2021/10/31
2275.
「ふぅ。今日もいいお天気ですわね、クレセントちゃん」
「にゃお~~ん!」
「休日というのは良いものですわ。普段の喧騒から離れて、あのやかましい美々香さんたちもいない。優雅にお散歩でリフレッシュですわ」
「うにゃ~~~ん」
2276.
キィィィィッ。
「ん? 車? 何ですの、急に止まったりして」
「世界サバ・フィル・ハーモニーの令嬢だな。一緒に来てもらおう」
「ハァ・・・結局邪魔が入るんですのね」
2277.
「ジョン、ベンジャミン。始末しておしまいなさい」
「お友だちはこの2人か?」
「ジョン! ベンジャミン! そんな・・・!」
「さあ来てもらおうか? ご令嬢殿」
2278.
「なるほど。ジョンとベンジャミンを封じるとは中々やりますわね?」
「おやおや、随分と余裕がおありで。大した肝っ玉じゃあないか。そういうオンナも嫌いじゃないぜ?」
「触らないで、汚らわしい。クレセントちゃん、やっておしまい!」
「にゃおーーん!!」
2279.
「おいおいおい、まさかこの猫ちゃんが相手か? 人間様の活動に首を突っ込まない方がいいと思うのだがね」
「そう笑ってられるのも今のうちです。クレセントちゃん! まずは二度蹴りをお見舞いしてあげなさい!」
「にゃにゃっ、にゃっ!」
「うおっ! こいつ・・・ただの猫じゃねえ!」
2280.
「ニャフーッ、フーーッ」
「なるほど。こいつぁ油断できねえな」
「相手はどう考えても悪党。ならば格闘タイプの技は有効なはず」
「それはどうかな?」
2281.
「何ですって・・・?」
「確かに、俺らはお前ら表舞台の連中からすれば悪党。だが、俺ら自身にとっては正義そのものであり、フェアリー。格闘の攻撃など効かん!」
「そんな・・・!」
「しかも! フェアリーの技は格闘には抜群! 行くぞ! 食らえ! ソウルクラッシュ!」
2282.
「ニャハッ♪」
「何ッ! 生き延びている、だと・・・!」
「甘いですわね。クレセントちゃんは猫だから本人のタイプはノーマル! フェアリーの技も普通ですわよ! そして、あなたは今、自分の属性を明かしました! クレセントちゃん! ダストシューーーート!!」
「ぬ、ぬぉぉぉぉぉぉ!!」
2283.
「なぁ~~んちゃって」
「なん、ですって・・・!?」
「確かに俺らはフェアリー。だが、日頃からゴミ溜めに囲まれているからゴミは効かん!」
「そんな・・・!」
2284.
「甘いな、サバ令嬢」
「そっ、その声は・・・美々香さん!」
「にゃおーーーーん!!」
「真打登場というワケだ。どこの悪党だか知らないが、クレセントに勝とうなど100年早いわ」
2285.
「貴様、何者だ!」
「しがない女子高生さ。お前ら悪党を潰すために、庶民の底からやってきた正義の使者、とでも名乗ろうか」
「素人が手ぇ出してんじゃねえぞ? 痛い目みる前に帰ってママの手料理でも食ってろ」
「小悪党をブッ潰してから食うメシの方がウマいんだな、これが」
2286.
「口だけはイッチョ前だなお嬢ちゃん。だが、お前らに俺らの弱点が見抜けるか?」
「見抜くも何も、さっき自分で言ってたじゃないか。ゴミ溜めに囲まれて生きてたんだろ? お前らみたいな裏の連中は社会のゴミであり、社会の毒。つまり毒タイプ。弱点は地面かエスパーだ!!」
「なにっ!!?」
「決めろ! クレセント! サイコキネシスだ!!」
2287.
「にゃおーーーーん!!」
「ぐ・・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・!!」
「フッ。決まったな」
「ニャハッ♪」
2288.
「ま、まさか、倒してしまうとは・・・悔しいですわ、美々香さんなんかに助けられるだなんて」
「甘いなサバ令嬢。お前はまだクレセントマスターになれていない。ま、日々の鍛錬で精進することだな。まずは新技の1つでも覚えさせてみろ」
「く、くぅぅぅ~~~っ。クレセントちゃん! 帰って特訓ですわよ! わたくしたちに休日などありません!」
「にゃおーーーーん!!」