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第76話

「春名、イベントが終わるまで別行動がしたい」


 学校の帰り、駅の改札に入る手前で突然颯音が告げる。

 俺は軽く溜息をつく。


「……了解、言うと思ってたよ。本気の颯音は当たりたくないなぁ」


「……」


 颯音が真剣な目で見てくる。


「わかったよ、俺も全力で挑むよ。本当は嫌だけど」


 そういうと颯音が嬉しいそうな表情をする。


「絶対だからな。じゃあまた学校で」


 颯音を見送ってから俺は帰宅した。

 颯音と時間が被らないように色々と時間を潰してからログインした。

 周りを見て颯音がいないことを確認。ついでにプレイヤーカードでも確認した。


「颯音はログインしているみたいだな。よし、俺も行くか」


 転移門に向かった俺は門を潜り樹海エリアに向かう。

 樹海エリアについた俺は裏路地を経由して訓練場に辿り着く。

 ここに来たのはコガネたちのステータスをじっくりと確認するためだ。

 訓練場の中に入ってみると、カウンターで他のプレイヤーの対応しているガイアスさんが視界に入る。

 対応が終わると目が合い、俺は軽く会釈してからカウンターに向かった。


「お久しぶりですガイアスさん」


「おう、お前か! 全然顔を出さなかったじゃねーか!」


「あはは……すいません」


「まぁいいさ。部屋を使うんだろう? ほらよ」


 ガイアスさんから紙を渡される。


「すいませんガイアスさん。部屋だけって使えます?」


 ガイアスさんは頷く。


「可能だ。 また新しく変形させたのか?」


「変形させた……のはさせたけど……」


「見せてくれ!」


 顔を寄せてくるガイアスさん。


「は、はい……見せるだけなら……」


「よし、部屋に行くぞ!」


 顔は怖いけど嬉しいそうにするガイアスさんに案内され部屋に入る。

 最初に来た時と同じく部屋の中心に木人が置かれていた。


「早速見せてくれ!」


「はい……【トランス・カオスグリモワール】」


 俺はガイアスさんの目の前で盾から魔導書に変形させる。


「ほう、魔導書か。魔法攻撃が出来るのか?」


「ええ、使えます。ただ、使えるかどうかは運次第です」


 頭を傾げるガイアスさんに魔導書の特徴を話す。


「なるほど、なかなか難しい武器に変形させたな。やり直ししなければ所持金減らないんだろう?」


「そうですけど……」


 ガイアスさんの目がやってくれと訴え掛けてくる。


「わ、わかりました。一回だけですよ?」


「おう!」


 ガイアスさんはドアの近くまで下がる。

 俺は魔導書を開くと空白のスロットが三つ出てくる。

 あれ? 最初に使った時は一つずつだったはずだけどなんで?


「おーい、まだかー!」


 疑問に思って傾げていると後ろからガイアスさんが急かしてくる。

 考えること後回しして左にあるスロットの下のボタンを押すと黒くて靄が掛ったような絵柄に止まる。

 この絵柄って闇魔法だったな。残りのも押してみるか。

 真ん中を押してから右のスロットも押すと、二つとも闇魔法の絵柄が出る。こんな時揃わなくてもいいのに……

 俺は思わず苦笑した。


「ガイアスさん、揃ったので魔法を放ちますね」


「おう!」


 ガイアスさんに一言を伝えてから部屋の中心にある木人を見据えて俺は呪文を唱え始めた。


「……【カオスデーモン】」


 俺の後ろに禍々しい悪魔が出現して木人に手を向けると空間が捻じれ、木人を中心に地面は抉れ、離れて設置していあった柵が一部跡形もなく消えていた。

 呆けていると悪魔が顔を寄せてきて耐え難い悲鳴を上げて消えていく。

 俺は耳を塞ぎ自分の体力が三分の二ほど減ったことに気が付く。

 すると、後ろにいたガイアスさんが俺の肩に手を置いて言う。


「今の魔法はあまり使うなよ? 危なすぎる」


「そうですね。体力がかなり減りますし引き当てても使わないようにします。あんな魔法もあるんですね」


「俺は魔法には詳しくないからなぁ」


「そうなんですね。それよりも……あれ、大丈夫なんですか?」


「一応自動で修復されるはずなんだが……直んねぇな。まぁ何とかしておくから他の部屋を使っててくれ」


「すいません……」


「気にすんな」


 ガイアスさんにバンバンと背中を叩かれた。

 少しだけ気が楽になり、ガイアスさんの後ろをついて行って別の部屋に向かった。




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