2021/10/23
2239.
「そんなワケで、先週はサバ令嬢が泊まりに来たぞ」
「ふーん、そうなのね。あ、もちろんお兄さんとは部屋を分けたのよね?」
「そんなワケないだろう。兄妹で同じ部屋使ってんだから」
「はぁ!? 来客時ぐらい兄を追い出しなさいよ!」
2240.
「私でさえお兄さんと同じ部屋で泊まったことないのに!」
「お前は危険すぎてそれができん」
「じゃあなんでサバ令嬢さんには!」
「もしものことがあっても母さんが喜ぶからだ」
2241.
「もしものことって・・・そんなの私が許さないわよ」
「心配すんなよカツジ」
「誰なのよカツジ」
「心配しなくても、サバ令嬢のヤツはウチの兄に興味を持ってないし、そもそもあいつは庶民とは結婚できないし」
2242.
「そうは言っても、お兄さんの方がサバ令嬢さんに興味示したらどうするの?」
「その雰囲気もカケラもないぞ」
「でも、相手は金持ち。私がどんなに身を粉にしても、使用人のいる豪邸での暮らしには勝てないわ・・・」
「愛では金に勝てないのさ」
2242.
「ていうか金以前に、性格は互角にしても見た目は負けてるだろ」
「ちょっと、性格は互角って、私はあんなに傲慢じゃないわよ?」
「傲慢じゃなくても性格ダメなヤツがいるって話なんだが」
「美々香が言うと説得力があるわね」
2243.
「あ? ケンカ売ってんのか?」
「売ってなんかないわよ。プレゼントしてるだけ」
「あぁ? つまりもらって良いってこったなそのケンカ?」
「望むところよ」
2244.
「私のターン! ドロー! 見習い魔法使いを召喚!」
「まずまずの滑り出しね」
「見習い魔法使いを墓地に送って、召喚! ナイトドラキュラ!」
「ふぅん、中々にやるじゃない」
2245.
「だけど、甘いわね、美々香」
「あぁん?」
「トラップカード発動。“先攻は必ず負ける”。その効果により、私はこの戦闘に勝利する」
「うぅぅそだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」