2022/08/20
3447.
「兄よ!」
「妹よ!」
「緊急告知だ! ・・・せーのっ」
「「親父復活!!」」
3448.
「ふっ・・・待たせたな」
「別に待っちゃいなかったがな」
「そう言うな娘よ。お前の悪い癖だぞ」
「親父こそそろそろ昭和のオッサンみたいな真似はやめるんだな」
3449.
「俺が相変わらずなのは、この国が相変わらずだからだ」
「だからって若い女に引っ掛かって貢がされるこたねぇだろ」
「それについては反省している。許せ」
「許して欲しくばさっさと新しい仕事探して稼ぐんだな」
3450.
「新しい仕事だと? 馬鹿言うな。今のところに復帰するぞ」
「いや親父こそバカかよ。若い女の退職と同時に鬱で休職して元いたところに戻れると? いい笑いもんだぜ」
「全く。これだからガキは。鬱で休職した中年親父に新しい仕事が見つかるとでも?」
「なん・・・が・・・ッ!?」
3451.
「マジかよ・・・もう私らんち詰んだんじゃね?」
「今に始まったことではない。大手で早期退職を食らった時点で終了だ。今の会社では休まず働き続けたところで昇給はない」
「なんてこった・・・」
「にしても親父、元は本社に就職してたんだろ? それが子会社、孫会社へと移されて最終的には早期退職食らうって、絵に描いたように落ちてったな」
3452.
「ふっ・・・笑えよ、我が子たち」
「いやこれで私らの生活水準決まってんだから笑う気にもなんねーよ」
「いずれにせよアルバイトは続けてもらう」
「「ええぇ~~~~っ!」」
3453.
「驚くほどのことか? 別にいいだろう、もう慣れてる頃だろうから」
「もうすぐ夏休み終わっちまうんだが」
「6月半ばから始めておいて何を言う」
「2ヶ月死んでた割によく覚えてやがる・・・」
3454.
「まぁ別にいいんじゃね? これからはバイトの稼ぎがまんま自分の小遣いになるんだし」
「そうは言うが兄よ。バイト辞めないと部活行ける日減ったままじゃねーか」
「どうせ大した活動してないだろうがあの部活」
「だからこそいいんだよ。遊びながらにして、対外的には部活と評価されるんだろ? これ以上ない根城だね」
3455.
「どのみち俺はバイト辞めることはできんぞ。天下の世界サバ・フィル・ハーモニー所有のサバカレーうどん専門店だからな。部長指示によりバイトは継続だ」
「お前はサバ部の活動としてカレーうどん作ってたのか・・・」
「カレーうどんではない。サバカレーうどんだ。しかも専門店だ。恐れおののくがいい」
「おののく程ではないだろ・・・」
3456.
「そうか涼太。あのサバのご令嬢とは尻に敷かれる関係か。これで我が家も安泰だな」
「勘違いしてるようだがただ人生握られただけだぞ。あいつにとって俺はサバの素晴らしさを世界に知らしめるための作業員に過ぎない」
「そうかそうか! 名家に人生を握られるとは我らが満月家もまだ捨てたものではなかったな! ははははははは!」
「親父も随分とおめでたい奴になったよな。我が家はもうサバから逃れられない命運を辿るしか無くなったというのに」




