2023/05/07
4407.
「「「ワーワー、ワーワー、ワーワー、ワーワー・・・」」」
「ついに、ついに・・・! この時が来たんだな・・・!」
「ええ。ええ・・・! ようやく、この時を迎えられましたわ・・・!」
【大変長らく、お待たせ致しました。これより、伊久仁市民体育大会、武闘競技、一般の部、決勝戦を行います。伊久仁高校、毛利さん、世界サバ・フィル・ハーモニー、クレセントさん、第1武闘場へお上がりください】
4408.
「「「ワーーーーーーーーーーーーーッ!!!」」」
「「「キャーーーーーーーーーーーーーッ!!!」」」
「待ってましたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うぅぅおおおおおおおおおおおおおお!! 毛利ぃぃぃぃぃ!! クレセントぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
4409.
「これが、これが、天下分け目の超決戦・・・! さすがのわたくしも、始まる前のこの雰囲気だけで当てられてしまいそうですわ・・・!」
「そして、クレセントちゃんにはまたとないチャンス。都大会2位の毛利さんと、こうして公式の場で戦うことができる。それも、市民大会の決勝という舞台で」
「この前は、邪魔が入ったとは言えトドメを待つだけだったからな。ほぼ負けたようなもんだった。奴としてはリベンジに燃えてることだろう」
「毛利さんには悪いですが、ここはクレセントちゃんが頂きます。今日という日のために、これまで特訓してきたのですから」
4410.
【東から参りますのは、皆さまご存知毛利選手。昨年度は、中学の部3連覇と同時に初出場した一般の部でも栄冠を手にし、女性初、かつ中学生初の優勝という快挙を成し遂げ、都大会でも中学生初の決勝進出を果たしたことは記憶に新しいでしょう。今年はもちろん都大会優勝を目指し、通過点であるこの市民大会決勝まで順当に勝ち上がってきました。
対して、西から参りますのはクレセント選手。今回初出場ながらもダークホースとして囁かれ、その期待を裏切らない活躍により、毛利さんの待つ決勝へと駒を進めました。さあ、この2人がどんな戦いを見せてくれるのでしょうか。間もなく試合開始です!】
「「「ワーーーーーーーーーーーーーッ!!!」」」
「毛利ーーーー!! 今年も強いお前を見せてくれーーーーーー!!」
「ネコちゃんも頑張ってーーーーーー!!」
4411.
「ていうかクレセントの奴いつからサバハーモニー所属になったんだよ」
「は? 今さら何言ってんだよ兄。市民大会なんだから在勤・在学・在住かのいずれかが必要だろうが。野良猫でも出れないことはないが、所属がないとカッコつかないだろ?」
「広告塔にもなり得ますからね。我が社に籍を作り、通学用に使っているわたくしの住居を伊久仁営業所として登録しましたの」
「おい待てそれ以前に野良猫でも出られるってどういうことだよ」
4412.
「はぁ? そこから説明しないとダメ? 野良猫だってこの街に住んでんの。人間じゃないとか戸籍がないってだけで出場資格が与えられないのはおかしいだろ? 最低限、人間の言葉と競技規則が理解できればどんな生命体でも出られんの。これが理解できないお前は無理だろうけどな」
「残念ながら人間は戸籍さえあれば出られるんだよなぁ」
「全く。人間社会の悪いところだぜ」
4413.
「そんなことよりみんな、始まるわよ。毛利さんの実績とプライド、そしてクレセントちゃんの意地と積み上げて来た日々を懸けた運命の一戦が」
「しゃあねえ、見てやるか」
「義務感覚かよみずき兄。男衆は冷めてんなぁ。 クレセントぉぉぉぉぉ!! 絶対に負けんじゃねぇぞぉ!! 今度こそ毛利のヤツを倒すんだ!!」
「クレセントちゃん。あなたならきっとできます。ずっと見守ってきたわたくしが保証しますわ。自信を持って、今こそあなたの全てを毛利さんにぶつけなさい!」
4414.
【それでは改めて、ルールの確認を致します。勝敗の決着条件は、10カウントダウン、場外への転落、そして降参の意思表示です。また、対戦相手を死なせてしまうこと、ダウン中の相手への追撃、観客席への被害、武器の使用は禁止されています。
ただし、衣服と靴については武器としての使用も、相手の服を引っ張るなども可能です。クレセントさんは衣服等の着用なし、毛利さんの衣服等は競技規則に則っていることを確認しました。そして、武舞台の損壊時も、元々の武舞台の範囲から外に出ない限りは地面に手や足などが着いても場外にはなりません】
「へえ。今はそんなルールがあるんですね」
「随分前からだぞ。知らないのか服部? 武舞台を壊しての場外負け狙いが相次いで、つまんない試合ばかりになったからこうしたんだ。実際の戦場では無意味な戦法だし、興行としての魅力にも関わるからな」
「言われてみれば、ん・・・この空気の変わりよう、始まるみたいですね」
4415.
【それでは、両者構え!】
・・・スッ。
「・・・フニャッ」
【・・・始め!!】
4416.
ボワ~~~~~ン!!
「うぅ~~にゃぁぁ~~~~~~!!」
「いきなり全速前進? 相変わらず元気ね。せっかくだから乗ってあげようかしら? はぁぁぁぁぁ・・・っ!」
「うにゃぁぁぁぁぁ・・・っ!!」
4417.
「っせい!!」
「にゃん!!」
タァァン!!
「「「おおぉぉ・・・っ!」」」
4418.
「くお・・・っ! 初っ端からなんて闘気のぶつかり合いだ・・・!」
「おぞましいほどの衝撃ね。これが、トップの戦闘士同士の戦い・・・!」
「すごい。すごいわクレセントちゃん・・・こんなにも、こんなにも強くなって・・・」
「オイオイまだ泣くにゃ早いだろサバ令嬢。その涙は毛利のヤツをぶっ倒すまで取っときな」
4419.
【ついに戦いの火蓋が切って落とされました! まずはお互いに挨拶とも言える正拳突き! 早くも激しい攻防が始まりそうな予感です!】
「なるほど、拳を合わせただけでも分かる・・・かなり腕を上げたようね?」
「ふにゃっ!」
「だけど、腕を上げたのは私も同じ。簡単には伊久仁チャンピオンの座は渡せないわよ?」
4420.
「はぁっ!」
「にゃっ! フッ、にゃっ!」
カッ・・・!
「ふふ、トリッキーな動きも健在ね? 上げ続けてきた腕が鳴るわ?」
4420.
「そんな・・・! 毛利さんの回し蹴りをかわしてからのカウンターが防がれた・・・!」
「相手はあの毛利だぞ。ちょっとやそっとでダメージを与えられるはずないさ」
「はぁぁぁああっ!」
「うにゃっ!」
4421.
「でもクレセントちゃんも毛利さんの攻撃を躱せてる」
「いや、ありゃ避けられることを見越した上でやってる。毛利の一発は重い。だからクレセントとしては避けるしかなく、対して毛利は腕を盾に防げばいいから余計に体を動かす必要がない。あいつ、クレセントの消耗を待つつもりだ」
「ですが、それをさせないためにクレセントちゃんは・・・」
「にゃめはめ・・・にゃー!」
4422.
「!」
ドォォン!
「・・・なるほど。上からやれば観客に被害は出ない。考えたわね?」
「ふにゃっ!」
4423.
「やるじゃねぇかクレセント。これで毛利のヤツも動かせるな。あれを体張って受ける気にはなれないだろう」
「だが、動かざるを得ない状況を与えるということは・・・」
「はっ!」
「ぐにゃ・・・っ!」
4424.
「クレセントちゃん!」
「先制を許してしまったわね・・・。技を避けた直後に来ることは予想できていたはずなのに」
「さすがは毛利・・・。分かっていても避けられない、それができるほどにヤツの動きが洗練されてるってこったろ」
「ですが、それでこそ倒す価値がある・・・クレセントちゃん、ここからですわよ・・・!」
4425.
「・・・フシューーッ、フシューッ・・・」
「少し、技ありきが過ぎるんじゃないかしら? 技そのものでの攻撃ではなく、戦闘パターンに技を組み込んだのは良かったと思うけど」
「うにゃにゃにゃにゃ・・・うにゃー!」
タァン!
4426.
「んふふふ、やっぱり直接手足をぶつけ合ってこそよね。やっ!」
「うにゃっ、・・・にゃぁーーっ!」
「んっ・・・さーぁっ!」
「にゃん! シュバニャッ、にゃー!」
4427.
タン、タァン! タタン、タァァン!!
「「「おおぉぉ・・・っ!」」」
【す、すごい! 目の前で、目まぐるしいほどの攻防が繰り広げられています! 正に、王者を決めるに相応しい一戦になっております!】
「フッ、フフッ、ニャァーーーー!!」
4428.
「はっ!」
カッ・・・!
「うにゃっ!」
タァン!
4429.
「やぁっ!」
シュッ、ギュルンッ。
「きえんニャン!」
「!」
4430.
スッ。
「あのタイミングからのきえんニャンを避けた・・・!」
「はぁぁ~っ、やっ!」
「ふっ、にゃっ!」
4431.
カッ・・・!
「噴ッ!」
「にゃ゛にゃ゛・・・っ!?」
「っだぁ!!」
4432.
「う゛にゃ゛・・・!」
「くっ、きえんニャンを躱したところへの追撃が防がれた上で、一撃入れられてしまうなんて・・・」
「いや、あれは・・・!」
「ん、まさか!」
4432.
ぺちっ。
「ん、これは尻尾・・・? しまっ・・・」
「うにゃーーー!」
「ぐうっ!」
4433.
ズサーーーーーーー。
「「「おおぉぉ・・・っ!」」」
「うおおおおお!! 一発入れたあああああ!!」
「クレセントちゃん・・・!!」
4434.
「フシューーッ、フシューッ・・・!」
「・・・やっぱり、あんまり甘く見ない方がいいというのは、変わらないみたいね」
「毛利の目つきが変わった・・・だが、どことなくヤツに余裕が見えるのは何なんだ。クレセントにもそんなデカいダメージが入ってる訳じゃねぇってのに」
「ちょっと精神的な疲労が見えるよなクレセントに。あいつには、思うように毛利にダメージを与えきれてない意識があるのかも知れない」
4435.
「クレセント! 急ぐことはねぇ! ダメージを与えることよりも、自分の形で戦うことを意識しろ! 毛利のペースになってるぞ!」
「うにゃあ・・・うにゃにゃ・・・」
「クレセントちゃん・・・ここが、あなたの戦闘士としての正念場よ」
「大丈夫です。クレセントちゃんは負けません。これまで何度も、何度も死線を掻い潜って来たのですから」
4436.
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・どうしたの? 来ないの? 慎重に行きたいのは私も同じなんだけど、観客もいる競技会だからね。来ないなら行くわよ」
「・・・ふにゃっ!」
4437.
「いいわね。あなたに受けを起点とした戦いのイメージが湧かないのだけど、見せてもらおうかしら。はっ!」
「フニャ・・・」
「はぁ~~~~っ、やっ!」
「うにゃっ!」
4438.
タァン!
「う~~にゃっ!」
タァン!!
「破ッ!!」
4439.
タァァン!!!
「う゛にゃっ・・・にゃぁっ!」
スカッ。
「にゃっ・・・!?」
4440.
「ビーム以外は受け止めてばかりだと思った? っせい!」
「にゃ゛・・・っ! は~~にゃ゛っ!!」
パシッ。
「にゃ゛っ!!?」
4441.
「まずい! 腕を掴まれた!」
「はぁぁぁ~~~っ、やっ!!」
ドォン!!
「にゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ!!」
4442.
「クレセントちゃん!!」
「悲鳴を上げるにはまだ早い! 次に備えろ!」
「にゃめはめ・・・!」
「馬鹿!! そこからじゃ客席に・・・!」
4443.
「にゃ・・・ッ!?」
「さっき言ったばかりなのに忘れたの? これは競技会よ」
「まずい! クレセント避けろ!!」
「はぁっ!!」
4444.
「にゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「クレセントおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「そんな、クレセントちゃん・・・!!」
「くっ・・・・・・!」
4445.
【く、クレセント選手ダウン! カウントを始めます! ワン! ツー! ・・・】
「う゛、にゃ゛、にゃ゛あ゛・・・・・・」
「「「おぉぉーーーーっ!!」」」
「よし、いいぞクレセント・・・!」
4446.
【クレセント選手すぐさま立ち上がりました! しかし、しかし! ここで大きな一撃! 毛利選手が一歩、いえ二歩か三歩リードでしょうか!】
「あのネコも十分すげぇけどな、やっぱ毛利がヤベぇわ。人の形をしたバケモンだぜ、ありゃ」
「ネコちゃん負けないでーーーーーー!!」
「そうだ! まだお前の全てを出せてないだろ! こんなところで負けんじゃねぇぞ!」
4447.
「う、にゃあ・・・」
「・・・・・・これでも、あなたの恐ろしさは知ってるつもりよ。もっと楽しみたいという気持ちもあるけど、私も負ける訳にはいかないの。長引けば、どうしても観客はあなたを応援してしまう。それで流れが変わる前に決めさせてもらうわ。 スゥ~~~~ッ。はぁっ!!」
ブォッ!!
「にゃ゛あ゛・・・ッ!!」
4448.
ズサーーーーーー。
「クレセントちゃん!」
「にゃ゛っ、にゃ゛ぁ゛・・・・・・!」
「なんてヤツだ、闘気だけでクレセントを吹き飛ばしやがった・・・!」
4449.
「くっ、あちらがそのつもりなら・・・体力の消耗が激しいので控えたかったのですが、クレセントちゃん、こちらも見せておやりなさい!」
「急げ! 毛利が迫ってるぞ!」
「うにゃぁ~~っ、にゃああああっ!!!」
ブオォォォ・・・ッ!!
4450.
「ん・・・っ!」
「いいぞ! クレセントもかなりの闘気だ!」
「毛利さんが足を止めた今です!」
シュババッ!
4451.
「!! 速い・・・!」
「電光石火、からの、かみなりパンチ!」
「うにゃあ!!」
「ぐあ・・・!!」
4452.
「よっしゃ! 入った!」
「まだですわ! 畳み掛けなさい! 狼牙ニャンニャン拳!」
「うにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・っ!!」
「う゛、ぐう゛・・・!」
4453.
「にゃあああああああああああああああ・・・!!」
「ぐ、うぅ・・・でも、その技は一度・・・見てるわよ!!」
ドガッ!
「にゃぁ゛っ!」
4454.
「まずい! 崩され・・・!」
「やぁーーーーっ!」
「う゛にゃ゛ーーーーーー!!」
カッ・・・!!
4455.
「「「わぁぁ・・・っ!!」」」
「くっ、さすがは毛利さんですわね・・・」
「クレセントも最後のを防げたのは良かった。そして、今の一連の流れ。多少体力を消耗してでも、毛利の勢いを止めた価値はあるだろう」
【すっ、凄まじい攻防です! 両社とも、文字通り一歩も譲らずに戦っています! この戦いは、一体どうなるのでしょうか・・・!】
4456.
「ふぅ・・・本当に、何をしてくるのか分からないわね。長期戦にするつもりはないのに、手こずらされている気分だわ・・・」
「フーーッ・・・。フニャーーッ、フニャーーッ・・・」
「・・・・・・行くわよ」
サッ。
4457.
「ふにゃっ!」
カッ・・・!
「はっ!」
タァン!
4458.
「フッ、ニャッ、ニャッ」
「ちょこまかと・・・」
「フニャッ」
「そこね!」
4459.
ビリッ。
「!?」
「ニャハッ♪ どどんニャ!」
「きゃぁ゛・・・っ!」
4460.
「「「おぉぉ・・・っ!」」」
「かみなりパンチの痺れが来た隙を突きましたわね!」
「よし! 畳み掛けろクレセント!」
「うにゃぁっ!」
4461.
ドゴッ!
「ぐう゛っ!」
「にゃあっ!」
「う゛あ゛・・・っ!」
4462.
「ニャせんこーーーー!!」
「ぐあ゛、あ゛あ゛あ゛ぁ゛・・・っ!!」
ドサーーーーーーーー。
「「「おおぉぉぉーーーーっ!!」」」
4463.
「うぉぉぉぉ!! いいぞクレセントぉぉぉぉぉ!!!」
「叫んでる暇などありません!!」
「きえんニャン!」
ブゥゥゥン・・・!
4464.
「ぐ・・・それはもう、見飽きたわ!!」
ズァァン!!
「うにゃ゛!!?」
「なに゛・・・ッ!!?」
4465.
「き、きえんニャンが、真っ二つに・・・!」
「なんてヤツだ、地面に背中が着いた状態からの蹴りでやりやがった・・・ッ!」
「円盤形の弱点を突かれたか・・・」
「ちょっとみんな、それよりも・・・!」
4466.
パシッ。
「・・・ふーん・・・・・・」
「あ、あいつ、真っ二つになったきえんニャンを掴みやがった・・・!」
「そんな・・・! 回転が止まってるにしても普通の人なら手が真っ黒焦げよ・・・!」
4467.
「へえ。練り上げた闘気を円盤状にして高速回転させてたのね。ビームもそうだけど、こんなに熱と光を伴うほどの闘気の練り上げは私には無理よ、凄いわね」
「うにゃあ・・・」
「でも、利用することなら何とかできそう。はっ!」
「なっ! 飛び上がっ・・・クレセント避けろ!」
4468.
「っっせい!!」
「うにゃっ!」
ズシャッ!!!
「「「おおぉぉ・・・っ!」」」
4469.
「なんて刺さり方しやがる・・・その辺の地面とか固さが違うんだぞあの武舞台は」
「それよりもクレセントちゃん! 躱しただけで安心するんじゃありません!」
「ちょっとでも普段と違うと反応が鈍るのは悪い癖ね。はっ!」
「うにゃああ゛・・・っ!」
4470.
「う、うにゃにゃにゃにゃ・・・っ」
「よし、距離を取ったか。それでいい。あれから無理に反撃を狙っても返り討ちに遭っただろう」
「でも、どうするの? もう随分とビームで闘気を放出しちゃってるけど・・・」
「くぅ・・・そもそもあの手の技は極力使わないはずだったのですが、真っ向勝負ではやられるのも時間の問題だということを、クレセントちゃん自身が感じ取ったのでしょう。まだいくつか策は残ってますが、同じ手が二度通じる相手ではありませんから、残った策を使い切る前に勝負を決められるか、ということになりますわね・・・。
ですが、これまでの策で毛利さんにダメージを与えて来れているのも事実。クレセントちゃんの方もヤワではないのですから、必ず活路はあります。必ず・・・勝つのは、クレセントちゃんです」
4471.
「・・・ふーっ、ふーっ・・・・・・」
「ふにゃーっ、ふにゃーーっ・・・」
「も、毛利が流血・・・信じられない光景だな・・・」
「そうね・・・もちろん毛利さんを倒すことを目標にしてきたんだけど、いざこうやって、彼女が頭から血を流してる姿を実際に見ると、とても現実とは思えないわ・・・」
4472.
「こうして、着実に毛利に迫ってることが実感できるのは良いことだ。だが、ここからが正念場だろう」
「相手はなんてったって、あの毛利さんだからね・・・」
【っ・・・す、凄い試合になっております。言葉を発することを忘れておりました。両者とも、正に死力を尽くす戦い・・・これから佳境を迎え、やがては終わってしまうことが寂しくも感じます。ですが、私たちには、行く末を見守る義務が、いえ、覚悟が、いいえ、私たちの奥底にも眠っているわずかな闘気が、この行く末を見届けたいと思っているのかも知れません】
「っ・・・お願い、クレセントちゃん・・・」
4473.
「・・・フーーーーーッ。行くわよ」
サッ。
「にゃん!!」
シャッ。
4474.
「はっ!」
「にゃぁっ!」
タァァン!!
「うお・・・明らかに試合開始直後とは、闘気がぶつかった時の衝撃が違うな・・・!」
4475.
「はぁっ!」
「にゃ゛っ!」
「やっ!」
「ぐにゃ・・・っ!」
4476.
「どうしたの、もう奇策は終わり? 違うでしょう。あなたの闘気は、まだ何かを狙ってる」
「うにゃにゃにゃにゃ・・・にゃ゛ん!」
「!」
ドッ・・・!
4477.
「くっ・・・」
「「「おぉぉ・・・っ!」」」
「にゃめはめニャを後ろ斜め下に打っての捨て身の突進・・・! 防御されたが・・・」
「ふにゃっ!」
4478.
シャッ。
「毛利自身を踏み台にして距離を置いただと? あいつ、何を・・・」
「んにゃん~~~~~っ」
ぷくぅ~~~~~~っ。
4479.
「ま、まさかあれは・・・! クレセントちゃん、それは・・・! い、いえ、それでも勝つしかないのですからね・・・やっておしまいなさい! スーパーゴーストニャミカゼアタック!!」
ほにゃ~~~ん。ほにゃ~~~ん。ほにゃ~~~ん。ほにゃ~~~ん。
「な、なんだあれは・・・!!」
「いつの間にあんな技を・・・」
4480.
【あ、あれは何なのでしょう・・・! クレセント選手の口から、クレセント選手のお化のようなものが次々と・・・!】
「ネコちゃん分身の術・・・!?」
「もう俺、あいつが何しても驚かないつもりだったのに・・・」
「まだまだ何か隠してそうで、恐ろしい子ね・・・」
4481.
「さあ、どうする毛利よ。触ればまずいことぐらい、お前なら分かってるだろう」
(可燃性の匂い。これは・・・)
「スゥーーーーーーッ。破ッ!!」
ドゴォ・・・ッ!!
4482.
「なっ・・・! あいつ武舞台を・・・!」
「まずいわ! 一旦ゴーストたちを散らばらせないと!」
「まさか! 壊した武舞台の破片をゴーストにぶつけて・・・!」
「くっ、もう遅いみたいだな」
4483.
パシッ。クィィ~~~~~ン、ドォォォォォォォォン!!
「「「わぁぁぁぁ・・・っ!!」」」
【ば、爆発・・・!?】
「くそ、これじゃ全部・・・!」
4484.
ドォォォォォォォォン!! ドォォォォォォォォン!! ドォォォォォォォォン!!
「そんな、せっかくのゴーストたちが・・・!」
「こうなってしまったものはしょうがないわ! 次に備えないと! もう毛利さんは爆風の中に入ったわ!」
「クレセント凌げ! いやむしろ返り討ちだ! お前なら視界が遮られていても戦える!」
4485.
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・な、何も起きないな。どうなってるんだ・・・?」
「さあ・・・お互い様子の見合いか・・・?」
4486.
「スーーーーーーッ、だぁっっ!!」
ブォォォォ・・・ッ!!
「おわっ! この衝撃、どっちかが闘気で爆風をかき消したか・・・!」
「見ろ美々香! 毛利だ!」
4487.
「・・・・・・」
「なに、クレセントがいない・・・!?」
(闘気を消して潜んでいる・・・姿も見えない・・・となると、)
「は~~~、め~~~~」
4488.
(!! やっぱり・・・!)
「ニャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
スドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
「ぐっ!」
4489.
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! クレセントぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「まさか、地下に・・・! ゴーストの性質をすぐに見抜かれ破壊されることまで読んで、爆風のあるうちに地下に潜んでいたのね・・・!」
「そうですわ・・・ルール上、地下に潜ろうとも武舞台の範囲から横に出ない限りは場外にはならない・・・それを利用して下から毛利さんに攻撃をぶつけたのですわ・・・!」
「しかも、本当にすんでのギリギリまで闘気を隠していた。さすがの毛利さんでも避けるのは無理だったみたいね・・・!」
4490.
「ぐ、うう゛・・・あ゛あ゛っ!!」
ザッ。
【も、毛利選手です! ビームから逃れて横に出て来ました! しかし、打ち上げられて今いるのは空中! 自由の利かない状態で、下で待ち構えるのはクレセント選手! 両者、ここからどのように動くのでしょうか!】
「お行きなさい、クレセントちゃん! あなたの得意な空中戦です!」
4491.
「うにゃっ!」
シュバッ。
「そうか! クレセントなら、小さい空気砲程度の気弾を出すことによって空中でも移動できる! それで毛利のヤツを、一方的に叩きまくれぇぇぇ!!」
「うにゃぁぁぁぁぁぁ・・・っ!」
4492.
ポンッ、ポンッ、ポンッ。
「くっ・・・、厄介ね・・・」
「よし! 好きな方向から行け!」
「うにゃぁっ!」
4493.
ドゴッ!
「ぐぅ・・・っ!」
ポンッ、ポンッ、ポンッ! ドガッ!
「あ゛あ゛・・・!」
4494.
「その調子です! 毛利さんの体勢をよく見て、反撃されない位置から攻撃を繰り返すのです!」
「にゃん!!」
ポンッ、ドガッ! ポンッ、ドガッ!
「う゛っ、ぐぁ゛っ、い゛っ・・・!」
4495.
「うにゃっ!」
「いい加減に・・・しなさい!!」
ブォォォン!!!
「う゛にゃ゛・・・!!」
4496.
「なに・・・っ! そうか! 毛利には闘気解放がある!」
「ですが飛ばされるだけ! また空気砲で戻れますわ!」
「うにゃっ!」
ポンッ!
4497.
「毛利さんの真上の、少し離れた位置に行ったわね。あそこからなら」
「どどん! ニャ! ニャ! ニャ! ニャ! ニャ! ニャ! ニャ! ニャ!」
「う゛! ぐ! ぐ! ぐ! ぐ! ぐ! ぐ! ぐ!」
「よし、いいぞ! 全身に万遍なく当てていけ!」
4498.
「はぁ゛~~~~っ、あ゛あ゛っっ!!!」
ブォォォォォォォンン!!!!
「う゛にゃ゛・・・っ!?」
「くっ! どどんニャさえも闘気で・・・!」
4499.
「だったら大きな技を使うまでです!」
「うぅぅにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・っっ!!」
「あ、あれは、まさか・・・!」
「ニャかんこうさっぽーーーーーーーー!!!」
4500.
「!?」
ギュルルルルルルルルルルン!!
「ぐっ!!」
「さすがに受け止められたか・・・! だがこのまま地面まで押し切れ!!」
4501.
「にゃ、ああ゛・・・っ!」
「う、ぐう゛・・・っ!」
「ど、どうなる・・・!」
「は、あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛・・・っ!」
4502.
「だぁ゛っ゛!!!」
ぐね゛っ゛。
「にゃ゛っ゛!!?」
「な゛に゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛っ゛っ゛!!?」
4503.
「ニャかんこうさっぽうが、捻じ曲げられた・・・!?」
「いけない! クレセントちゃん、技を止めては・・・!」
「にゃ・・・!?」
ギュルルルルンッ。
4504.
スタッ。
「き、きれいに、着地された・・・」
「そんなのは些細なことだろ!! 問題は・・・!」
「にゃ、ニャかんこうさっぽうが、毛利さんの手に・・・そんな・・・」
4505.
「ハァ、ハァ。やってくれたわね・・・そっくりそのまま、返すわよ!!」
ギュィィィィィィィィィィィィィィン!!!
「クレセント避けろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「う゛にゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
4506.
「にゃ゛、あ゛ぁ゛・・・」
「ひ、左肩が・・・急所は外せたけど・・・」
「ああ゛っ、クレセントちゃん゛・・・!」
「諦めんな!! 片腕がなんだ、まだ右腕と両足も残ってる! 手負いの毛利1人を倒すには十分だ!」
4507.
「・・・う、ぐぅ・・・私もかなりの傷を負ったけど、あの子ももう、自由に飛び回るのは無理でしょう。さあ、どうするのかしら」
「ああ、クレセントちゃん・・・! 手負いとは言え、この状態から毛利さんを倒すには、もう・・・!」
「まさか、あの子、あの技も・・・!?」
「使うかどうかはクレセント次第・・・だが、あいつはやるだろう」
4508.
「う、にゃぁぁぁぁぁぁぁ・・・っ」
「あぁっ、やっぱり・・・!」
「顔を上げろサバ令嬢。あれが、クレセントの覚悟だ。お前が見なくてどうする。心配せずとも、あいつ自身が死なないようにはするさ。毛利が死ぬこともないだろうから、これで勝負を決めきれるかどうか、だが」
「っ・・・見守るしか、ないのですわね・・・」
4509.
「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・っ」
(何か来る。あの手の形、範囲は恐らく・・・だったら、私のすることは・・・)
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・っ」
(防ぎきる、のみ)
4510.
「来なさい」
「ニャこーほーーーーー!!!」
「ぐっ・・・」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォンンン!!!!
4511.
「「「うぉわぁぁぁ・・・っ!!」」」
【こ、これは、凄い衝撃・・・!】
「クレセント、勝てよ・・・!」
「勝つに、決まってますわ。これなら、毛利さんも・・・」
4512.
オオォォォォォォォォォォン・・・・・・。
「ぶ、武舞台が・・・」
「そういう技だからな。だが、さすがは毛利。あいつの周りだけは、えぐられずに残っている。攻撃範囲を悟り、防御に徹したのだろう。だが・・・」
【え! え・・・!】
4513.
「「「ザワザワ、ザワザワ・・・」」」
「おい、嘘だろ・・・」
「嘘なもんかよ。目に見えてるものが全てさ。さすがは私らのクレセント。 審判!! ダウンだ!!!」
【えっ、あっ、はっ、はい! 信じられませんが・・・毛利選手ダウン! ワン! ・・・ツー! ・・・】
4514.
「「「ザワザワ、ザワザワ・・・」」」
【スリー!】
「し、信じらんねぇ・・・あの毛利が・・・」
「ネコちゃん・・・すごい・・・」
4515.
「まさか勝つのか・・・? あのネコが」
「もう、力を使い果たしてあのまま落ちるしかなさそうだけど、意識はありそうね・・・」
【フォー! っ・・・】
「毛利、毛利・・・! お前はここで終わるような戦闘士じゃないだろ・・・!? 見せてくれよ! 前回王者の意地を、都大会2位の意地を・・・!」
4516.
「やりきった・・・毛利ファンには悪いが、あとはこのまま、ヤツが起きないことを祈るのみ」
「さすがにもう、クレセントちゃんに体力は残されてないですわね・・・」
「仮に落下の衝撃で気絶しても、先にカウントが始まってる毛利さんの負けが決まるはず・・・ん・・・? ちょっと待って。今のままじゃまずいわ・・・!」
「ど、どうしたみずき・・・?」
4517.
【ファイブ! っ・・・!】
「まずいわ! このままじゃ反則負けになる!」
「反則だって? 何を・・・」
「このまま行けば、テンカウントになる前にクレセントちゃんは毛利さんに所に落下する・・・それはダウンしてる相手への追撃になってしまうわ!!」
4518.
「そ、そんな、ここまで来て・・・!」
「みずきの言う通りかも知れない・・・あの位置からの落下だと相当な衝撃になるだろう。本人にその意思がなくても、結果としてダウン中の相手に大ダメージを与えれば反則と捉えられてしまう・・・!」
「そんな! そんなこと・・・!」
「そんな甘い競技じゃないんだよ、これは。下にいる毛利に対して、クレセントは明確な意思を持って真上から攻撃した。当然、毛利のダウンを狙って。ともすれば、そのダウンした相手に自分自身が落下しないようにするのは当然のこと。増して、体力を使い切る技を使うならな。
自分自身まで動けなくなる技を使うにもかかわらず毛利への落下線上に居たままというのは、自分の体を毛利にぶつけることまでセットだったってことになる。狙ってなかったにしても、ダウン中の相手への追撃が禁止されてる以上、そこまで考えて行動しなければならなかったんだ。それができない奴に、チャンピオンになる資格はない」
4519.
【っ・・・シックス!】
「そ、そうですわね・・・そんなことも分からないようでは、勝利を手にするには相応しくありませんわね。 ・・・クレセントちゃん! 起きているでしょう! このまま落下して毛利さんに激突すれば反則負けです! 意地でも横にずれなさい!!」
「う゛、にゃ゛・・・!」
「なっ・・・クレセント、あいつやっぱり・・・!」
4520.
「う゛、にゃ゛にゃ゛・・・!」
「ダメだ、あいつにはもう小さな気弾すら出す体力が残ってない・・・!」
「ク レ セ ン ト ち ゃ ん ! 泳 い で で も 避 け る の で す ! !」
「お願い。クレセントちゃん、どうか・・・」
4521.
【セブン!!】
「「「ザワザワ、ザワザワ・・・」」」
「ほんとに、毛利が負けるのか・・・?」
「それより、あそこの人たち何言ってるの・・・? ひたすら横に逃げろって・・・」
4522.
「あ、あれだ・・・多分、このまま落ちればダウン中の相手への追撃になるから・・・」
「うお、マジだ。じゃあ、このまま行ったら・・・!」
「このシチュエーションなら、反則負けも有り得るだろう。避けりゃ済む話なんだから。体が動かないなんて、戦闘士の言い訳になるもんか」
「ネコちゃん! そのままじゃダメ、動いて・・・!!」
4523.
「おいおい、せっかくあの毛利をダウンさせたのに、そんな終わり方ってありかよ・・・」
【スゥゥ~~~ッ、エイト!!】
「間違いない。テンカウントより先にあのネコが落ちる・・・!」
「テンカウント後だろうと避けれなきゃアウトだと思うがな」
4524.
「「「ワーワー! ワーワー・・・!」」」
「毛利起きろ!」
「ネコちゃん早く横に!」
「う゛、にゃ゛あ゛・・・ッ!」
4525.
「ダメだ! もうクレセントのヤツは動けない・・・!」
「何とかなりませんの!? 1メートル、いえ、50センチだけでも・・・!!」
「それには・・・及ばないわ・・・」
【ナイ・・・ん、あ・・・!!】
4526.
「な゛、あ゛・・・・・・」
「う・・・そ・・・・・・」
「こんな、ことって・・・・・・」
「あいつ、あいつ・・・!!」
4527.
「立ちやがったーーーーーーーーーーーーー!!」
「「「「「わぁぁぁぁ・・・っっ!!!」」」」
「「「「「ううぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!」」」」」
「バケモンかよ・・・」
4528.
「まずい! クレセント逃げろ!! ジャンピング後ろ回し蹴りが来るぞ!!!」
「さっきとは別の意味で避けなければならなくなるなんて・・・」
「毛利さんが起きたなら避ける必要なんてないわ!! もう追撃できるのだから、一発叩き込めばいいのよ!!」
「そうか! クレセント!! どうせ動けないのなら、お前の全てをその一撃に込めてみろ!!!」
4529.
「うぅにゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・!!」
「スゥーーーーッ」
タンッ。
「はぁぁぁぁああ゛っ・・・」
4530.
「にゃあ゛っ゛!!!」
「っだぁ!!!」
ガッ・・・!!!
【ッ・・・・・・!!!】
4531.
「にゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「クレセントぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛っ゛っ゛!!!!」
「っ・・・・・・!!」
4532.
ドガァァァァン!!!
「にゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ・・・!」
「「「わぁぁぁぁ・・・っ!!」」」
「「「きゃぁぁぁぁ・・・っっ!!!」」」
4533.
「自分で沈下させた武舞台の内壁に、埋まったか・・・」
「その衝撃で気も失ったようね。それに・・・」
「クレセントちゃ゛ん゛、ク゛レ゛セ゛ン゛ト゛ち゛ゃ゛ん゛・・・!! 這い出るんです!! まだ、まだあなだはただがえまず・・・!!」
「サバ令嬢・・・」
4534.
「な゛に゛を゛あ゛き゛ら゛め゛て゛い゛る゛ん゛て゛す゛か゛!! ま゛た゛、ま゛た゛て゛しょ゛う゛・・・!!!」
「サバ令嬢さん・・・でも、あそこは・・・」
「ハァ、ハァ・・・・・・。審判の、お姉さん・・・っ・・・。あそこ、場外、 ・・・よね・・・?」
【え・・・!?】
4535.
【え・・・た、確かに・・・武舞台と同じ広さの穴が開いていて、その壁に埋もれているということは・・・場外となる場所の、地下・・・】
「そ、んな・・・クレセント、ちゃん・・・」
「っ・・・・・・」
「無念、だ・・・・・・」
4536.
【く・・・クレセント選手、場外・・・! よって、勝者、ならびに、市民大会チャンピオンは・・・・・・伊久仁高校、毛利選手!!!】
「「「「「ワーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」」」」」
「「「「「ああぁぁぁぁ・・・っ!!!」」」」」
「くっ・・・そお゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛・・・っ!!」
4537.
【なんという、なんという戦いだったのでしょう! あの、毛利さんが! 昨年に圧倒的な強さを見せつけた毛利さんが! なんと、ダウンを取られ、あわやテンカウントダウンも見えるところまで追い詰められました! ですが最後は、死力を使い果たしたクレセント選手に強烈な一撃を叩き込み、見事勝利を収めました! 2連覇です! 辛く、苦しい時を乗り越えての2連覇となりました!!】
「「「「「ワーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」」」」」
「ネコちゃん・・・あとちょっとだったのに・・・でも、カッコよかったよ・・・!」
「もぉうりぃぃぃぃぃぃい!! やっぱりお前が最強だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
4538.
「クレセントちゃん、うう゛、クレセントちゃん。どうして・・・! あんなに頑張ったのに゛・・・!!」
「っ・・・仕方のないことさ。頑張っても、負けることはある」
「でも゛、でも゛・・・! あんなに゛、あんなに゛頑張ったのに゛・・・! どうしで、どうしで・・・うぅぅ゛っ、あぁぁぁ゛っ、うわあぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん!! あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛、わあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん・・・・・・!!」
「一番悔しいのは、クレセントちゃんでしょうね・・・私たちが、泣いちゃダメよ・・・」
4539.
「うぅ゛・・・クレセントちゃ゛ん・・・・・・」
「っ・・・だが、完敗だな。闘気を消耗する気功波に頼らざるを得なかった時点で、格上との闘いだったんだ。差を埋めるために気功波を使い、気功波を使うから余計に差が広がる。すると最後は大技に賭けるしかないのだが、ニャ貫光殺砲は投げ返され、ニャ功砲は真正面から耐え凌がれた。どうやれば勝ったんだ? そんなもの、きっとないさ。あいつが、クレセントを上回っていた。だからこその負けだ。甘んじて、受け入れるしかないな・・・」
「毛利さん相手によく頑張ったと、褒めてあげるしかないのね・・・。それでも、クレセントちゃんは納得しないでしょうけど」
「うぅ゛ぅ゛ぅ゛・・・、う゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛・・・」
4540.
「行ってやろうぜ。あいつの元に。1人壁に埋まったままじゃ、可哀想だ」
「そうね・・・試合も終わったから、下りても怒られないでしょう」
「おら、サバ令嬢も行くぞ」
「っ・・・は゛い゛・・・・・・」
4541.
「ハァ、ハァ・・・本当に、なんて相手だったのかしら・・・」
ストッ。
「あ、はは・・・担架も、呼んでもらわなきゃ、ね・・・」
ドサリ。
4542.
「毛利・・・あいつ・・・・・・」
「スゥ、スゥ・・・」
「歓声の真っ最中だというのに、倒れてしまったわね」
「担架のスタッフが動き出してる。そっちに任せよう。私らはクレセントだ」
4543.
「クレセントちゃ゛ん、クレセントちゃ゛ん・・・! ああ゛、ああ゛・・・っ!!」
「ボロボロだな。よく、こんな小さな体で頑張ったもんだ」
「本当にね。あの毛利さん相手に、勝ちが見えるところまで行ったんだから。それも、ダウン中の追撃にならないように意地でも避けろ、だなんて」
「うう゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛・・・う゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛・・・!!」
4544.
「うぅ゛ぅ゛、うあ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛・・・」
「あんまり強く締めんなよ、サバ令嬢。あんな戦いの後で傷だらけなんだから」
「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛、はあ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん・・・!!」
「ったく。聞いてるんだか聞いてないんだか」
4545.
「しっかし、凄い光景だな。あの毛利が、血を流して倒れてんだぜ。これを、クレセントがやったんだ。どんなに本人が納得できなくても、それだけは、誇ってもいいだろう」
「ええ。こんなことができるのは、片手で数えられるほどしかいないんだから。今の毛利さんの状態をクレセントちゃんにも見せてあげたいけど・・・起きる気配は、ないわね」
「いいだろ、別に見なくたって。次勝った時に見りゃあいい。負けたってぇのに、勝ったヤツが寝てる姿を見んのも酷だろ。今は、ゆっくり寝かしといてやろうぜ。サバ令嬢。家に帰ったらちゃんと労ってやれよ?」
「う゛ぅ゛・・・、う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛・・・・・・」
4546.
「よぅ、待たせたな男衆」
「気にすんな。やっぱ起きなかったか?」
「ああ。医務室に連れてってもらった。付き添いが泣きじゃくってるサバ令嬢だけだが、ジョンとベンジャミンもいるし大丈夫だろう。私らは帰ろう」
「そうだな。かける言葉もないしな」
4547.
「くっ・・・自分の不甲斐なさを痛感するばかりです。お嬢様が心を痛めているというのに、僕にはどうすることもできない・・・」
「どのみちアイツは人に甘えるようなタイプじゃないからな。ヘコンでるとこを見られたくもないだろう。心配しなくても、そのうち高飛車なお嬢様に戻るから今はそっとしといてやれ」
「ですね・・・くっ、それにしても、無念です。あそこまで、追い詰めたというのに・・・」
「その無念を糧に、また頑張りゃいいさ。毛利の強さは痛いほど分かった。それでこそ挑み甲斐があるってもんだろ。これからのクレセントに期待しようぜ」




