2021/06/13
1604.
「こんにちは、佐藤さん」
「あ! キミは! えっと・・・ミミりんの友だちの・・・えっと~・・・ミズりん!」
「みず、りん・・・?」
「そ、ミズりん!」
1605.
「まぁ何でもいいわ。だけど“美々香の友だち”って覚え方はやめてくれる?」
「えー何で? ミミりん可愛いのに!」
「え、大丈夫? 美々香が可愛く見えるっておかしいわよ? 眼科行く?」
「何でアタシここまで言われなきゃいけないの!?」
1606.
「そんなことより、ちょっと佐藤さんと話したいことがあるから来てくれる?」
「ちょっとだけよぉ~~?」
「・・・とにかく来てください、佐藤さん」
「あ~~~れ~~~~~」
1607.
「アタシのことは純って呼んでいいよ、ミズりん!」
「あなたとそこまで仲良くするつもりはないわ、佐藤さん」
「えぇ~~! ショック~~~~!」
「それはこっちのセリフよ。お兄さんの周りにまた女が増えたのだから」
1608.
「ミズりんお兄ちゃんがいるの?」
「いるけどそっちじゃないわ。私が言ったのは美々香のお兄さんの方。私の兄なんていくらでもくれてやるわよ」
「女子高生が兄を人身売買。少年院へ・・・」
「勝手に人を犯罪者にしないでくれる?」
1609.
「とにかく今日は、美々香のお兄さんについての話よ」
「わかった! ミミにぃのことだね!」
「ミミ、にぃ・・・?」
「そ! ミミりんのお兄ちゃんだからミミにぃ!」
1610.
「二度とその名前でお兄さんのことを呼ばないで。美々香が移る」
「ドユコト!?」
「お兄さんはお兄さんであって、美々香とは全く別の存在よ。だからちゃんと、りょう・・・りょう・・・?」
「名前覚えてないの!?」
1611.
「まぁ名前は後で覚えればいいわ。美々香の兄であることが重要なのよ」
「ミミにぃ可哀想・・・」
「全くよ。あんなやつが妹になってしまったばっかりに・・・」
「ミズりんに狙われることになっちゃったんだね!」
1612.
「あなた・・・! いつからそれに・・・!」
「ふっふ~~ん。ミミりんの友だちであるミズりんをノーマークにするはずがナイっぴよ?」
「中々やるようね。けれど、美々香の義姉の座は渡さないわよ」
「あ、別にそれはイラナイ」
1613.
「え・・・あなた、それでも人間なの?」
「だから何でここまで言われきゃいけないの!?」
「それはそうよ。美々香の知り合いでありながら義姉になることを目指さないなんて狂ってるわ」
「そしたらクラスのみんな狂ってることになっちゃうよ!」
1614.
「だから狂ってるのよ、みんな」
「ミズりんどうしたの!? 今ミズりんが狂いかけてるよ!」
「そうよ。私も、こんな、っ・・・! 美々香に、狂わされてしまって・・・」
「ミズりん・・・大変だったんだね」
1615.
「だから、美々香の実の兄であるお兄さんほど、狙うべき相手はいないのよ」
「そんな理由でオトコ決めるヒト初めて見たよ」
「この程度ならそこらじゅうにあるわよ。金持ちのオトコと結婚したがる奴がいるのと一緒よ」
「アタシはミミりんの義姉って立場にそこまでの価値は見いだせないな~~」
1616.
「本当にいいのね? これほどの優良物件を見送るなんて」
「うん別にイイ。だってビジュアル的にもビミョーだしぃ~~」
「は? あれほどカッコいい人もこの世の中にいないでしょ? 美々香の兄というだけで超絶イケメンに見えるわ」
「眼科に行った方がいいのはミズりんだったね・・・」