ら」



625.


「へいらっしゃい!」


「ここってリリースあり?」


「いいよぅ! 近頃は持って帰れない人も多いからねぇ!」


「うっしゃ。とりあえず1回やるわ」



626.


「私もやろうかしら。とりあえず気を紛らわせたいわ」


「見ただけで取り乱すようになるとは、相当重症だな、みずき」


「へい! 嬢ちゃんたちにはこっちの可愛いタイプだよ!」


「あ・・・あ・・・・・・! 井戸にゃん・・・!!」



627.


「みずき! 早く手を離せ!」


バチン!


「うおっ、どうしたんだいお嬢ちゃん!?」


「おっちゃん! コイツには普通の丸いやつを頼む。猫アレルギーなんだよコイツ!」



628.


「アレルギーったって、それただのプラスチックだぞ?」


「ダメなんだよ! コイツには! もう姿かたち見ただけで禁断症状起こしちゃうアレルギーなんだよ!」


「よくわからんけど、そういうことなら、まあ」


「恩に着るぜ」



629.


「ゼェ、ハァ・・・。まさかあんなところに伏兵が潜んでるなんてね」


「結局みずき、あのあと手ぇ震えまくって1匹もすくえなかったしな」


「しょうがないじゃないの。“井戸にゃん”を前にどう平静を保てばいいというの?」


「普通に保てよ。高校生だろうが」



630.


「腹減ったなー。なんか食うかー」


「そうね。食事にしましょう」


「ジャンクフードしかないけどな」


「私の心をかき乱さないものなら何でも構わないわ」



631.


「お。私やきそばにしよっと」


「暑いし俺はかき氷だなー」


「私はりんご飴にしようかしら。こういう時にしか食べないのよね」


「肉の気分だし、俺はフランクフルトだな」



632.


「てかみずき晩飯りんご飴でいいのかよ。何も食って来てないんだろ?」


「その時に食べたいものを食べる。それがお祭りなんでしょ」


「その基準で言ったらみずきは毎日お祭り状態だな」


「は? ケンカ売ってんの?」



633.


「お前ら、祭りに来てまでつまらん争いをするなよ」


「では、どういう時にすればいいのか!」


「つまらん争いなんていつの日もするなよ」


「いいじゃないか! つまらんことで争いたくなる時が、人間にはあるんだよ!」



634.


「どんな時だよそれは」


「その時の気分によるとしか言いようがないねえ!」


「とりあえず、お前ら兄妹がいつもつまらん争いをしてるのはよく分かった」


「今のはその最たるものだったわね」



635.


「こういう不毛な経験を繰り返して、人間は成長していくのですねえ」


「それだと成長するのは体だけよ」


「その結果の美々香だろ」


「そうでしたわね、お兄さん。私としたことが、長いこと美々香の友だちをやってて見落としてしまったわ。ああ、人って成長できないものね」



636.


「花火って何時からだっけ?」


「あと1時間ぐらいじゃね?」


「作者が、疲れたから明日に回すってさ」


「おかしいな。最初から土日に分ける構成だったはずだが。まぁアレか、どう締めればいいから分からんからメタ発言させて強引に…スゥッ」

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