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第68話

「みなさん、春名にご注目!」


 部屋に入った途端、颯音の高々に言うもんだから視線が俺に集まる。


「なんとクモガネが進化しました!」


「「「おおおお!」」」


 みんな拍手しながら驚く。

 颯音が回るように指示てくるから仕方なく背中を向ける。

 直ぐに反応があると思っていたけど静寂が続く。

 グレンさんが指摘する。


「……ハヤト、なんもいないぞ?」


「え? そんなはず……あれ? 本当にいない」


 どうやら俺の背中にくっついているクモガネの姿はみんなに見えていないようだ。俺からは見えるけど……


「ん?」


 キラキラと小さいなにかが飛んでいるの気づく。

 クモガネのステータスを見ると体力が少しずつ減っていた。

 こいつ、【凍てつく鱗粉】を使ってみんなにいないように幻覚させて姿を隠してるのか。


「クモガネ、スキルを解け」


「キュゥ!」


 クモガネは頭を横に振る。

 他の人には見られたくないのか? いずれにしてもこのままだとクモガネの体力が減っていっちゃう。

 俺は仕方なくクモガネを戻した。

 首を傾げてルーシャさんが聞いてくる。


「クモガネ、戻しちゃうの?」


「すいません。クモガネが嫌がっているみたいで、また今度でお願いします」


「そう、なんだ。じゃあ今度ね」


「はい」


 ルーシャさんと約束をして俺は席に着く。

 俺から離れたコガネとシロガネはまた洋菓子を食べ始める。

 二体を見ているとグレンさんが話し始める。


「これからこのメンバーで冒険に行くってのはどうだ?」


「俺は構わない」


「賛成!」


「良いですわね。ルーシャさんも一緒に行きませんか?」


「うん、行く!」


 ベオルさん、エレナさん、ユリーナさん、ルーシャさんは行くようだ。

 四人の意見を聞いたグレンさんは俺と颯音にも尋ねる。


「二人も来るんだろう?」


「行きたいのは山々なんですが……」


「俺たちはそろそろログアウトしないと……」


 時間を見るともいつの間にか昼手前だった。


「そうか……それなら来週の日曜の午前中にでもするか?」


「日曜ならモレル来れる」


「それなら大丈夫です。すいません俺たちのために」


「気にするな。来週の日曜の午前中ってことで、時間とか集合場所は追って連絡するわ」


「わかりました。それじゃお先に失礼します」


 俺と颯音はみんなに軽く頭を下げてからログアウトした。



 意識が戻った俺はヘッドギアを外して背伸びをする。

 その間に颯音も意識が戻り大欠伸してから言う。


「かなり遊んだ。すっげぇ眠い……このまま春名の家で寝てたい」


「制服ないんだから帰れよ」


「始発乗れば間に合うよ……」


 枕を抱えて今にも眠りそうになる颯音。


「俺は構わないけど、母親に連絡はしろよな」


 颯音は目をパチパチさせスマホを取り母親に電話する。俺はその間にキッチンに行き冷蔵庫から冷たい飲み物を飲む。


「春名……帰れって……」


「だろうな。駅まで送っていくよ」


「支度してくる」


 俺も軽く身支度を済まして家を出る。

 エレベーターのドアが開くと兄ちゃんが出てくる。


「兄ちゃんお帰り」


「冬真兄お帰りなさい!」


「ただいま。何処かにいくのか?」


「颯音を駅まで送っていくところ」


「それなら車出そう。お前ら寝てないんだろう? 目の下の隈酷いぞ」


「あはは……お願いします」


 兄ちゃんと一緒に駐車場に向かい俺と颯音は後部座席に座る。


「ちゃんとシートベルトしたか?」


 俺と颯音が頷くエンジンが掛かり車が動き出す。

 静かな車内で外を眺めていると隣から寝息が聞こえてくる。


「春名も少し寝な」


「うん……」


 瞼を閉じると一気に眠気が襲ってきて俺は直ぐに寝た。


「春名ー、起きろー」


「兄ちゃん……あれ? ここ駐車場?」


 気が付いたらマンションの駐車場に戻っていた。


「起きれるか?」


 兄ちゃんの手を掴んで俺は車から降りるて家に戻る。


「夕飯どうする?」


「いらない。寝る……」


 自分の部屋に入ってすぐベッドに飛び込み深い眠りに就く。




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