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2024/07/14

 5473.


「「「ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ・・・」」」


「えー、皆様、お静かにお願いします」


「「ざわざわ、ざわざわ・・・」」


 しーーーーーん。


「皆様、本日はお集り頂きありがとうございます。お時間になりましたので、緊急集会の方を始めさせて頂きます。進行はわたくし、サバ令嬢こと金蓮寺真琴(きんれんじ・まこと)が務めます。早速ですが美々香さんより、本日の主題について発表をお願いいたします」


「ああ」


 コツ、コツ、コツ、コツ。


「ゴホン。みんな、今日はよく来てくれた。集まってもらったのは他でもない。ついにこの時が来てしまったからだ。何となく察しているとは思うが・・・作者が、無期限の活動休止を決断した」


「「「わあああぁぁぁぁぁ・・・っ!」」」


「皆様、お静かにお願いします」


「これの後でいくつかの作品の投稿をするが、そこで区切りだ。すぐに無期限活動休止に突入する。当然ながら、私たちの話も止まる。

 活動休止の理由はこうだ・・・“このままでは、みっともないおじさんになってしまう”。もう少し詳しく話そう。奴は民間企業で働いており、藤見倫としての活動は趣味の領域だ。そしてそれは、誰にも言っていない。まぁ、こんなの書いてるなんて恥ずかしくて言えんわな。

 さて、奴は主任に昇格してしまった。明確に部下を持つ立場だ。新人の採用にも絡む。休みの日に何をしようと自由なのはそうなんだが、奴の中で、“部下を持つ立場として自分はどうあるべきか?”を考えた時に、小説は残らなかった。奴の理想の未来像に、小説を書いている姿は残らなかった。何も、隠れて小説書いてることが“みっともない”と言うんじゃない。小説を書くことに費やされる時間と、いつしか募ってしまった義務感覚に苛まれる日々が、いつしか自分を“みっともないおじさん”にしてしまうと、奴は確信を持つに至った。私も、それは間違いないと思う。

 奴が一番恐れているのは、ひと目見た瞬間に“こいつとは関わりたくない”という人物に、自分自身がなってしまうことだ。奴は、自分は人に興味ない癖に、自分が人にどう見られるかは人一倍気にする。せめて、せめて、人として恥ずかしい存在にはならないように、そのために必要なこととして、奴はこの活動を手放す決断をした。

 引退ではなく無期限活動休止なのは、いつかきっと暇になる日が来るからだ。いつか職を失うか、遅くとも定年になったら辞めて田舎に帰る。いつになるか分からないが、必ず、暇になる時が来る。だから仕事と向き合わなければならない時にまで、自分を磨かなければならない時にまで、やる必要はないんだ。誰にも言ってない趣味だし、人に披露できるような芸でもない。

 長くなったが以上だ。みんな思うところはあるだろうが、結論は変わらない。奴に心の余裕が生まれた時に、また私らの物語を書いてくれることを、節に祈ろう」


「美々香さん、ありがとうございました。では質疑応答に移ります。質疑のある方は挙手をお願いします。・・・では初めに、崇さん」


「失職するか定年になったら再開という話だったが、それまでは本当に一切書かないのか?」


「“一切”とまでは言い切らない。奴も人の子だ。ふと書きたくなって書くこともあるだろう。なんせ既に、このあと更新する他作品を書き上げた時に、“これで終わりなのか”と寂しさを覚えたぐらいだからな。暇なときに何か書くことは有り得るだろう。

 その時は、一瞬だけ活動再開してまたすぐ活動休止と捉えてくれればいい。ただし、期待されても困るから言っておくが、そんなことは年に一度もないと思え。でなければ、わざわざ無期限活動休止なんてしないからな」


「分かった。じゃあその“暇な時”を、期待せずに待つとしよう」


「ありがとうございました。では次、美々香さんのお父さま」


「“もし失職したら”という話があったが、それはどれくらい有り得そうなんだ?」


「それは作者自身にも分からない。ただ本人の予感として、定年まで今の会社で自分に仕事があるとは思えない、というのはあるらしい。

 奴としても、今の会社に窮屈さを感じていて環境を変えたい思いはあるそうだが、高卒で30過ぎちゃってるから転職も簡単ではなく、退職イコール脱サラで第2の人生突入のつもりでいて、いられる限りは今の会社にいてとにかく金を溜めるつもりのようだ。ひとつ例外として、事業売却で他社に移る可能性はある。そのパターンだと何らかの仕事は与えられるからすぐに辞めることはないだろう」


「そうか。あいつの作ったシナリオの都合で孫会社に移された上に早期退職に遭った身としては、あいつも苦労して然るべきだと思うがな」


「まぁそう言ってやるな。退職後に小説を書くのは、当然ながら奴自身の生活が成り立つことが前提になる。日雇い労働の日々を過ごされたら厳しいだろう」


「ふん。是非経験してもらいたいものだが」


「それでは次、遠藤先生」


「遅ければ定年になったら、とのことだけど、定年はいくつなの?」


「そんなの何十年もあればルールが変わっちまうだろうから分からん。ただ作者の中には、定年がどれだけ引き延ばされようとも60歳で辞めたいという思いはある。実際に辞めることができるかは別問題だが」


「そう・・・分かったわ。ありがとう」


「それでは次・・・雷太君」


「ばぶ! ばぶばぶばぶるばぶりんぶぅ!」


「佐藤純さま、通訳をお願いします」


「いいよ。えっと・・・今年のボクの最初の出番の回がこれとはどういうことだ。1回普通の話をしてから今日の発表でも良かったんじゃないかって。あたしも思うよ、これ」


「佐藤姉弟の言いたいことはもっともだ。ただでさえ、雷太は7月のみ、純も6~7月しか出番がないのに、6月は前回1回で短く、7月はこれだからな。

 これに関して、作者から2人へのメッセージはこうだ。・・・“ごめんなさい”」


「ばぶりんぶぅ!?」

「えぇっ!? それだけ!?」


「私は預かった言葉を伝えただけだ。悪く思わないでくれ」


「ばぶぅ・・・」

「そんなぁ・・・」


「次、美々香さんのお母さま」


「今日でいきなり活動休止とか言ってるけど、それを決めたのはいつだい?」


「考え始めたのは3月で、主任昇格が決まった時だ。最終的な決断は5月にしている。詳細は省くが、大きな仕事が入ることが確定したためだ。とてもではないがこれを続けながらでは無理だと判断し、活動休止を決めるに至った」


「そうかい。まぁ、どうでもいいけどね」


「他に質問はございませんでしょうか。・・・なければ最後に1つ、わたくしから。作者さんは、藤見倫としての活動を始めたことを後悔しているのですか?」


「結論から言おう。後悔はしていない。多少なりの人生経験にはなったし、正解だったとすら思っている。それと同時に、今回の活動休止も正解だと思っているがな。小説を作りネットに上げることで得られる経験も頭打ちになってしまったが、1つ救いなのは、自分の作品を改めて読んだときに、笑うこともできたことだ。だから奴にはまた、書きたくなる時が来るだろう」


「そうですか・・・それが聞けて良かったです。他に質問はないですね。次に移ります。美々香さんから簡単な説明をお願いします」


「ああ。・・・私たちのこの作品についてはガッツリとメタ発言も出て来るが、作者がメタ要素をあまり好かないことから、他作品では一切ない。なのでこういった形で活動休止を作中で発表することもできない。

 という訳で、未完結作品の主人公に来てもらって挨拶してもらうことにした。一応この後に作品そのものの更新もあるが、それだけじゃ味気ないからな。作者はメタを嫌うと同時に自作品同士のコラボも嫌うのだが、今回はコトがコトなので仕方ない。こういった形で主人公から言葉をもらうに至った。

 なお、完結作品については無い。私から作者に打診はしたんだが、“辞退されるのが目に見えてるからやめておく”とのことだった。確かに、完結作品の登場人物がこの場に来て話すのも気が引けるだろうから、無理もない。という訳で早速、未完作品主人公の挨拶に移りたいと思う」


「美々香さん、ありがとうございました。今ありましたように、未完結作品の主人公の皆様より、挨拶をいただきます。まずは、“マッド才媛キョウコ”の厳木さま、よろしくお願いします」


「ええ」


 コツ、コツ、コツ、コツ。


「初めまして。厳木鏡子よ。今回はみんなと同じく、未完のまま作者さんが活動休止することになったわ。でも私は、そこまで悲観はしてないの。作者が書かなければ登場人物たちは生きられないという考えもあるかも知れないけど、私の考えはそうじゃない。そんなものは“作者さんの世界での常識”なんだから、私たちまで従う必要はないのよね。

 作者さんがこれまでしていたことは、話を作っていたのではなくて、私たちの身に起きていることを見物して作者さんの世界の人たちに届けていたことよ。だから、書かれなくなったとしても、生きる死ぬへの影響はないわ。書かれなくなってしまうけど、私たちは私たちの生活が続く。見てもらえなくなることは寂しいけどね。

 悪い気分じゃなかったわ。まぁまぁ色んなことが起こるし、私自身も起こすから。それを作者さんが観測して、文字に起こして、作者さんの世界の人たちに届けれられて、1人でも楽しんでくれる人がいたのなら、それはとても嬉しいことだと思う。作者さんが忙しくなって私たちの日常を届けてもらうことができなくなったけど、私たちは変わらず生きて、見なかったことを後悔させるほどの楽しい日々を過ごすだけよ。私たちの時が止まる訳でもない。作者さんは好きな時間軸を選んで観測することができるんだから、観測さえすれば残せる記録が溜まっていくだけよ。

 突然のことでみんな困惑したり、心に穴が開いた気分になったりしてる人もいると思うけど、今まで通り楽しくいきましょ。自分たちを見てくれる人がいなくなったぐらいのことで、私たちの魂は死なないわ。彼に余裕ができて私たちを覗きに来た時に、“もっとみんなを見ていたい”って思えるような姿を見せるわよ。私たちにはそれができるんだから、誇りを持っていきましょう。以上よ」


「厳木さま、ありがとうございました。続きまして、“健也君の女子寮生活”の竹下さま、よろしくお願いします」


「ああ。・・・スゥーーーッ。フーーーーーッ。

 はっ、初めまして。竹下健也って言います。新参者で、実はまだ1話も出てないんすけど、この後3話だけ作者さんの世界で出ることになってます。あー敬語むず・・・タイトルから分かるかも知れないけど、恋愛系の話だ。俺が、親戚がやってるシェアハウス的なのに引っ越して、自分以外はみんな女子なんだ。

 正直なところ活動休止の実感が湧かないんだけど、個性豊かな住人たちに振り回されまくるから、さっき厳木さんからも話があった通り、見てて楽しいものだと思う。まだ始まったばかりだけど当事者としてはバッチリどたばたしてるし、ふと暇なときに作者さんが覗きに来た時に、何話分も書きたくなってしまうようなものになってるはずだ。作者さんの世界には届けられるとして、俺も他の人たちの話を見れてるからこっちの話もこの場の皆が見れるのかな。だとしたら、俺たちの話も楽しみにしてて欲しい。作者の人が活動休止するって時に言うのも難だけど、これからよろしく」


「竹下さま、ありがとうございました。次で最後となります、“ハーレムなんて許さない!”の姫島さま、よろしお願いします」


「はい。・・・皆さん、初めまして。“ハーレムなんて許さない!”の姫島このみです。“健也君の女子寮生活”と同じくまだ話が公開されてなくて、この後で1話だけ出ます。で、私たちも恋愛やります。だって、ずっと女子高だったところが共学になって男子が来るんだもん。それがタイプの子だったら独り占めしたくなっちゃいますよね。元女子高ゆえにそうは問屋が卸さないんですけど、並み居る強敵たちを退けて、絶対勝利を目指します!

 正直、何人もの女の子に言い寄られてズルズルとはっきりしない態度を取り続けるのはどうなのって思いますけど、あんまり言うと竹下くんが困ってしまいそうなのでこの辺にします。恋のライバルが何人も現れてしまった女子の視点を、作者さんが書いてくれる範囲でですが皆さんにお届けできればと思うので、どうぞよろしくお願いします」


「姫島さま、ありがとうございました。集会のメインプログラムは以上となります。立食形式にて食事を用意しておりますので、皆様ご歓談ください」


「「「ガヤガヤ、ガヤガヤ・・・」」」


「厳木~~~っ!」


「ん? あぁ、あなたは」


「感動したっ! 私たちは・・・私たちは、生きてたんだな・・・!」


「当然でしょ。いきなり何を言い出すのよ」


「作者がいなければ、私たちの時は止まると思ってたんだ・・・だが、私が間違ってた! いつの間にか、作者の世界の常識に囚われてしまったんだ・・・! それを解き放つとは、さすがマッド才媛。私には、その一手を繰り出すことができなかった・・・っ。まだまだ修行不足のようだ・・・っ!」


「あなたは何と戦ってるのよ」


「色んなものさ。富、名声、力、そして借金取り」


「借金ぐらい返しなさいよ。私、お金にルーズな人とは関わらないわよ?」


「でぇじょうぶだ。誰かに金を借りてでもあんたへのお代は払うから」


「それで大丈夫と言い張れるのが凄いわね・・・でも本当に、作者さんが文字に起こした通りの人ね。実際に会えて光栄だわ」


「おぉ! やっぱりそっちでも見れるようになってたんだな! 私もあの厳木鏡子に会えて光栄だぜ」


「自分の世界でだけは、自分たちがどう書かれてるかが分からないんだけどね」


「そうなんだよな、どうせロクでもない書かれ方をされてるんだろうけど」


「それは間違いないわね。なんせ私たちは、」


「「主人公だから」」


「ふっ、ふふふっ・・・」


「あぁ~~っはっはっはっはっはっは!」


 --------------------------------


「こんにちは」


「あぁ、こんにちは。大曲さん、ですよね。明星みずきです」


「えぇ、よく知ってるわ。お互い苦労するわよね」


「はい、それはもう・・・言葉では言い表せませんよ」


「苦労の一言なんかで片付けたくもないほどに、ね。でもこうして、自分がどんな目に遭ってるかを見てくれる人と話ができるなんて、嬉しいわ」


「私もです。あなたとは、主人公に振り回される友人同士、お話しがしたいと思ってました」


「作者さんの活動休止で、私たちの苦労が誰にも見られなくなってしまうというのは、さすがにちょっと寂しいけどね」


「えぇ。ですが、文字に起こされなくなるというだけで、私たちの苦労がなくなる訳でもないですからね」


「鏡子は“楽しく”なんて言ってたけど、私たちはそれどころでもないのよね。他でもない、“楽しく”なんて言ってる誰かさんのせいで」


「自分自身が楽しむことを大前提にしてる人たちですから」


「それでも何だかんだで付き合っちゃう私たちも、私たちかも知れないわね」


「解放されて、文字に起こすまでもない平凡な生活続きでもいいのかと聞かれたら、そうでもないし・・・」


「そこが悩みどころよねぇ・・・悩んだところで、これまで通り、なせることをなすしかないんだけど」


「ですね。作者さんが動いてくれないと、お互いの状況を見ることができなくなりますけど、これからも頑張っていきましょう」


「ええ! あたしも、あなたのこと応援してるわ。また機会があれば会いましょ」


 --------------------------------


「こんにちは」


「ん? 君は・・・サバ令嬢さん」


「ごめんあそばせ、摂津信司さん。少々、お時間よろしいですか?」


「いいよ。積もる話もあるだろうし」


「わたくしは、言うほどのものはないですけれどね。強いて言えば、なぜこのわたくしを主人公としたお話を書いてないのかというところですわ」


「ははは・・・君は君で、満月さんたちと過ごす以外にも色々ありそうだから、見てみたい気もするけどね」


「でしょう? なのに作者さんったら、わたくしの世界サバ・フィル・ハーモニー社長令嬢としての奮闘なんて一切書かずに、美々香さんたちとの無駄骨としか言いようのないお話ばかりなんですもの。文句のひとつも言いたくなってしまいますわ。摂津さんは違いまして?」


「僕は別に・・・厳木さんと関わらない日は、特筆すべきものもないから」


「摂津さんも苦労が多そうに見えますけれど」


「買いかぶりすぎだよ。本当に、厳木さんへの巻き込まれを除いたら人並みの苦労しかないし」


「“人並みの苦労”も、十分に特筆に値すると思いますけれど」


「“人並み”は“人並み”だよ。やっぱり、厳木さんを中心にした方が見応えがあるものになると思う」


「その言葉を出せる摂津さんがいらっしゃってこそのものだと思いますけれど」


「そう言ってもらえるとありがたいけど、そっちの方も大変なんじゃ? 満月さんも相当な曲者みたいだし」


「美々香さんの場合、発明なんてできるような人ではありませんから、お金でも貸さない限り実害はありませんし」


「それも中々の実害だと思うけど」


「貸さなければいいだけです。長い関係になりそうな人ほど、付き合い方は慎重になってしまいますわね」


「本当にね。身に染みて体験してるよ。これからも色々とあるだろうけど、お互い頑張ろう」


「ええ。今日はお話しすることができて良かったです。それでは、ごきげんよう」


 --------------------------------


「君津先生、こんにちは」


「これはこれは遠藤先生、こんにちは」


「ついにこうなってしまいましたね」


「時間の問題だとは思ってましたが、いざその時を迎えてみると寂しいものですね・・・」


「はい。それでも、私たちの苦労がなくなる訳でもないですけどね」


「まぁこれも大人の役目でしょう。日々拝見してますが、何をしでかすか分からん生徒がいると気苦労が絶えませんよね」


「私なんて君津先生に比べれば大したことは。生徒が常習的に無許可の個人事業のような真似をしていて、爆発が起きたり救急車が呼ばれる騒ぎになったりだなんて、自分の身に降りかかったらと思うと耐えられる気がしません」


「慣れればどうということはないですよ。慣れたくはなかったですけど」


「ははは、本当に凄いことですよ・・・」


「しかしそちらの生徒も少々、というよりはいつも、勢い任せで行動する節があって大変そうに見えますよ。うちのはあれでして、私らなんかよりはデキのいい頭を使ってますから」


「頭の悪い問題児の方がマシですよ。満月さんは口だけで大したことはできませんから。頭のいい問題児の面倒を見る方が、私には辛いですね」


「生徒と同様、教師も人それぞれということですか」


「かも知れません。お互い教育者として、ベストとは行かずともベターな行動が取れるよう精進していきましょう」


「もちろんです。陰ながら応援していますので、こちらのことも気に掛けて頂ければ幸いです」


 --------------------------------


「やっ」


「あ、姫島さん」


「“あ”じゃないでしょ“あ”じゃ。こっちをチラリとも見ないなんて。まあ? 毎日何人もの女子に囲まれてる竹下くんには私なんて有象無象にも入らないんだろうけど?」


「う・・・」


「ごめんね、嫌味なんてぶつけちゃって。これも友好の証ということで」


「もっとお手柔らかに頼みたいんだけど」


「んー、無理かなー。私、ハーレムには反対派だから」


「俺だって賛成はしてないよ! ただ、たまたまあぁなったってだけで」


「ま、見てる限りはそうかも知れないけど」


「作者がありのままを文章にしてるんだから、見えないところで何かあったりはしないぞ?」


「どうかしら。まぁ見えてる範囲だけでも、3話じゃ不在メンバーがいる中で随分と楽しそうだったけど?」


「あれが楽しく見えたのかよ! というか俺に選択権なかったからな!?」


「あーあ。私の運命の人も、見えないところで他の子とイチャイチャしちゃったりするのかなー? せっかくだから竹下くんに八つ当たりしていい?」


「やめてくれよ!」


「盛り上がってるな、お2人さん」


「おぉ、満月涼太。ちょうどいいところに」


「それから委員長さんも。こんにちは」


「こんにちは。仲間に入れてもらってもいいですか?」


「もちろんよ! ハーレムなんて夢見てる男子にひと言もふた言も言ってやりましょう!」


「そうですね、私たちの周りでは幸いにも浮ついて話がなかったのですが、ここで急に2件も出て来るなんて・・・風紀が乱れます」


「お前風紀委員じゃなくて普通の委員長だろ。美々香のクラスの」


「それでも竹下先輩のところはともかく、姫島先輩のところは学校内、それも多くは同じクラスですからね」


「そういえば美々香とタメだと俺ら全員“先輩”なのか」


「別に敬語なんて使わなくていいのに」


「俺も気にしないぞ? 同じ学校ならともかく」


「いえ、これは私の委員長としての沽券に関わるので」


「委員長も大変なのね・・・」


「あの問題児がいるクラスでもあるしな」


「実の兄ならもう少し何とかして欲しいのですが」


「親も諦めたんだ、俺にどうしろと?」


「それは・・・そうですね・・・」


「そんなことより俺は、なぜ俺たちの周りに浮ついた話がないのかと叫びたい!」


「あれ? 涼太くんあるよね? ほら、主人公のお友だちの・・・」


「あれはノーカウントだ。とてもじゃないがあいつの妹なんてそういう対象にできん」


「そんな贅沢言ってるから良い出会いがないのよ」


「それより竹下! 教えてくれよ! どうすれば何人もの女子と同じ屋根の下で生活できるのかを!」


「まず親戚がシェアハウスを経営してるところからだな」


「ハードルが高すぎる!」


「先輩のその、欲望丸出しのところが恋愛周りの縁を遠ざけてる気がするんですけどね」


「ぶっちゃけ、“どうすれば女子と同じ屋根の下で生活できるんだー”なんて叫んでる時点で終わってるよね」


「この俺が、終わってる、だと・・・!?」


【みなさま、宴もたけなわではございますが、間もなく終了のお時間でございます】


「本当に終わってんじゃねー!」


「私と竹下くんの新生活はまだ始まったばかりだし、私は運命の人と結ばれるように、竹下くんは全員にこっぴどくフラれるように、頑張っていきましょ♪」


「何で全員にフラれなきゃいけないんだよ!」


 --------------------------------


「以上をもって、緊急集会を終了とさせて頂きます。皆様それぞれに色んな思いがあるかと存じますが、作者さんの1日でも早い活動再開を祈りつつ、わたくしたちはわたくしたちの、変わらぬ日々を過ごしていきましょう。それでは、ご散開ください」


「うおぉぉぉぉぉぉ! 作者ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 絶対に復帰しろよぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 私がオバサンになる前に!!」


「色々あっての活動休止だろうけど、たまには私たちのドタバタを覗きに来れば息抜きになると思うわよ? 爆発オチならいくらでもできるから、任せなさい」


「色んな女子に振り回されまくってマジで誰かに共感して欲しいって思ってるから、続きも文章に書いてたくさんの人に届けてくれよな」


「私が運命の人と結ばれるハッピーエンドとそに至るまでの奮闘のプリンセスロード、絶対に世に送りだしてよね」

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