2022/03/27
2867.
「「「わいわい、がやがや。わいわい、がやがや・・・」」」
「ついに来てしまったな、この日が」
「そうだな。時間の問題ではあったが。今日は、まさかの・・・」
「「アイドル部の春休みライブ!!」」
2868.
「皆さん、今日はお集り頂きありがとうございます。こうして、またステージの上に立てるのを嬉しく思います」
「「「ワーーーーーーッ!!」」」
「夏休みの納涼祭以来、頑張って練習し、頑張って曲を使ってくれるところを探して、頑張って頑張りました!」
「ん・・・? 曲の売り込みでもやったのかこいつら?」
2869.
「そしてなんと、ゲーム部が今度の夏のイベントに出品するゲームの主題歌に私たちの曲を使ってくれることになりましたー!」
「「「ワーーーーーーッ!!」」」
「というか曲もゲーム部が作りましたーーー!」
「「「ブラボーーーーーーッ!!」」」
2870.
「ぷふっ、頑張った結果素人が作ったゲームの主題歌止まりかよ」
「でもゲーム部って結構侮れないのよ? 賞を取ったこともあるみたいだし」
「まじかよウケる」
「ま、どんなものかお手並み拝見といったところね」
2871.
「それでは、聞いてください。ゲーム部製作中のゲーム、“ガール・ミーツ・ボヤージュ”の主題歌、“シンボルエンカウント”」
ドン、ドン、ドンドンドン「「「ハイ!」」」
チャ~ラチャ~チャララチャラチャ・チャララ~♪ チャ~ラッチャラッチャ~ラララ~~♪
「今度はやけにチャラチャラした曲調だな」
2872.
「まだ~~、見た~こ~と~の~ない~~、景色~~」
「いま~~、ぼう~け~ん~が~は~~~じまる~~」
「さっ~そ~く~も~り~に~なに~か~~、いるよ~~~」
「でも~ゆ~う~き~だ~し~て前に~~、ゆこう~~~」
2873.
「どう~し~よ~う~ち~か~くま~でき~ちゃ~っ~た~よ~~~」
「たたかう? アイテム? オート? にげる? そ・れ・と・も・ひっさつ?」
「「「「たたかえ~~~~~~~!!!」」」」
ドンドンドドン、ドンドドドン!
2874.
「「「「モンスターなんて一網打尽♪ わ・た・し・は~、たぶん最強!」」」」
「「「「ほ~らほ~らほらやっぱり楽勝♪ つ・ぎ・は・ア~イ~ツを、潰せ!」」」」
「「「「そ~んな~トコをウロついてたら♪ わ・た・し・に~、やられちゃうよ!」」」」
「「「「し~らな~いなら教えてあげる♪ きょ・う・は“わたしチュ~イホウ”♪ 」」」」
2875.
「「「「つ~ぎ~か~ら~つ~ぎ~へ~と~め~い~か~いへ⤴~~~~」」」」
「「「「きょ~~うも、みん~なだ~いすきシンボル・エ・ン・カウント」」」」
チャ~ラチャ~チャララチャラチャ・チャララ~♪ チャ~ラ~ラ~ラ~、ドンドドン!!
「「「「ハイ!!」」」」
2876.
「「「ワーーーーーーッ!!」」」
「「「ブラボーーーーーーッ!!」」」
「「「ブラザーーーーーーッ!!」」」
「「「シスターーーーーーーッ!!」」」
2877.
「・・・なんというか、すごいオタク感満載の曲だったわね」
「ま、最初はそんなもんだろ。女子に人気の女子アイドルって難しそうじゃん」
「確かにまずはオタク相手でも知名度を上げるのが先決ね。ゲーム部の作ったゲームの曲でもあるし」
「あとはそのゲーム次第だな」
2878.
「こういうのは男子の意見が欲しいところだけど」
「兄のヤツなら来てないぞ。あいつローグスカート派だからミニスカ集団には興味ないってさ」
「いるぞ」
「うおっ! いたのかよお前」
2879.
「どうしたんだよミニスカには興味なかったんじゃないのかよ」
「アイドルだからと言ってミニスカとは限らないだろ?」
「どんな可能性に賭けて来たんだよロングスカートで踊れるワケないだろ」
「アイドルだからと言って踊るとは限らないだろ?」
2880.
「ふざけんなお前は分かっちゃいないこの私がアイドルの何たるかについて教えてやろう」
「うおっ、ちょっ、おい、離せよ美々香どこに連れてく気だ」
「言っただろうアイドルの何たるかについて教えてやると」
「マジかよ・・・」
2881.
「あ、戻って来たわね。お疲れさまでした、お兄さん」
「ったく、何で高2にもなって妹に30分も説教されねばならんのだ」
「小中学生や園児なら良いって訳でもないですけどね」
「何言ってんだよお前ら。兄ってのは妹にシゴかられる生き物なんだぞ」
2882.
「美々香こそ何を言ってるの? 兄という存在はロクでなしの女友達の義姉というポジションを提供するためのものよ?」
「それはみずきにとっての私の兄だけだろ」
「そもそもそれ言ったら美々香だって崇のやつとくっつけばお前の義姉だぞ」
「違いますよお兄さん。私の義姉になることは“ロクでなしの女友達の義姉”になることとイコールではありません」
2883.
「お前は本気で自分がロクでなしじゃないと思ってるのか?」
「いずれにせよ、崇妹は自身の兄の存在によって美々香の義姉になる夢が阻害されていることに変わりはない」
「ぐっ・・・やっぱり、消えてもらうべきかしら・・・東京湾の干潟にでも埋めるのが良いかも知れないわね・・・」
「お前は本気で自分がロクでなしじゃないと思ってるのか?」