2022/01/02
2585.
「・・・ふぅ、ついに2022年か」
「全てが2で揃うまで、あと200年」
「それまでに、私たちは生きていることができるだろうか?」
「無理だろ」
2586.
「じゃあ寿司食おうぜ」
「今の前置きは何だったんだ?」
「新年の挨拶さ」
「ほっほっほっ。相変わらずじゃのう美々香。その調子じゃ」
2587.
「おやおや、お爺ちゃんじゃないかい。それに美々香に涼太まで」
「ん? ・・・うおっ! 婆ちゃん!」
「マジかよ。何年ぶりだ?」
「覚えてないねえ。2人とも大きくなったねえ」
2588.
「婆さんや、友だちとの初詣はどうしたのじゃ?」
「その帰りじゃよ。ほれ」
「おやおや、丸江さんのお孫さんかね? えらい可愛らしかね~~」
「お兄ちゃんもよか男たいね~~」
2589.
「2人とも、ちょっと家族さぁびすするから先に行っといてくれんかのう?」
「よかよ~~」
「お孫さんとたっぷり話してきんしゃいね~~」
「何年もウチに来てない割にはあっさりとこっちに来るんだな、婆ちゃん」
2590.
「何年も孫の顔を見に行かんことの方が問題じゃ。ワシとの初詣もせんからにして」
「お爺ちゃんは毎日会ぅとるじゃないですか。友だちは年に一度やっけんね」
「私らも年に一度なんだが?」
「お年玉ばせがまれたくなかとよ」
2591.
「フッ。我が祖母ながらごもっともな理由だったぜ」
「我が祖母だからこそ、かもな。血は争えん」
「あたしに満月家の血は無かはずばってんねえ」
「結婚相手に爺ちゃんを選んだ時点で同類だ」
2592.
「そういえば美々香はお爺ちゃんと約束しとった世界征服は進んどっとね」
「いや~それが中々に手こずっててね」
「だから何なんだよその約束。去年も似たようなこと言ってたろ」
「涼太も手伝ってくれるなら教えてやるぞよ」
2593.
「いや、いい。余計なことに巻き込まないでくれ」
「ほっほっほ。まだまだじゃの涼太は」
「全くだ。それで満月家の人間を名乗るとはな」
「捨ててやるよこんな家柄」
2594.
「それじゃあたしは友だちんとこに戻るけんね。亘と幸代さんにもよろしく言うとうてね」
「そういやあの婆ちゃん、我が子の顔も見ないで友だちと寿司食ってんだな」
「今頃親父らは2人寂しく年越しそばの残りか」
「まあいいさ。私らも寿司を食おう」
2595.
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「いやあ、カニは美味いな、母さん」
「全くだよ。お義父さんが来てくれない限りバカ息子どもが家に張り付いてるからね。おちおち贅沢もできないよ」