2022/01/23
2676.
「みーずきっ」
「え、なに? 気持ち悪い」
「まーきのっ」
「やめて?」
2677.
「で? お前ら兄妹はこんな寒空の下で何してんだ?」
「お母さんが家にお客さん呼んだのよ」
「あーそれで逃亡してきたのか。だからって何で公園なんだよ」
「俺らも室内で過ごしたいのは山々だったんだが、図書館の“わいわい学習ルーム”は既にゲームしてる奴でいっぱいだったからな」
2678.
「まぁあそこは単なる溜まり場になってるからな。勉強してる奴なんて皆無だろ」
「俺らも喫茶店代わりに使う気マンマンだったけどな」
「でもさすがに寒いわ。ファミレスにでも行く?」
「最初からそうしてろよ・・・」
2677.
「高校生にもなって公園で何やってんだか。どのみち私はこんな寒い場所じゃ付き合えんぞ?」
「ファミレスに行くなら付いて来るって口ぶりね? だったら寒い方がマシなんだけど」
「おいおいそんなツレないこと言うなよ。私は私で家に帰れない事情があるんだから」
「聞かせてもらおうじゃないの」
2678.
「なに、簡単な話さ。母さんが夜食に何か仕込んだらしくてそれ食った兄が寝込んだ」
「え、ちょっと何よそれ。お見舞いに行かせなさいよ」
「やめておけ。今でも現場は相当な臭気になっている」
「何を仕込んだのよ・・・」
2679.
「今思えばお前らも、親が客呼んだぐらいで逃亡とか。自分の部屋あんだから籠ってれば良くね?」
「それがこっちも呼ばれちゃうのよ。若い人の話を聞きたいとか何とかで」
「あー・・・確かにそりゃメンドいな。でもこの時期ならお年玉もらえるんじゃね?」
「もらえないわよ親戚じゃあるまいし。あるのはせいぜいクッキーぐらいよ。それも、その場にいなくても後で食べられる」
2680.
「しっかし客かー。学会活動してるご高尚なご身分は違うな。ウチの親なんて社畜仲間も主婦仲間も呼ばないぜ」
「社畜仲間って・・・休みの日にまで会ってる暇ないでしょ」
「主婦仲間もいないたぁ、PTAに非協力な姿勢を貫いてきただけのことはある」
「絶対そういうの嫌がるよね美々香のお母さん・・・」
2681.
「満月家の人間ナメんな? 誰が好き好んでボランティアなんかするんだよ」
「普通に面倒臭いって聞くからね、PTA役員。ならなかった上に非協力とは徹底してるわね」
「そりゃそうさ。協力なんてしてたら不測の事態の時に代役任されるからな」
「公立の小中でそんなのやったところで子供の将来変わる訳でもないしね」
2682.
「それに引き換え、みずきんちときたら随分とお上品じゃないか」
「2人して学会のナントカ委員の代表やってるからね。顔が広いのよ」
「んで? PTAはやってたのか?」
「そんな不毛なものに使う時間はない、らしいわよ」
2683.
「フッうちと一緒じゃないか。もっとも、うちの場合は他に何かのコミュニティに入ってる訳でもないがな」
「・・・なあ、美々香ちゃん、みずき」
「何だ? この話題に思うところでもあるのか?」
「早くファミレスに行かないか? 寒い」




