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第80話

「はぁ~……疲れた」


 課題を結構進めた颯音は丸テーブルに突っ伏す。

 時間を見ると夕方の五時。そろそろメンテナンスが終わりそうだな。


「メンテ終わったら直ぐゲームやるんだろう?」


「うん、その予定だけど」


「じゃあ丁度いい時間だし夕飯作るか」


「おう、手伝うぜ」


 部屋を出るとガチャと鍵が開く音がして玄関のドアが開く。


「ただいま」


「兄ちゃんおかえり」


「冬真兄おかえりさない」


「今から夕飯作る感じか?」


「そうだけど」


「なら外食に行くぞ、準備しろ」


 そう言って兄は外に行く。


「急だな。早く準備……って颯音は部屋着じゃなかったな。先に行ってて」


「おう」


 俺は部屋に戻って適当に着替えて二人が待っている駐車場に向かう。

 後部座席の乗り込みシートベルトをする。


「兄ちゃん、何処に行くの?」


「秘密だ、動かすぞ」


 車のエンジンが掛かり車が動き出す。

 しばらく車を走らせると高そうな店の前に止まった。


「春名……なんか高そうな店だけど俺の格好大丈夫かな……?」


「大丈夫じゃね? 前もこんなことあったし、兄ちゃんここなの?」


 兄ちゃんは頷く。


「車を止めてくるから降りて」


 俺と颯音は車から降りる、車は動き出し駐車場に向かった。

 直ぐに兄ちゃんが戻ってきて、兄ちゃんの後をついて行きお店に入る。

 兄ちゃんの前に一人のウェイターが慌ててやって来る。


「お待ちしておりました小日向様。オーナーから話は伺っております」


「オーナーは?」


「執務室でお待ちです」


「そうか。弟とその友人を先に個室に案内しておいて」


「畏まりました。料理はいかがいたしましょうか」


「運んで置いて」


「畏まりました」


 ウェイターが別の人を呼んで俺と颯音は個室に案内され、しばらくすると次々に料理が運ばれテーブル並べられた。


「美味そう……俺たちで食っちゃっていいのかな?」


「兄ちゃんが言っていたし良いんじゃね? それに我慢できないだろう?」


 そう言うとタイミングよく颯音と俺の腹の音が鳴る。


「確かに。なぁマナーとか気にした方がいい?」


「俺たちしかいないし、冷める前に食べようぜ」


「そうだな」


「「いただきます!」」


 俺と颯音は腹が膨れるまで思う存分料理を堪能した。


「冬真兄に戻ってこないね」 


「だね。なんの話をしているんだか」


「それよりも冬真兄の仕事がなんなのか気にならないのか?」


「気になるけど……昔から聞いてもはぐらかされるからなぁ~まぁどんな仕事であっても兄ちゃんは俺にとっては自慢の兄ちゃんだから」


「嬉しいこと言うんじゃんかよ春名~」


 突然ドアが開いて兄ちゃんが入ってきてそのまま俺の首に腕を回す。


「酒臭っ!」


 俺は思わず鼻をつまんで兄ちゃんを振りほどいた。


「兄ちゃん酔ってんの?」


「酔ってねーよ」


 いつもよりテンション高い。これは完全に酔ってるな。

 兄ちゃんは酒に強い方だからここまで酔ってるのは初めて見た。この状態じゃ車は無理だよな……


「すまない……まさかここまで酔うとは思わなかったんだ」


 ドアから見知らない美人な女性が入ってくる。


「冬真の弟さんは」


「あ、俺です」


 女性は近づいてくると兄ちゃんが前にでる。


「弟に近づくなユファン!」


「酔っぱらいは黙ってなさい」


 女性にデコピンされ倒れた兄ちゃんは目を回している。


「私の車で家まで送る」


 女性は部屋を出ていく。

 俺と颯音は兄ちゃんの肩を持って女性の後を追い、女性の車の後部座席に兄ちゃんを座らせる。


「すいません、兄ちゃんがご迷惑を掛けてしまって」


「気にしないで、私も悪いから……さ、車に乗って」


「はい」


 兄ちゃんを挟んで俺と颯音は後部座席に乗ると車が走り出した。

 しばらくすると家について颯音と協力して兄ちゃんを車から降ろす。


「ユファンさん、送ってくれてありがとうございます。兄ちゃんの車なんですが……」


「体調戻った時に来なと伝えておいて」


 ユファンは手を振ってから車の窓を閉じて去っていく。

 家に戻った俺は兄ちゃんを部屋のベットに寝かせ俺と颯音は静かに部屋を出る。

 自室に戻り俺と颯音は床に座る。 


「あんな冬真兄初めてみた」


「俺も」


「大丈夫なのかな?」


「さぁ~ 二日酔いは確定だと思うけど」


「あはは……確かに」


 スマホを見ると夜の八時だった。


「八時か……」


「春名、ゲームやろう」


「明日早朝に知り合いと会う約束あるから俺はパス」


「え、そうなの? それなら俺もやらない」


「俺のこと気にしなくていいのに」


「いいの! なんか他のことしようぜ!」


「えーそれじゃ課題?」


「それ以外で!!」


「冗談だよ。適当にゲームするか」


「おう!」


 押入れから昔のゲーム機を取りだし時間を潰して夜中回る前に就寝した。



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