2021/10/17
2219.
「ハァ、ハァ・・・そうこう言ってるうちに日をまたいでしまったな」
「ふん、無駄な議論でしたわね。何を言っても無駄なのですから、さっさと寝て将来に備えたらどうですか?」
「そうだ! サバハーモニーで私を雇え! 掃除ぐらいはするぞ!」
「わたくし、個人的に繋がりのある方を仕事仲間には入れませんの」
2220.
「くっそ、何か策は・・・! そうだ! 知り合いの会社に私を紹介しろ!」
「あなたのような方を紹介したら当家の評判に関わりますわ」
「しまった! こればかりは納得できしまう!」
「自業自得ですわ。日頃の行いを改めてくださいまし」
2221.
「諦めるんだ、美々香。豪邸に住みたいなら上司に取り入るしかないぞ!」
「そのようだな。しかし、この私ならば余裕。プライドなどカケラもないからだ!」
「あら。そういうことでしたら、年下の女性が好みなオジサマなら紹介できますことよ?」
「それは遠慮しておこう・・・」
2222.
「アンタたち、夜遅くまで何やってるんだい。やかましいよ」
「母さん!」
「おや? お客さんかい?」
「お邪魔しておりますわ、お母さま」
2223.
「これはこれは、美々香のお友達かい。こりゃまた綺麗な子だねえ」
「こんばんは、お母さま。いつも美々香さんとは仲良くさせて頂いておりますわ」
「いや私は仲良いなんて思ったことは一度もないんだが」
「こっちも社交辞令に決まってますでしょう?」
2224.
「いや親の前で社交辞令なんてバラすなよ」
「別に構やしないよ。こんな子がこんな娘の友達だなんてこっちが信じられないよ」
「お、話数が2222になったぞ。と思ったら作者のミスで2話ズレてた!」
「本当になんでこんな人が友人なんですの・・・?」
2225.
「聞いてくれよ母さん。こいつんち超金持ちなんだよ。社長やってる親父の年収なんて億は余裕だぜ?」
「それで、涼太との式はいつなんだい?」
「いきなりブッ込んできやがったな・・・」
「あなたの母親ですわね・・・」
2226.
「おい母さん、こいつはみずきとくっ付けるんじゃなかったのか?」
「それも勝手に決めるな?」
「確かにみずきちゃんは良い子だよ。涼太がニートになっても働いてくれるだろうねえ。だけど、社長令嬢ともなれば話は別だよ!」
「聞く耳を持ってませんわね・・・」
2227.
「よーし、美々香、家族会議だよ。涼太はここに残って若い2人で話をしな!」
「会議する気ないだろお前ら」
「それじゃ、アデュー!」
「しっかりするんだよ、涼太」
2228.
「行っちまったぞあいつら」
「いいんじゃないですの? そのうち熱も冷めるでしょう」
「面倒だからお前もう許嫁いることにしろよ」
「世界サバ・フィル・ハーモニーの血筋を継ぐ者として嘘はつけませんわ」
2229.
「じゃあこうしよう。お前は庶民などとは結婚できない」
「それは事実ですわね。当家に何のメリットもない婚姻はできませんことよ」
「令嬢ってのも楽じゃなさそうだな」
「能天気なあなた方には分からないでしょうけれどね」
2230.
「話は聞かせてもらった」
「美々香! 聞いてたのか!」
「サバ令嬢、お前にはお前の苦悩があることはよく分かった・・・血筋に囚われ恋愛も自由にできないということならば、私たちがその鳥籠から出してやろう!」
「わたくし自身の血筋関係なしに、あなたのような方が家族にいらっしゃる方とは結婚したくありませんわ」
2231.
「おいおい、みずきとは逆パターンかよ。そんなこと言ったら私の兄が可哀想だろう?」
「そう思うならあなたが言動を改めるべきでは?」
「無駄だぞサバ令嬢、こいつのクズはその程度では治らない」
「まぁ私の存在関係なしにこいつはモテないから一緒だろ」
2232.
「そこでだサバ令嬢、どうすればこいつがモテるか考えるのに協力してくれ」
「みずきさんがいるから別にもうよいのでは?」
「フザけるな。みずき程度ではこいつ1人がヒモになって終わりじゃないか。逆玉してもらわないと我が家に恩恵がない」
「そんなこと考えてる時点でダメだと思うのですけれど・・・」
2233.
「おいサバ令嬢、お前の知り合いに結婚相手見つからずに焦ってる令嬢は居ないのか?」
「いるにはおりますけれど・・・政略結婚できなかった時点でお払い箱ですから嫁入りで、資産も何も手に入りませんわよ?」
「じゃあ必要ないな」
「あなたね・・・」
2234.
「さっきからお前ら俺の人生勝手に決めんなよ」
「じゃあみずきとくっつくか?」
「崇のヤローの義弟になるなどゴメンだ」
「その考え自体はみずきさんとお似合いですわね・・・」
2235.
「みずきにしてもお前にしても、義理の兄だか姉だかを何でそこまで気にするかね」
「人にはプライドってもんがあるんだよ。お前には分からんだろうが」
「私が人じゃないって言いたいのか?」
「お前さっき自分でプライドはカケラもないって言ってただろ・・・」
2236.
「でも、どうしますの? 涼太さんに殿方としての魅力がないのは事実。このままではみずきさんとしか結婚できませんよ?」
「お前もサラッと酷いこと言うよな」
「事実だからしょうがない。だが逆に、変なのを拾って来て我が家で養う人間が余計に増えるよりマシか」
「なんで結婚相手を金づるか金食い虫でしか考えませんのよ・・・」
2237.
「けっ、政略結婚まみれのご身分でよく言うぜ」
「そういう身分に生まれたからこそ、ロマンスに憧れるんじゃないですの」
「ロマンスだぁ? そんなの庶民にもねぇぞ。夢見んなよご令嬢」
「逆玉の輿だとかいう夢を見てる人には言われたくありませんわね」
2238.
「じゃあ庶民はどのように恋愛をしますの?」
「まず、メシを奢ってくれるのは必須。あと、誕生日と記念日とクリスマスにはブランドバッグか宝石付きのイヤリング、そして年に一度は海外旅行」
「それはあなたの都合でしょう?」
「誰だって自分の都合で相手を選ぶに決まってるだろう?」