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2020/05/17

283.


「兄よ!」


「妹よ!」


「・・・せーのっ」


「「カラーボックス!」」



284.


「カラーボックスって、なんでカラーボックスって言うんだろうな」


「いろんな色で売られてるからだろ」


「でもさ、白とか木の模様とかのやつって、“カラーボックス感”なくない?」


「それは違うぞ!」



285.


「いきなり何だよ」


「赤や青だけが“色”ではない! 白はもちろん、木の模様のやつだって、れっきとした“色”なんだ!」


「だが! 乙女の部屋を彩るには物足りん!」


「だったら乙女をやめろ!!」



286.


「何で白のカラーボックス置くためだけにアイデンティティを捨てなきゃならないんだ!」


「心配しなくてもお前のアイデンティティは乙女という点ではない!」


「そんなことはわかっている! それでもなあ! 部屋だけでも乙女にしたいんだよ!」


「白のカラーボックスでもできる!」



287.


「できる訳がないだろう! 白は白だぞ!」


「違う! それはお前が、白という色を白としてしか見ていないからだ!」


「じゃあどう見ればいいんだ!」


「見るんじゃない! 感じるんだ!!」



288.


「白から何を感じればいいんだ!」


「白から感じるのではない! 白を感じるのだ!」


「余計にワケがわからんぞ!」


「では教えてやろう! 白の全てを!」



289.


「よし、まず、イメージするんだ。自分の部屋に、白のカラーボックスがあることを」


「・・・やっぱ、違和感あって浮きまくりなんだけど」


「最初はそれでいい。次に、それを置くならどこが一番いいかを考えろ」


「どっかに置く前提? うーん、ここかなぁ」



290.


「よし、いいな。これからお前の部屋は、その白のカラーボックスが中心だ。お前の部屋において、一番に輝く場所がそこだ」


「一番に、輝く・・・。難しいな・・・」


「それでもイメージを強く保て。お前の世界は今、白のカラーボックスを中心に回っている」


「う、お、おおぉ・・・」



291.


「輝いたな? その光は、お前自身を、お前の部屋を、お前の知る全てのものを照らすんだ」


「お、おぉ・・・!」


「強引に乙女要素を入れたピンクの壁紙も、猫のキャラクターのぬいぐるみも、そしてお前自身にある、しょうもないクズな精神も」


「おぉ・・・! おおぉ・・・!!」



292.


「見える・・・いや、感じるぞ・・・! 私を取り巻く、全てのものがきらめいている・・・!!」


「いいだろう。目を開けろ」


「・・・・・・。フッ。私は1つ、道を見つけたぞ」


「それでこそ我が妹だ」



293.


「じゃあさ、木の模様のやつならどうなるの?」


「やることは同じだ。イメージしろ。そのカラーボックスを買い、一番いいと思った場所に置く」


「ふんふん・・・」


「そしてやはり、世界はそこから始まる。木とは、命だ。そこから溢れ出る生命力は、全てをみなぎらせる力となる」



294.


「根を張り、枝を伸ばし、葉を茂らせる。決して輝きはしないが、大いなる力がそこにはある」


「おぉ・・・おぉ・・・!」


「それは、母だ。お前を、お前の部屋を、お前だけの世界を、優しく見守っていることだろう」


「感じる・・・感じるぞ! 母なる力を・・・!!」



295.


「・・・なるほど、そうか。目に見えるデザインだけが、全てじゃなかったんだな」


「そうさ。自分が手にする全ての物が、自分のためにあると思え」


「カラーボックスだけじゃない。机も、椅子も、制服も。その全てが、私の世界を作っている・・・」


「その世界をどう彩るのか、自分で考えるんだな」

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