2023/07/02
4620.
「と、いうワケなんだが教師病についてどう思うよ雷太?」
「ばぶ、ばぶばぶばぶるばーぶぅ」
「えっと・・・ミミりんが改心するば解決するんじゃない? だって。アタシもそう思うよ」
「それじゃ意味ねーだろうがタコ」
4621.
「いやいやいやいや、センセのストレスの原因ミミりんだって分かったんじゃん? 迷う必要あるっぴ?」
「迷う必要はない。迷わず、私は心を入れ替えたりなどしない」
「ダメだこりゃ」
「ばーぶぅ」
4622.
ガラララッ。
「おっと、佐藤純に雷太じゃないか。どうした」
「あ、聞いてよミズにぃ。今、2人も同時に教師病になっちゃったみたいで」
「教師病って何だよ・・・」
4623.
「教師病ってゆーのは、かくかくしかじかで・・・」
「なるほど。となると解決策はないな」
「なんで!?」
「だって美々香ちゃんが改心なんてすると思うか?」
4624.
「それ言っちゃったらオシマイだよ・・・」
「はぶ! ばぶばぶばるぶばーぶぅ!」
「ほら! 2歳児だってこう言ってるんだよ!?」
「なんて言ったんだよ・・・」
4625.
「あ、ゴメンね2人はまだ素人だから分かんないよね」
「いやそれに素人も玄人もあるのか?」
「あるよ! 年下のきょうだいがいないと超えられない壁がそこにね!」
「俺には妹がいるんだが」
4626.
「あーそれは惜しかったねえ。ミズりんが赤ちゃんの時はミズにぃも似たようなもんだったでしょ? だったらダメだね」
「ばぶ! ばぶばぶばぶ!」
「あ! そうだったね。教師病の話してたんだね」
「2歳児の方がしっかりしてんじゃんかよ・・・」
4627.
「で? どうすんだよ。大事なことだからもっかい言うが私は絶対に変わらないからな? そもそも教師のメンタルなんて学校側がケアするもんだろ。なぜ生徒が助けてやらねばならない?」
「ストレス源がそれを言うな」
「センセにも何とかならないんだったら保護者になんとかしてもらうしかないね!」
「ウチの母ならこう言うぜ? “ダメな子に教育してまともにするのが学校なんじゃないのかい”、って」
4628.
「救えねぇ・・・」
「ばぶぅ・・・」
「でもミミりんは盛大な勘違いをしているよ! 高校は義務教育じゃない! 私らが自分の意志でお金を払って来ている! つまり客! そしてスタッフであるセンセーのストレスになってるならクレーマーのようなもの! 招かれざる客なんだよ!」
「何言ってんだよ純。我らが伊久仁高校は公立だぜ? 私立ならビジネスでやってるから生徒を客と呼べるだろうが、公立は国が置いた教育機関。親からすれば“金払うからウチの子をよろしく頼む”なんだよ」
4629.
「それは違うぞ美々香ちゃん。例えば、公立図書館はどうだろう。行政施設であり金もかからないが、利用者は客として扱われる。当然、スタッフに迷惑かける客など出禁になるはずだ。公立だから許されるというのは甘えじゃないのか?」
「ハッ。みずき兄としたことが的外れなことを言って来るじゃねえか。公立図書館が無料? 違うな。私たちが払ってる税金で運営されてるんだよ。学業に励みながら本を集めるなんて大変だろう? だから行政が代わりに、税金という形で金を集めて本を仕入れて一ヶ所に集めるんだよ。私だって税金払ってんだから図書館利用禁止にされるのはオカシイよなァ?」
「ばぶ、ばぶばぶばぶぅ」
「えっと・・・“それはちゃんと学業に励んでから言え”って」
4630.
「この際学業に励んでるかどうかなんて関係ねーんだよ。だって、“図書館使わないから減税ね”ってルールはないだろ? 否応なしに金は取られて、それで読みもしない本を勝手に買われて、図書館まで建てられる。
でも、図書館は使わないけど市民体育館は使うって人もいればその逆もいる。線引きが面倒だから一律で集めてるに過ぎないんだ。んでそれを前提に、仮に私が図書館とか体育館のスタッフを病ませたとして、何を咎められるって言うんだよ?」
「いや咎められるだろ」
「何言ってるのミミりん」
「ばぶ!」
4631.
「いいか? 私1人が改心したところで、常識の通じないモンスター顧客は存在するんだ。解決すべきは、そこじゃない。モンスター顧客がいることを前提に、いかにスタッフにストレスが掛からないようにするかを議論すべきなんだ」
「ばぶ! ばぶばぶばぶ!」
「代わりに言うね・・・ミミりんは何も分かっちゃいない。確かにモンスター顧客は五万といる。でもその1人1人全員が改心すればゼロになるんだ、って」
「何も分かってないのは雷太きゅんだよ。この私1人がこうも頑なに改心する意思を見せないんだ。五万といるとされるモンスター顧客が全員改心するなんて天文学的数字が分母に来る確率になるんだよ。というか、
改 心 な ん か し な い か ら モ ン ス タ ー 顧 客 な ん だ よ 」
4632.
「うぅっ、なんて強敵なのミミりん・・・!」
「さすが美々香ちゃん。モンスター顧客のなんたるかを分かってる」
「でもこのまま教師病を蔓延させてもいいのミズにぃ!?」
「参ったな・・・2人が倒れた今、その負担は他の人に移り、更なる教師病を呼ぶ。歯止めが掛からんぞ」
4633.
「ばぶ! ばぶばぶばぶばぶるぶ!」
「なるほど・・・! 人が対応するからダメなんだね! 真面目な人ほどメンタルやられるって言うもんね! そうだよ! どんな悪質クレーマーにも事務的対応しかしなければいいんだ! じゃあもう人である必要なんてない! ロボットにさせればいいんだよ! 人が対応したって相手の要求は満たされないんだから! そんなのほっといてギャンギャン文句言わせとけばいいんだよ! どうせ生産にはほとんど関わってない人なんだから! 関わってたところでコストだけ掛かる厄介者なんだから! そんな人にリソース割くなんて損だよ! センセも図書館のスタッフも税金が給料なんだから! モンスター顧客なんて切り捨てちゃえ!」
「で、市役所に火が付けれらる未来が待ってるんだな」
「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
4634.
「分かっただろ純? もう私ら厄介者の存在を受け入れるしかないんだよ。自分でも思うがマジで人間って欠陥だらけの生き物だよな」
「自覚があるぶん尚のことタチ悪いよぉ・・・」
「厄介者って楽でいいよな、と言いたいところなんだがコイツらはコイツらで常に何かにイライラしてるからなぁ・・・」
「救いがないよネ」




