第87話
俺は全ての指からワイヤーを展開して不規則に攻撃をするも二人は的確に見切って距離を縮めてくる。
障害物があれば、それを利用して攻撃が出来るけど、キツイな……さっきの遺跡みたいなところまで戻ろう。
俺はワイヤーを砂に叩きつけて一気に舞い上げる。
「小癪な真似を!」
視界を遮っている間に俺はシロガネとクモガネを呼び出して、二体に背中を掴んでもらい【飛行】のスキルを使い飛びあがり、遺跡のところに飛んで戻る。
「逃がすか!」
二人の拳が光出すと俺に向かって拳を突き上げてくる。
嫌な予感した俺は二体に右に避けるよう指示をだした。すると、俺がいたところが突然爆発した。
「遠距離攻撃持ちかよ……」
俺は二体に指示を出しながら避け続ける。
大分距離が開いて追い駆けないと思ったけど二人は凄い速さで追い駆けてきた。
もうすぐで遺跡に着く、あと少しだ。
「兄者!」
「おう!」
「【共鳴技・轟岩落日】」
ゴゴゴと音を立てながら空から無数の岩が降り注いで俺は飲み込まれた。
「やったか兄者」
「いや、カウントされていないから生きてるはずだ、油断するなよ」
俺は砂を掻き分けて出る。
「居たぞ弟よ」
「今度こそ仕留める!」
二人が突撃するタイミングで叫んだ。
「今だクロガネ! 【砂地獄】!」
二人の足元が円状にどんどんと沈んでいき中心に向かって流れていく。
二人は脱出をしようともがくがサラサラした砂に足を囚われて身動きが取れないでいる。
そんな二人を見ていると俺の足元にクロガネが姿を見せる。
「よくやったクロガネ」
そう言いながら俺はクロガネの頭を撫でる。
俺はあの時、大きいな岩が直撃する寸前にシロガネとクモガネを戻してクロガネを呼び出した。
そのままクロガネに【岩砕き】の上位互換スキルで新しく覚えた【大岩砕き】を使ってもらって落ちてくる岩を粉々にしてから砂に隠れた。
そして、タイミングを見計らい俺が囮になって、クロガネのもう一つ新しく習得したスキル【砂地獄】を使ってもらった。
このスキルは砂を使った罠系のスキルだ。樹海エリアで試せてなかったから不安だったけど、上手くいってよかったぜ。
「お前……本当に盾士なのか?」
橙色のチャイナ服の男性が体が沈んで行くなか見上げて尋ねてくるも俺は苦笑した。
「そんじゃ俺はこれで」
なんもしなくてもあの二人は沈んで圧死するだろう。
沈んで行く二人に背を向けて俺は歩きだす。
「兄者!」
緑色のチャイナ服の男性が叫び、俺は振り返ると橙色のチャイナ服の男性が【砂地獄】を抜け出し拳を構えていた。
「油断したな!」
俺は咄嗟に盾を展開して防ごうとしたら、俺の目の前で橙色のチャイナ服の男性は突然消滅した。
「兄者! 貴様――」
今度は緑色のチャイナ服の男性が叫んでいる途中で消滅した。
突然の出来事に愕然していると先程別れたはずのカイトからメッセージが飛んできた。
『ハルナ、聞こえるか?』
「……二人をやったのはお前なのか? カイト」
このタイミングでメッセージが来るということは、二人を倒したのはカイトだろうと思い尋ねる。
『正解、油断してただろう?』
「……少しな。てか、どこから狙撃したんだよ?」
『そこから五キロ離れたところからだけど?』
カイトのジョブは狙撃手だ。プレイヤーカードに記載されているか知っていたけど、そんな離れた距離からでも狙撃が出来るとは驚きだ。
それよりも、メッセージを飛ばせるってことは……
俺はカイトのプレイヤーカードを選択して転移した。
「うわっ、びっくりした!」
「転移機能は使えると……」
俺はボソッと零す。
「あ、転移か。プレイヤーカードを交換したのハルナが初めてだったからそんな機能があったのを忘れてたぜ」
「……」
「おい! なんで可哀そうな目で俺を見るんだよ!」
「気のせいだよ、ははは」
「その乾いた笑い方!」
「揶揄うのこれぐらいにして、カイトに提案がある」
カイトは目を細める。
「……なんだよ」
「俺と行動しないか? その方が生き残れる確率は上がると思うけど、どうかな?」
「………………わかった」
渋々とカイトは承諾した。
「そんじゃパーティーを組もう」
俺はカイトにパーティー申請を送ると、カイトは了承して、俺とカイトはパーティーになった。