2020/07/11
442.
「兄よ!」
「妹よ!」
「・・・せーのっ」
「「かいわれ大根!」」
443.
「フッフッフ。今度こそかいわれ大根を話題にする時が来たな」
「何の脈絡もなかったけどな」
「にゃ~~ん」
「お、クレセント。どうした」
444.
「にゃ~~ん。にゃ~んにゃ~ん」
「なに? 444話だから身の安全に気を付けろって?」
「絶対違うだろ。猫がそんなこと気にするかよ」
「ほう? だが猫を甘く見ないことだな」
445.
「仮に猫に人間並みの知能があったとして、メタ発言などするかよ」
「わからないぞぉ? 猫だって生きてるんだ。猫というだけでそういう決めつけをするのは人権侵害だぞ!」
「猫の“人権”って何だよ」
「にゃ~~~ん」
446.
「でもなんかストレス溜めてるっぽいな。雨ばっかでずっと部屋ん中いたし散歩でもしてやるか」
「だな。今日は雨降ってないし」
「にゃにゃ~ん」
「お? “さんせーい”だってよ」
447.
「そんなワケでレッツ散歩!」
「にゃ~~ん!」
「外出たはいいけどドコ行くよ」
「公園でよくね?」
448.
「ワン! ウーーー、ワン!」
「野生の野良犬が現れた!」
「野生じゃない野良犬はいないだろ」
「クレセントが怯えている! どうする! 戦う、逃げる、オート!」
449.
「オートって何だよ。俺ら自動で動くのかよ」
「作者に身を任せるってことさ」
スゥッ。
「美々香が消されたーー!」
450.
「くっ、ここは・・・逃げるぞ! クレセント!」
「にゃー!」
「何!? 追って来やがる・・・! ここはアイテム、煙玉!」
ボワ~~ン。
451.
「ふぅ、何とか振り切ったな」
「主人公ふっかーつ!」
「何だよ、戻って来たのかよ」
「私がいなきゃ物語が始まらないだろ?」
452.
「いや、これクレセントの冒険だからな」
「そんなことを言ってる間に次の刺客が来たぞ」
「おや、お嬢ちゃんたちもお散歩かい?」
「ワン! ワン!」
453.
「野生の飼い犬が現れた!」
「飼い犬って時点で野生じゃねぇだろ」
「どうする! 戦う、逃げる、アイテム!」
「“オート”が消えたな。てかリードで繋がってんだから戦わなくてもいいだろ」
454.
「クククク・・・それはどうかな、お兄さん」
「何?」
「ここで会ったが百年目! ゆくぞ、ジロー! 十万ボルトだ!」
「ぐわああああぁぁぁぁぁぁ!!」
455.
「兄がやられた! くっ、マズい。しかしクレセントは犬とは戦えん・・・!」
「にゃー! にゃー!」
「え? 任せろって? それじゃあ、相手が電気ならこっちは地面だ! クレセント、じわれ!」
「にゃ゛ーーーーーー!!」
456.
「な、なに・・・っ!? どああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「フッ、我々の勝利だな。地割れの中に沈めてやったぜ」
「く・・・お・・・」
「お? 瀕死の淵から蘇ったな?」
457.
「何でただの散歩で余所さまの飼い犬に襲われなきゃいけないんだよ」
「すれ違いざまにバトルは基本だろ?」
「それはゲームの中だけであって欲しいぜ」
「おっと、また誰か来たようだ。公園も近いしボス戦だな」
458.
「あら? 美々香に・・・お兄さん! こんにちは。この間の猫ちゃんの散歩ですか?」
「野生のみずきが現れた!」
「誰が野生よ。あなたの方がよっぽど野生児じゃない」
「戦うぞ! クレセント!」
459.
「はぁ? 戦うとか意味わかんないんだけど」
「くっ、ここはまず相手の出方を見て後から弱点をぶつけるのがいいだろう」
「だから何の話なのよ」
「友よ。戦いというのはな、出会った瞬間から始まっているのだよ」
460.
「ワケの分からないこと言ってないで公園に入るわよ。散歩でしょ」
「ここを通りたくば我らを倒してから行け!」
「いい加減にしてくれないかしら・・・!」
「みずきの怒りのボルテージが上がっている・・・!」
461.
「ああもう! 何なのよさっきから!」
「みずきがキレた! あれは・・・“げきりん”! つまりみずきはドラゴンタイプ! クレセント! チャームボイス、つぶらなひとみ、てんしのキッスの3段攻撃だ!」
「にゃ~~ん♥」
「あら・・・かわいい・・・♥」
462.
「よし、ことなきを得たな」
「さっきのは一体・・・? 記憶が曖昧だわ・・・」
「まあいいじゃないか友よ。こうして公園に到着したんだからひと休みしようぜ」
「そうね・・・」
463.
「にゃ~~ん」
「ん? どうしたクレセント?」
「にゃ~~ん、にゃんにゃ~~ん」
「え? “かいわれ大根はどうした”って?」