表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/336

2020/05/24

306.


「兄よ!」


「妹よ!」


「・・・せーのっ」


「「かいわれ大根!」」



307.


「ところでさ~、かいわれ大根って何で“かいわれ”って言うの?」


「知るか。自分で調べてみろ。ネットがあるだろ」


「そうだな! 私たちにはネットがある! ネット万歳!」


「そこまで祭り上げんでもいいだろ」



308.


「兄よ!」


「妹よ!」


「・・・せーのっ」


「「インターネット!」」



309.


「いや~、それにしても便利な時代だよね。大抵のことはネットで何とかなるんだからさ」


「だな。先人たちに感謝だ」


「でもガセとか安っぽい謳い文句とかも増えてきたから気を付けないとね~」


「トレーニングになっていいじゃないか」



310.


「そう、大事なのは、信じられるものと信じられないものの見極め」


「ガセにステマ、ワンクリック詐欺に偽の警告ウィンドウ。ネットの海はトラップまみれだ。あと自分から発信する時は炎上に気を付けろ?」


「レッツ炎上!」


「レッツじゃないだろ」



311.


「でもさ、ネットの海を歩いてるとさ、」


「海で歩くのかよ」


「人が何考えてんのか気になるよね~」


「お前、記事自体はスルーでコメントしか見ないもんな」



312.


「だって大体はタイトルで分かるっしょ。中身読んでると寝落ちするし」


「それはお前に読解能力がないだけだ。文字を読んで鍛えろ」


「だから読んでんじゃん、コメ欄」


「それで記事を読む読解力が身に着いてないだろ?」



313.


「私は! スキルアップのためにネットサーフィンをしているのではない!」


「じゃあ何のためなんだよ」


「暇つぶしだ!」


「フツーのこと言うなよ。つまらんな」



314.


「じゃあお前は何のためにネットサーフィンをするんだ!」


「情報収集さ」


「その結果何を得た?」


「時間を無駄にしてしまったという虚無感さ」



315.


「ほら見ろ! 結局暇つぶしと変わらんではないか!」


「お前と一緒にするな! こっちは暇つぶし以上の目的があるんだ!」


「バトル漫画のキャラが岩盤に打ち付けられる動画を見るのにどんな目的があるんだ?」


「・・・・・・虚無感よりも得られるものがあるぞ」



316.


「ネットサーフィンにはな、戦いがあるんだ・・・。どのタイミングでキッパリ終わって寝るかという仁義なき戦いが!」


「あんた当初の目的忘れて次々にページ移るよね。そして気付けば岩盤動画」


「これはなあ! 自分の意志を貫けるかという戦いなんだよ!」


「何連敗してんだ?」



317.


「そこには触れるな! 険しい道なんだ・・・人間の精神に抗というのは! これは修行でもあるんだ!」


「いや修行とかすんなよ。動画見て笑って“あ~面白かった”でいいっしょ」


「そしてその後の、“またやっちまった”という虚無感・・・!」


「忘れろよぉ。何と戦ってんだよぉ?」



318.


「自分との戦いだ! ”12時には終わる”、“次で最後にする”。でも1時になっても開いてしまう次のページ・・・!」


「1時過ぎてもポチっといて何が“戦い”よ。とっくにライフはゼロって気付けよ!」


「気付いているさ! それでも、この手が・・・!」


「もう戦いなんてやめよ? ね?」



319.


「所詮あんたは自分と戦えるような器じゃないのよ」


「戦いもせずに開き直ってるお前には言われたくはない・・・!」


「それは自分との戦いってやつに勝ってから言いな」


「くっ・・・。くっ・・・!」



320.


「くっ・・・今日のところはこれくらいにしておこう」


「・・・おい、兄よ」


「何だよ。まだ何か言いたいのかよ」


「かいわれ大根はどうした」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ