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2021/10/24

2246.


「兄よ!」


「妹よ!」


「・・・せーのっ」


「「スローモーション!」」



2247.


「作者のヤツ、スポーツのハイライトでやたらスローばっかり流されるのが気に入らないらしい」


「割とどうでもいい情報をありがとう」


「“割と”、というよりも完全にどうでもいい情報でしたわね」


「だが今日はこのテーマで行くしかない。作者の意向だからな」



2248.


「なんであいつスロー再生嫌いなんだ? 何起きてるか分かりやすいのに」


「別に嫌いってほどじゃないが・・・その“何起きてるか分からない感”が良いらしい」


「その気持ち、分かりますわ。最初に見たまんまのスピードでもう1回見たいのに、スロー、スロー、スロー。興が乗りにくいのは確かですわね。そもそも、わたくしたち人間は・・・」


「サバ令嬢の語りが終わるまで約30秒お待ちください」



2249.


「ちょっと! なんでわたくしの台詞をスキップしてしまいますのよ!」


「作者がやったことだ。私に文句を言うな」


「作者さんが・・・! そ、それは逆らえませんわね・・・」


「さすがは令嬢。世の渡り方ってモンを分かってるじゃないか」



2250.


「ですが最近わたくしの台詞に意味不明なものが多すぎませんこと?」


「この作品の宿命だ。諦めろ」


「そう簡単に諦められるものですか。自分の発言が美々香さん並みに意味不明になってしまっているのですから」


「おい何私を引き合いに出してんだよ」



2251.


「とか言ってるのも作者の手のひらの上だがな」


「そんな・・・ことが・・・」


「あーはいはい、そうやって悩んでるのも全部作者が仕込んでるから」


「いやですわーーーー!!」



2252.


「ダメだこりゃ」


「しょうがないさ。こいつはまだ1ヶ月も経ってないんだ。この世界に適応できてないのだろう」


「どうして2人はそう落ち着いてられますのよ。・・・と言ってるのも作者さんに操られてるだなんて、あぁ゛ぁ゛~~~~!!」


「どうするよこれ」



2253.


「とりあえず話をスローモーションに戻そう」


「そ、そうでしたわね。今日はその話でしたわね」


「というのも作者が用意したテーマだがな」


「やめてくださいまし!!」



2254.


「等倍速で何度も見たいとは言ってもなぁ、スローしてくんないと何起きてるか分からんだろ」


「1回ぐらいならスローをやってもよろしいのではなくて? 等倍速が1回で残りがスローだと等倍速が欲しくなりますけれど」


「じゃあ俺たちもスローで喋ってみるか」


「何でそうなりますの?」



2255.


「ぶぇぇつぅにぃスゥロォォ~どぅえぇもぉ、くぁぁまぁわぁぁんどぅぁぁるぉぉぅ」


「くぁぁまぁわぁぁぬぁぁくぁあありぃまぁせぇぇんわぁぁ~~」


「ぎゅぁぁくぅにぃぬぁぁにぃしゅぅあぁぶぇぇってぇるぅかぁぅぅわぁかぁるぁぁんじゅぁぬぁいぃかぁぁ」


「ゆぁぁめぇにぃしぃむぁすぅわぁよぉぉくぉぉんぬぁぁぬぉぉぉ」



2256.


「ゼェ、ハァ・・・やっぱスローってダメなんだなと分かった瞬間だったば」


「アァ゛、ハァ・・・」


「さすがに作者もスローのセリフ書くのが面倒になったか」


「と、いうワケで次は声だけそのままで動きがスローになるぞ」



2257.


「ちょっと! 何でそうなりますのよ! 本当に、体が、動かな・・・!」


「諦めろよサバ令嬢。って、オイ。眼鏡クイッをやりたいのに手の動きが遅ぇ!」


「いや美々香お前メガネ掛けたことないだろ」


「今から掛ける! しかし体が追い付かない!」



2258.


「もどかしい! あまりにもどかしすぎますわ! 何で作者さんはこんなことを!」


「スローに対してネガティブな発言を行った以上、スローは良いものだということも示さなければならなくなったのだ」


「やり方が間違ってますわよ!」


「あの作者にまともなやり方ができるかよ」



2259.


「おいどうするよこれ。私ら家に帰れんぞ」


「屋敷の者に車を用意させます! 迎えに来てもらいますわよ」


「でもその車もスローになるんだろ。というかこれじゃまともに乗れん!」


「で、電話を掛けるのもひと苦労ですわ・・・!」



2260.


「そうか! 脳の処理速度がそのままで体だけスローだからもどかしんだ! 脳もスローにしてもらおう!」


「よせ美々香! それ以上バカになったらどうするんだ!」


「しかし、美々香さんの脳の処理速度が落ちれば意味不明な発言も減るのでは?」


「そうか! 言葉そのものが紡げなくなるからな!」



2261.


「とにかく試してみよう。私の脳みそスローモーションモード、オン!」


「さて、どうなるか・・・?」


「きゅぉぉぅうぅぬぉぁぶぁぁんムェシィ」


「何でだよ!!」



2262.


「ふぅ。ようやく戻してもらえましたわね」


「体が動くって、こんな幸せなことだったんだな」


「いや~脳みそまでスローにさせられたら大変だったぞ?」


「お前結局脳内で文章完成する前にしゃべり始めるから声がスローなのと一緒だったな」



2263.


「それで、結局スローモーションの良さを伝えることができておりませんことよ?」


「いやでも人ってしゃべりながら文章考えてるんだなっての分かって良かったじゃん」


「それ作者だけなんじゃね?」


「美々香さんは確定ですけれどね」



2264.


「ですが、美々香さんの意味不明発言がどのような思考のもとに生まれてるのかはスローでないと分かりませんわね」


「さっきのは明らかに、とりあえず“今日の”までをしゃべりながら次のセリフ、“晩メシ”を考えてたよな」


「むしろ高度に思えてきましたわね・・・」


「だが結果として、ロクに考える時間がないからイミフな発言になっているってワケだな」



2265.


「お前らさぁ、私の発言が意味不明って言ってるけど考えてるの作者だからな?」


「あいつの思考回路がおかしいのは今に始まったことじゃない」


「そうですわよ。でなければ私の発言が美々香さん並みに意味不明になることなんて有り得ないですわ」


「だからそれも作者がやってんだよ!」



2266.


「おいやめろ美々香。あんまりそんなこと言ってると消されるぞ」


「ちょっと涼太さん、消されるってどういうことですの?」


「おっと、サバ令嬢はまだ未経験だったか。作者に歯向かうと、この世と無の狭間を彷徨うことになるぞ」


「どういうことですの・・・?」



2267.


「とりあえず消えとく?」


「そんな軽々と消されてたまるものですか!」


「こういうのは渋ってると、それなりの場を用意しないと消しにくくなるからな。さっさと1回目を済ませちまった方がいい。せっかくだからスローモーションで消えようか」


「えっ、ちょっ、い・・・いぃぃぃぃゆぅぅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! くぁぁんくぁくぅぐぁぁ~うぅぅちぃぐぁぁぅわぁぁくぁぁるぁぁぁぁぁ・・・」



2268.


「よし。サバ令嬢、抹消未経験を卒業だな」


「卒業することに大した価値もないがな」


「ある。ヤツだけが逃れていることが気に食わなかったからな」


「確かに」



2269.


「ゼェェ、ハァァ、ア゛ァァ・・・何だったんですの、今のは・・・」


「お、帰って来たか。良かったな無事で」


「早速だが聞いてみよう。どうだったか? 消された気分は」


「スローモーションなんて真っ平ですわ!!」

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