2021/07/04
1653.
「作者、包丁で指を切る」
「サクりんドンマイ! どんくらいイッたの!?」
「血が出た」
「だろうね!!」
1654.
「何切ってた時にイッちゃったの?」
「しいたけだ」
「しいたけ!?」
「ああ。豆腐みたいにサクッと切れる柔らかいやつでな。スライスしてた時に、傘の下に回り込んでた指までイッた」
1655.
「ネコの手してなかったの!?」
「しいたけ自体小さくてな。つまんでやってた」
「バッカだねぇ!」
「ああ、バカなんだ」
1656.
「奴は料理というものを甘く見ていた。キッチンは戦場、包丁は武器、そして料理人は1人の戦士。奴にはその自覚がなかった。ペンで文字を書くのと同じような感覚で包丁を握っていたのだ!」
「ミミりん厳しい!」
「いや、ケガさえしなければいいのだよ? だが奴は、事実として指を切った。これは奴自身の怠慢によるものだと言わざるを得ないね」
「厳しい!!」
1657.
「いやホント即座に血ぃ出るレベルまでサクッとイッちゃったからねえ。本人も“やらかした”と思ってるよ」
「アラサーになってまで恥ずかしいね!」
「全くだ。マジでいつ以来だろうかと、記憶も辿れないぐらいには久々だったらしい。ちなみに薬指だ」
「それはどうでもいいかな!」
1658.
「たまにさ、軽く当たったりしても血は出なかったりして、人間の皮って意外と強いんじゃね? とか思ったりするじゃん? ガチでやったら普通に切れるっぽいな」
「人間の体は思ってるほど強くないよ! 油断は禁物!」
「ティッシュぐるぐる巻きにしても30秒で真っ赤っか。ありゃそれなりに深かったとみたね」
「痛そう!」
1659.
「出血の割には大して痛くなかったらしい。だが困ったことに、翌日以降もちょっとしたことで傷口が開いて、カバンや会社の床を血で汚した」
「バンソーコは!?」
「あいつがそんなもの持ってるはずがないだろう」
「買いなよ!!」
1660.
「あれから1週間、もう傷はほとんど塞がった」
「でもサクりんのことだから、治りかけで固まってるやつを剝がしたりするんだよね!?」
「ご名答。案の定、その部分は薄皮1枚、肉まで文字通りの肉薄になっている」
「一番薄いのはサクりんの人としても器だけどね!」
1661.
スゥッ。
「あーあ、純のやつ消されちまったよ」
「・・・えっ、えっ!? 今の何!?」
「あ、戻って来た」
1662.
「ねぇ今の何!? アタシ一瞬この世じゃない場所を彷徨ったよ!?」
「作者が用意した私らの墓場だ。一瞬で戻って来れただけマシだと思うんだな」
「えっ・・・えっ・・・!!? 何ソレ! サクりんズルい!」
「発言には気を付けろ。また消されるぞ」
1663.
「まぁ今のは軽いジャブだ。洗礼を受けたとでも思うんだな」
「そんなことされたらアタシらサクりんに逆らえないじゃん!」
「そうだよ? 私らは常にこの緊張感と戦ってるのだよ? キッチン以外も戦場だからな? 軽はずみな発言1つで消されるからな?」
「ウソーーーーーー!!」




