2020/08/15,16,22
●2020/08/15
564.
「兄よ!」
「妹よ!」
「・・・せーのっ」
「「お盆休み!」」
●2020/08/16
565.
「作者が~♪」
「今日も~♪」
「休みたい~♪」
「「ら~~~し~~~い~~~~~~♪」」
●2020/08/22
566.
「よし! 金が手に入ったぞ!」
「それで、なんでゲームセンターなのよ」
「手に入れるべきものが、そこにあるからさ」
「たかがゲームの景品で何言ってんのよ」
567.
「“たかが”だと! ナメるな! そこにはなぁ! 夢と愛とロマンが詰まってるんだよ!」
「ヌイグルミに詰まってるのはワタだけよ」
「そのワタの! 毛の1本1本の魂が! それを包むフォルムの! 一寸も狂わぬ曲線美が! 私を突き動かすんだ!」
「はいはい、頑張って取ろうね」
568.
「全く。これだから素人は」
「ヌイグルミ集めに素人もプロのあるの?」
「あるんだよ! 道の数だけ、それを極めし玄人の領域が!」
「だからそもそもヌイグルミ集めは“道”なのかって話なんだけど」
569.
「“道”だと言えるねぇ! 人間の行う全てのことは、我らを想像絶する世界へと連れて行く道なのだ!」
「私はゲームセンターに連れて来られただけよ」
「それは“想像絶する世界”を見たことがないから言えるだけだ!」
「だからゲームとかヌイグルミでそこまで語らないで?」
570.
「はぁ、全く・・・呆れたものだ。我が友人ながら恥ずかしい限りだな」
「私はあなたの友人であること自体が恥ずかしいんだけどね?」
「そんなことを言ってられるのも今のうちだ。ほら見ろ、着いたぞ」
「あれは・・・」
571.
「“井戸にゃん”じゃないの。私も知ってるわよ? 人気よね」
「ほう、まだ冷静さを保つというか。だが、“井戸にゃん”を手にした時にまで立っていられるかな?」
「どうやればヌイグルミ抱っこしただけで倒れるのよ」
「そのヌイグルミが“井戸にゃん”だった時さ」
572.
「その姿を視覚的に見ただけでは見えない世界ってやつがあるのさ。それを手にした時、そこに我らを連れて行ってくれるのが“井戸にゃん”だ」
「そこまで言うなら取ってみなさいよ」
「無論だ。そのために来たのだからな」
「はぁ、やっと始まるのね・・・」
573.
「500円で3回か。つまり! チャンスは18回!」
「そんなにやるの?」
「当然だ! いいかみずき! こういうのはな! 私ら風情が1回や2回で取れるもんじゃないんだよ!」
「だからわざわざ熱く語らないで」
574.
「よし! ちょっと動いたぞ! 1回目にしては上出来だ!」
「本当に長期戦ね・・・でも18回で取れる? 微妙じゃない?」
「その時はみずきに金を借りる! 何のために呼んだと思ってるんだ!」
「フザけてんの?」
575.
「だいたい、想像絶する世界ってやつを見せてくれるんじゃなかったの?」
「そんなものはオマケだ! そもそも当初はみずきがそこまで無知とは知らなかったからな」
「それで人のお金使って教えるなんて恥ずかしくないの?」
「“井戸にゃん”を手に入れる、これが全てだ!」
576.
「ゼェ、ハァ・・・よし、10回で明らか半分以上進んだんじゃね?」
「上手く行くんならそれはそれでつまんないわね」
「おい! お前には友を応援する心がないのか!」
「ないわよ。あるとするなら、お金が足りなくなった美々香に土下座させる心ね」
577.
「そんなものは心とは言わん!」
「私自身の感情である限り、それは心なのよ」
「くっ、この・・・クズめ!」
「金を借りるために呼び出した人に言われたくないわよ」
578.
「うおっ! 変な形にひっくり返った!」
「あら、面白くなってきたじゃない。これつかむの難しそうねえ?」
「くっ、人の苦境を楽しむとは・・・!」
「見せてくれるんでしょ? 人間が辿り着ける、想像絶する世界ってやつを。とても楽しみだわ」
579.
「ああ! 見せてやろう! みずきが想像だにしない、とんでもない方法で“井戸にゃん”を取ってやる!」
「へえ。見せてごらんなさいよ」
「行くぞ!! ・・・・・・すみませ~ん! 店員さ~~~ん!」
「はあ!?」
580.
「これちょっと変な形にひっくり返っちゃってぇ、立ててもらってもいいですかぁ??」
「はい、大丈夫ですよ」
「みみ、か・・・。あんた・・・・・・」
「ん? どうかした?」
581.
「あんた、あれだけ言っといて恥ずかしくないの?」
「恥ずかしいもんかよ。人間ってのはなぁ、イザとなればどんな手段も取れるんだよ!」
「呆れた・・・いや、美々香に期待する方がバカなのよ、きっと」
「随分な言い草だなぁオイ。この程度はやってのけなきゃ生きて行けないぜ?」
582.
「終わりました。続き、頑張ってくださいね」
「ありがとうございまーす!」
「・・・・・・はぁ」
「オイオイいつまで引きずってんだよ。これくらいゲーセンじゃ当たり前だぞ?」
583.
「これが日常茶飯事なのは問題じゃないのよ。世界がどうとか言いながら平然とこれをやっちゃうのがどうかしてるって言ってるのよ」
「想像だにしないものを見せるって言っただろ?」
「逆の意味で想像だにしてなかったわよ。ホントに凄いわよ、あんた」
「だろ?」
584.
「よっしゃ続きをや・・・これ、ちょっと戻ってね?」
「良かったじゃない。5回ぐらい多く遊べるわよ」
「あいつ・・・! 私の“井戸にゃん”への愛を利用しやがった! 許さん!」
「あなたの思ってるほど世界ってやつは甘くないのね。勉強になったわ」
585.
「チキショーー!! 3000円で取れなかったーー!!」
「残念だったわね。ま、それが美々香の限界だったってことで」
「み、みずき・・・!」
「お金なら貸さないわよ? 想像だにしない手段でさえないし」
586.
「じゃ、じゃあ、みずきがやってみろ! 難しいんだぞこれ!」
「そのくらい見てれば分かるわよ」
「ここまで来てやめるのかよ! あとちょっとなんだぞ!」
「あなたのお金でやるんならいいけど」
587.
「はあ? みずきがやるんだからみずきの金に決まってるだろう?」
「じゃあ取れたらこれは私のものね」
「そんな殺生な!」
「あなたの方がよっぽど殺生よ」
588.
カコン。
「「あ」」
「・・・取れたわね」
「なん、だと・・・・・・」
589.
「なぜだ! なぜみずきがやった時に限ってそう都合のいい動きをする!」
「日頃の行いの差よ。世界ってやつはちゃんと見てくれてるのね」
「それは認めよう! だから頼む! その“井戸にゃん”をくれ! 私たちの友情の証に!」
「あなたとの友情? 笑わせないで」
590.
「くっ・・・では言い方を変えよう。この千円をくれてやる。だからその“井戸にゃん”をよこせ」
「あなた何しにゲームセンターに来たの?」
「“井戸にゃん”を買いにだ!」
「ゲームセンターは買い物をする場所じゃないわ」
591.
「くっ、ここは・・・!」
「ちょっと美々香。まさかまたやる気? もらったお小遣い3000円だったんでしょ?」
「もらった小遣いが3000円だったからと言って、財布に3000円しかないワケじゃない!」
「それ、際限なく使い込んじゃうやつよ? やめなさい、世界が見てるわ!」
592.
「スタッフ~~!! “井戸にゃん”を、もう一度ここに!」
「はぁ・・・やっちゃった。どうせまた何かあって3000円じゃ取れなくなるやつよ」
「フッフッフ・・・それはどうかな」
「今度は何たくらんでるのよ」
593.
「お待たせ致しました」
「よく来たなスタッフ。さあ、交渉の時間だ」
「何の交渉をするのよ」
「無論! “井戸にゃん”を直接もらう!」
594.
「お客様、さすがにそれは・・・」
「なぜだ! これはどんな下手クソがやっても3000円あれば取れるようになっている! そこで! 始めから3000円払うと言っているのだ!」
(さっきできなかった癖によく言うわね)
「断るなら他の店に行くぞ! ここには1銭も払わん! いいのか!」
595.
「・・・では、実際に3000円分やって、もし取れなかったら差し上げますよ。それでいいですか」
スゥッ。
「こいつはお前の懐にくれてやる。だからさっさと“井戸にゃん”をよこせ」
「・・・お客さん、よく分かっておいでで」
596.
「よっしゃー! ゲットだー!!」
「あなた、ホントに恥ずかしくないの? あんな、ゲームのルールを無視するようなやり方で」
「恥ずべきことなんて無いねぇ! いかに店員を懐柔するかまで含めて“ゲーム”センターなのだよ!」
「そんな遊び方しないで」
597.
「あなた今日6000円使ったわよ? 確かに可愛いけどヌイグルミ1つでそんな・・・」
ビリッ、ビリリリリッ!
「あ・・・。あ・・・・・・」
「ん? どうしたみずき?」
598.
「みずき? おーーーい」
「井戸・・・にゃ・・・。井戸にゃ・・・・・・」
「え? おい、みずき? しっかりしろーー。・・・・・・マジ?」
「・・・・・・井戸にゃーーーーーーーん!!」




