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2021/12/05

2418.


「兄よ!」


「妹よ!」


「・・・せーのっ」


「「第2回、カッコイイDIY選手権!」」



2419.


「説明しよう! カッコイイDIY選手権とは、頭文字がD・I・Yとなる言葉を並べ、カッコイイのを作った人が優勝となる!」


「ついに来たな第2回。今回は、誰が栄冠を勝ち取るんだろうな」


「見ものね。もちろん、どんな作品が飛び出すのかも含めて」


「言うほど前回大した作品なかっただろ・・・まあ、審査員はやるが」



2420.


「出場選手の紹介をしましょう! まず、ディフェンディングチャンピオン、我らが母、満月幸代!」


「まったく。またこんなのに付き合わなきゃいけないのかい」


「前回覇者からカケラほども意気込みを感じないのだが」


「それがカッコイイDIY選手権の醍醐味だ」



2421.


「ちなみに前回優勝作は、“どこに・行ってるのさ・夜ご飯冷めちまうよ”だ」


「英語じゃないんだよなぁ・・・」


「何でこんなのが優勝したんだっけ?」


「最初の出番が母だったから全員が中間点を付けた。そして、他の作品があまりにも酷かった」



2422.


「続いて参りましょう! 前回で引退を発表した父に代わり、サバ令嬢!」


「何なんですの? この変な催しは。まあ、庶民のやることなので付き合ってあげますけれど」


「親父って引退発表したのか?」


「そういうことにした。なんせ前回の作品は“どこだって・いいじゃないか・よ”だ。カッコ悪いにも程がある」



2423.


「さぁ続いて3人目の挑戦者、前回惜しくも2位だったクレセント!」


「にゃお~~~ん!」


「えー、クレセントは言葉を話せないので、フリップに書いてもらう形でも参加となります。ちなみに前回の作品は“December Is Year - end”」


「唯一まともに英語でDIY出したのネコだけだったからな・・・」



2424.


「そして最後の挑戦者! サバ漁船送りになった谷崎に代わり、アイドル部顧問の榊坂!」


「あんなふがない教師のことなど忘れた方がいいのでは?」


「女子生徒集めてアイドル部作ったやつがよく言うよな・・・」


「ちなみに前回の谷崎の作品は、“ドウター・イズ・ベリーヤング”だ」



2425.


「さぁ早速始めましょう! 今回はどんなハイレベルな戦いを見せてくれるのかぁ~~っ!?」


「ハイレベルになると思ってるお前の方がハイレベルだよ」


「むしろただハイになってるだけね」


「考えても無駄だ。何も考えずに役割を全うすることに集中するんだ」



2426.


「では前回王者の母! 作品をどうぞ!」


「そうだねぇ・・・でもとかだってとか・言ってるんじゃないよ・やかましい」


「レベルが全く変わってない!!」


「母さんに何を期待してたんだよお前は」



2427.


「では点数を見ていきましょう。私、5点! 兄、5点! みずき、5点! みずき兄、5点! 全員が相対評価を選択したぁーーっ!」


「正直2点か3点にしたかったんだが、これの下を行かれる可能性があるのがこの選手権だ」


「同感です。無暗やたらに低得点を付けない方がいいでしょう」


「高得点つける理由が切なすぎるだろ・・・」



2428.


「では次、サバ令嬢!」


「行きますわよ、よろしくて? ・・・Dry Instant Yielding」


「あ? え~っと・・・乾燥・瞬間・生産性のある、だな」


「・・・採点に移ろうか」



2429.


「では、得点発表! 私、2点! 兄、6点! みずき、4点! みずき兄、7点!」


「とりあえず、母さんよりはマシだと判断した」


「でもさすがに意味が分からないのはちょっと・・・」


「まぁ響きだけはそれなりに良かったぞ」



2430.


「合計19点! 惜しくも母さんに及ばず!」


「くっ、悔しいですわ! どうして美々香さんは2点ですの!?」


「いや形容詞で終わんなよ。読み上げる方の身にもなってみろ」


「美々香から思いのほか冷静なコメントが入ったな」



2431.


「では次、クレセント! フリップをどーぞ!」


<Deep Incredible Yielding>


「ほほぅ・・・深い、信じられないほど凄い、生産性のある」


「最後のYが令嬢とかぶってるんだが」



2432.


「重複など関係ない。作品そのものを評価しよう。私、7点! 兄、7点! みずき、8点! みずき兄、8点! うぉぉぉ~~~! 高得点だぁ~~!!」


「形容詞で終わっているが、“DIY”そのものを形容詞だと考えれば問題ない」


「“DIYプラス名詞”という使い方ができるわね。さすがクレセントちゃん」


「響き的にも令嬢のより良かったな。もっとも、高得点の要因は満月家母が20点で基準に設定されたからだが」



2433.


「ちょっと待ってくださいまし! これは完全にわたくしの作品を受けてのものですわ! いわゆるパクリですわ!」


「そんなことはない。クレセントはお前の発表前には書き終わっていた」


「まぁアレだな。飼い主に似るって言うからな。運命的に2人とも同じ単語が浮かんだのだろう」


「あっ、そっ、それなら、悪くないですわね・・・えへへっ」



2434.


「さぁラスト、我らが教師榊坂! クレセントの30点を超えることができるのかぁ~~っ!?」


「ふん、ネコなどに負けるか。では・・・ドゥ・イット・ユアセルフ」


「・・・・・・は?」


「ハァ~~~~~~ッ・・・。乾いた息しか出ない」



2435.


「はい0点。終了」


「おい何故だ。ちゃんと採点しろ。これ以上ないほどカッコイイのが浮かんだんだぞ」


「バカか。カッコイイDIY選手権において本来のDIYの意味を持ち出すやつがあるか」


「なに・・・DIYってそういう意味だったのか・・・!?」



2436.


「おい、まさか知らなかったのか? いい歳こいて」


「横文字は苦手なんだ。すまない・・・」


「マジか・・・普通に思い付いたんなら大したもんだが・・・だが、それとこれとは別問題。カッコイイDIY選手権の優勝作がDo It Yourselfであってなるものか」


「そうだな・・・俺も引き下がるべきだろう。辞退する」



2437.


「だが、カッコイイDIY選手権でちっともカッコよくない他の参加者にも問題はあるはずだ」


「それもそうだが、Do It Yourselfが世界で一番カッコイイDIYなのは周知の事実なんだ。その中で、それに匹敵するレベルのを考えようぜって話なんだよ」


「そうだったのか・・・聞いてなかった」


「言わなくてもわかると思ったんだよ。参加者なら」



2437.


「まぁいい。この話はもう終わりだ。というワケで、優勝はクレセント!」


「にゃお~~~~~~~ん!!」


「マジかよ、ネコが勝っちまったよ」


「く、悔しいですわ~~~~!」



2438.


「おい! 言葉のセンスを競うものでネコに負けてどうする! 恥を知れ、人類!!」


「アタシゃ知らないよ。もうそっちで勝手にやっておくれ」


「くそ、母さんめ」


「というか人類代表の人選に問題があったんだよ」



2439.


「いえ、ここはクレセントちゃんを誉めるべきですわ。もうわたくしからあの子に教えられることはありません」


「せっかくだからスペイン語も教えてみろよ」


「何ヶ国語もマスターされたら本当に人類負けですわよ?」


「確かに・・・」

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