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第57話

「颯音がログインした時にはもう島はなかったのか?」


「おう。来たときにはもうなかった。レーダーでも探したけど島一つもなかったよ」


「そうか……」


 そうすると考えられるのは何かしらのイベントだった島で、あのクラーケンの触手を倒すことで一定時間後に消えたってことかな。本体が出なかったのは条件が足りなかっただけかもしれない。

 今回は運よく偶然見つけた島だったけど、そうなると島の出現が不明だしもういけないかもな。知っていたらもう少し探索したかった。

 俺の考えを颯音に伝える。


「再び出現するまで待たなきゃいけないのか。出現する条件か……こういう時って大体どんな条件が多いの?」 


「そうだな……よくあるのが時間や天候が関わってくる時もあれば、特定のモンスターを特定数倒すとか……かな」


「ふーん」


「現状はなんも手掛かりないから諦めた方がいいかも」


「だよな。モレルさんにも伝えないとな」


 俺はモレルさんのプレイヤーカードを確認した。


「今はログインしてないようだし、今度俺から伝えとくよ」


「任せた。まぁそれよりも島が消えたしとりあえず街に戻る?」


「俺はどっちでもいいけど、もう少し広い海原を冒険したい」


「それなら海中でも呼吸が出来る機械あるから海中行く?」


「それいいかも」


「じゃあ決まり。機械を取ってくる」


 颯音は船内に入っていき細長い物を持って戻ってきた。


「これを口に咥えれば海中でも呼吸出来るよ。海中だと喋れないから会話するときはメッセージを飛ばしてね」


「ふーん」


 颯音から呼吸機械を受け取る。


「海中だと戦闘は難しいからなるべき戦わないほうがいいかも」


「装備も濡れて重くなるしね。どうにかなんないの?」


「調べたらさ【潜水】ってスキルがあれば平気っぽい」


 確か【潜水】ってコガネの進化条件に必須のスキルだったよな。

 スキルの項目を確認してみると、【潜水】スキルを見つける。これを習得すればいいのか。SPを割り振って俺はスキル【潜水】を習得した。

 効果は水中での移動速度上昇と水抵抗減少。それと、装備が濡れなくなることだ。予想通りの効果だ。

 ついでに余っているSPも振るか。今のレベルは28だ。残りのSPは[6]。俺は全部【トランス】に割り振る。

 これで【トランス】の合計SPは[21]になったけど変形回数は増えなかった。少し残念だ。

 そう言えば、まだ一回分の変形が出来るんだったな。すっかり忘れてた。まぁ現状で満足しているし、保留だな。


「スキル習得っと」


「俺も取ったぜ! これで大丈夫でしょ」


 そうだ、と颯音は続ける。


「呼吸機械まだ余っているけどコガネとシロガネの連れていく?」


「いや……この前さ、海水を舐めちゃってちょっと苦手意識があるっぽいんだ。だから、今回は連れていかない」


「そうなんだ。じゃあこれは予備で一応渡しておくよ」


 予備を受け取った俺はインベントリに仕舞った。

 船のステルス機能を起動して俺たちは海に飛び込んだ。

 海中でゆっくり瞼を開けると美しい光景が広がっていた。

 透き通った海中は色とりどりの珊瑚礁に様々な魚で溢れかえっている。どの魚もモンスターみたいだけど攻撃してこない。どうやら敵対モンスターではないようだ。

 その光景を眺めていると颯音が俺の手に置く。


『春名行こう!』


 颯音からメッセージが届き俺は親指を立ててグッドサインで返す。

 俺たちは気が向くままに進んでいく。


『颯音、デッカイシャコガイみたいのがあるぞ』 


 珊瑚礁の間に黒くて大きいシャコガイを見つけて颯音にメッセージで知らせる。


『あれはトラップシェル。近づいてくる獲物をばくっと捕食する貝のモンスターだから近づかないで』


 颯音が説明している間に一匹の魚のモンスターが近づくと貝の口が開きその魚を丸呑みにした。海版ミミックみたいだな。トラップシェルを無視して先に進む。


『春名! あれみて!』


 颯音が指さした方を見ると細長く白い集まりが何かを中心にしてぐるぐると回っている。


『なんだあれ?』


『遠くじゃあわかんないけど。もう少しだけ近づこう』


 俺と颯音は気づかれないように近づいて行くと、細長く白い集まりは肉が一切ない骨で出来たモンスターのボーンシャークの五体からなる群れだった。

 さらに凝らしてみるとその中心にいたのはムカデのモンスター、シーセンチピードだった。

 俺たちの船に無断乗船したシーセンチピードなのだろうか。あの地点から大分離れているし、違う個体だろ。


『颯音、ここは一旦引こう』


『了解。……は、春名なんかこっちに向かって来てない?』


『え?』


 視線を戻すとボーンシャークを引き連れてシーセンチピードがこっちに向かってきていた。



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