2020/04/12
184.
「兄よ!」
「妹よ!」
「・・・せーのっ」
「ダニィ!?」
185.
「へぇっくしょい! へぇっくしょい! ・・・あぁぁ~」
「あれ? 美々香あなた、ヒノキの花粉も持ってたっけ?」
「いや~、ダニにやられしゃったみたいでさ~」
「そろそろ布団干したら? 花粉も収まってきたし」
186.
「え?」
「え?」
「・・・え?」
「・・・え?」
187.
「いや、だから、そろそろ布団干したらどうなのよ」
「ごめん、何言ってるか分からない」
「ごめん、あなたの方が何言ってるか分からないんだけど」
「いや、だから、え?」
188.
「・・・もしかして、布団を干すって、知らない?」
「いや、布団とか干してどうすんのさ」
「あ、ああ~。乾燥機にかけるとか、アイロンかけるとか?」
「は?」
189.
「あなたそれ本気? ダニにやられるに決まってるじゃない」
「そう! そこには、人類とダニの壮絶な戦いがあるんだ! へぇっくしょい!」
「ダニの対処法なんていくらでもあるでしょ。なんでアレルギーと戦うのよ」
「それが私だからだ!」
190.
「いいか、みずき。私という存在は、こうやってダニと戦うんだ! へぇっくしょい!」
「なんでそこに自分の存在意義見出してるのよ」
「私のキャラ的に布団干すとかないだろう!」
「キャラって・・・そんなことのためにダニに苦しむ必要ないでしょう」
191.
「あるんだよ! それが!」
「いや、キャラ作りのためにそんな」
「作っているのではない! 作られたんだ! これが私という存在なんだよ! 布団を干すような主人公はこの作品には求められてないんだよ!!」
「やめなさい。それこそ消されてしまうわよ」
192.
「と、とにかく! そんな訳だから、たとえ苦しむことになったとしても、へぇっくしょい! 私はこうやってダニと戦うんだ!」
「はぁ、何を言っても無駄なようね」
「それはそうさ。作者が私に布団を干すという行為を許さないのだから」
「だからやめて? 本気で消されるわよ?」