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2020/03/28

129.


「兄よ!」


「妹よ!」


「・・・せーのっ」


「「かつお節!」」



130.


「ねこまんまと呼ばれるものは2つあるらしい!」


「ほう」


「ご飯にみそ汁を混ぜたやつと、ご飯にかつお節を混ぜたやつだ!」


「俺は後者派だな」



131.


「あ、私も私も。ご飯にみそ汁混ぜるって、習慣ない側からすると結構抵抗あるよね」


「ま、習慣さえなくて良かったと思ってるけどな。世間的にも行儀悪いって言われてるし」


「カレーなら白米とルー別で出て来ても、平気で混ぜるのにね?」


「あれはそういう料理だからな」



132.


「では! ねこまんまも“そういう料理”で片付かないのか!」


「お前そこに味方する理由ないだろ。見て抵抗ある人がいるから“行儀悪い”ってされてるんじゃね?」


「それで自由を奪っていいのか!」


「だからなんでお前そっちの味方なんだよ」



133.


「てかお茶漬けは普通にアリなのにね。何でだろね」


「やっぱ味噌ってのがな・・・」


「味噌は悪くない! 主役にはなれないけど! ほぼ毎日! 食卓に色を添えてくれる! 縁の下の力持ちなんだ!」


「全味噌に感謝!」



134.


「地域によっては“冷や汁”って名前の、冷たいみそ汁にご飯混ぜる料理があるらしい!」


「マジか。って、ああ~~!」


「どうした!」


「こないだ定食屋で頼んだ“冷や汁定食”、それだったのか!」



135.


「どんなのだったんだ?」


「どんぶりみたいなやつに冷たいみそ汁が入ってて、めっちゃ味濃いんだよ。氷も入ってて溶けるの待ったけど、それでも味濃すぎて挫折しちまったぜ」


「ご飯は混ぜなかったのか?」


「ああ。だって冷や汁がそういう料理だって知らなかったからな」



136.


「でもあれ、白米混ぜたところで味薄くなるのか?」


「いや、私に聞かれても」


「試してみてくれよ」


「なんで私が。華の女子高生に定食屋でご飯とみそ汁を混ぜろと?」



137.


「安心しろ、お前はそれができる女子高生だ」


「それができなかった男子高生が何言ってんだよ」


「だって、怖いだろ、混ぜるの。スポーツドリンクにタルタル混ぜるぐらい怖ぇよ」


「この小心者が! それでも青汁に醤油混ぜたのを飲まされた私の兄か!」



138.


「友よ!」


「何?」


「“あおい軒”に行くぞ!」


「・・・何で?」



139.


「何が悲しくて女子高生2人で“あおい軒”に行かなきゃなんないのよ」


「そこで冷や汁定食を頼んでくれ。私は唐揚げにするから」


「は?」


「兄からの頼みだ、やってくれるな?」



140.


「ふーん、冷たいみそ汁にご飯を混ぜる郷土料理ね。でもこれ、ここでやるの?」


「そういう料理だから問題ないっしょ。むしろ混ぜない方がおかしい。ご飯とお茶が別々だとお茶漬けにならないだろ?」


「それはそうだけど」


「これできる女子高生がいたら、惚れるって兄が言ってたぜ」



141.


「で、どうだ? いけるか?」


「ま、意外といけるんじゃない? 私にはまだちょっと濃く感じるけど。で、これやったら本当にあなたのお兄さんが私のこと考えてくれるんでしょうね」


「もちろんだ! 今から聞いてみる!」


「フザけてんの?」



142.


「別に惚れはしないそうだ! その代わり、デートの約束にこじつけてやろう!」


「“あおい軒”でデートって・・・まあ、最初ぐらいはいいけど」


「すまん! 断られた!」


「ちょっと!!」

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