第96話
四体に指示をしようとしたらレッドクラブたちは一斉に口から水を吐き出す。
俺は四体の前に出て魔法防御力が上がる【バリア】を使ってから【ラウンドシールド】で防ぐ。俺の方がレベルが高いおかげでレッドクラブの攻撃は完全に防げてる。今のうちに指示を出そう。
「っておい!」
指示を出す前にコガネはシロガネに掴まって空に行き、クロガネは地面を潜っていく。
レッドクラブが水を吐き出し終えると上空にいたコガネがレッドクラブの前に降り立つと、電気を放つ。コガネがスキル【放電】を使ったようだ。
レッドクラブたちは体を固めてコガネの【放電】を耐えている。少しずつだけどレッドクラブの体力が減ってるな。
【放電】が終わるとレッドクラブは動き出し、コガネに迫る。俺は盾を弓に変え牽制する。
「コガネ! 一旦下がれ!」
「シュ!」
コガネは下がらずにレッドクラブたちを素早い動きで翻弄する。
大きな鋏が当たりそうなタイミングで矢を放ちコガネをサポートする。
「シュ!?」
「コガネっ!」
サポートが追いつかずレッドクラブの攻撃を受けて空中に飛ぶ。下で一体のレッドクラブが鋏を開いて待ち構えていたけど、寸前でシロガネが抱きかかえ上空に退避した。
コガネの体力がみるみるうちに回復していく。シロガネの回復スキルである【蜜団子】を使ったんだろう。俺は胸を撫でおろす。
「クモガネ、【凍てつく風】だ」
「キュゥ」
背中を離れたクモガネは翅を動かしてレッドクラブたちに凍てつく風を送る。
凍てつく風を受けたレッドクラブたちの動きが遅くなっていく。よく見るとすぐ後ろの海面が少し凍っているようだ。
「シュ!」
体力が回復したコガネは再び電気を放つ。
さっきよりもレッドクラブたちにダメージを与えていく。
「キシャ!」
俺の足元の地面からクロガネが出てくる。
すると、レッドクラブたちの地面に罅が入っていき陥没した。
コガネは糸を俺に絡めて、緊急離脱して俺の頭に乗っかる。上空にいたシロガネもいつの間にか俺の隣に来ていた。
四体を引き連れて穴を見下ろすと、レッドクラブたちはひっくり返っていた。ああなったらもう動けないだろう。
俺たちは一斉に攻撃をしてレッドクラブたちを倒した。そして、素材を回収した俺たちは船に戻って休むことにした。
インベントリにある食べ物をコガネたちにあげてる間に俺は四体ステータスを確認した。
まずは、コガネからだ。
レベルは25から27になり、新しいスキルは特になく、進化項目も変わらず進化条件は不明のままだ。
次にシロガネ。レベル1だったからかなり上がって、現在はレベル6で新しいスキル【甘い誘惑】を習得した。
【甘い誘惑】は甘い香りで相手を惑わし低確率で相手を混乱状態にする効果だ。デバフ系のスキルか。他のスキルと組み合わせれば面白いことが出来そうだ。
次にクモガネ。レベルは15から19になり新しいスキルは【凍てつく刃】を習得。効果は凍った風の刃を飛ばす攻撃スキルだ。
それともう一つ、クモガネがようやく【共鳴】を習得してくれた。これで攻撃方法が増えるな、早く試してみたい。
レベルが18を超えたことで進化条件が判明。
一体目はアイシクルモス。関連スキルは【凍てつく風】【氷柱落とし】。
二体目はブリザードモス。関連スキルは【凍てつく風】【凍てつく鱗粉】【凍てつく刃】。
三体目はオーロラモス。関連スキルは【凍てつく鱗粉】【極光の壁】。
四体目はツンドラモス。関連スキルは【凍てつく風】【凍てつく鱗粉】【凍てつく体】【凍てつく刃】【凍てつく壁】。
以上の四体だ。
ツンドラモスの進化条件が厳しいと思うけど、それほどまでに強いのだろう。まぁどれに進化するかはクモガネが決めることだけど。
最後にクロガネ。レベルは10から14でコガネと同じく新しいスキルは習得しなかった。それでも、進化条件が判明するレベル18まではあと少しだし、頑張ってレベルをあげよう。
「ん?」
急にコガネたちが静かになったと思ったら目をつぶって寄り添って眠っていた。
寝ている姿を俺は記録しようと思いそっとスクショする。上手く撮れた。
「ゆっくり休むんだぞ」
船内の照明を落として、船のステルス機能を起動させる。これで誰にも見つからないようにする。
それから、俺はソファーに横になり愛らしい寝顔のコガネを見ていると眠気に襲われいつの間にか眠ってしまった。