2022/01/01
2574.
「祖父よ!」
「孫よ!」
「・・・せーのっ」
「「謹賀新年!」」
2575.
「涼太もどうじゃ。孫よ!」
「えー何で俺まで」
「孫よ! ・・・せーのっ」
「「A happy new year!!」」
2576.
「あらお義父さん、いらしてたんですか」
「久しぶりじゃのう幸代さん。今年も婆さんが友達と初詣に行ってしまっての」
「2人はいつ一緒に行ってるんだ・・・?」
「そんなものは若かりし頃に済ませたよ」
2577.
「どれ美々香に涼太、お年玉をくれてやろう」
「イヤフ~~! ビバ、お年玉! ビバ、正月!」
「全くアンタは・・・お金のためにお正月があるんじゃないよ」
「何言ってんだ。私の人生が金のためにあるんだから正月もそれ以外も全部金のためなんだよ」
2578.
「あんまり甘やかさないでくださいよ、お義父さん」
「それがのぅ、我が子を育てる時は厳しくせざるを得ないから、どーーしても孫には甘くしてしまうのじゃ」
「あたしにとってはこいつらが我が子なんですが」
「そんなものはそっちの都合じゃよ」
2579.
「ハァ・・・誰に似たんだか」
「爺ちゃんまでこうなんだからもうこれは満月家の宿命だろ。嫁に行く先を間違えたな」
「全くだよ。父さんもその辺の零細勤めになっちまうし」
「ほっほっほっ。そういうこともあるて。ワシも亘ぐらいの歳にはクビになったもんじゃ」
2580.
「爺ちゃんまでクビ経験してたのかよ。どうする兄よ」
「クビになるまでに金稼いどくしかないだろ」
「クビを回避する方向で考えろよ。終わりにしようぜ? 負の連鎖を」
「そんなのは簡単にできる。結婚しなければいい」
2581.
「若いのに何を言うておる涼太よ。結婚こそ人生のピークではないか」
「ピークとか言うなよ」
「そうですよお義父さん。ピークは結婚して5年目ぐらいですよ」
「母さんもやめろ」
2582.
「どうれここは景気付けに、寿司でも食べに行こうかの」
「イエス! 寿司! SU・SHI!」
「いいじゃないかい。アンタら将来どうせ貧乏なんだから、今のうちに美味しいものを食べときな」
「ひでー母親だぜ」
2583.
「母さんはいいのか?」
「アタシゃいいよ。昨日の年越しそばも残ってるしね」
「んじゃ行ってきまーす!」
「晩ご飯少なめにするからたくさん食べて来るんだよー」
2584.
「・・・さて」
「行ったか」
「うん。呑気に歩いてるよ。お義父さんが上手くやってくれたね」
「じゃあ2人で食べに行くか。カニ」