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第52話

 コガネとシロガネは俺が追いつく前にシルクシープの毛の中に飛び込んでしまった。


「シュシュ!」


「ビー!!」


 コガネとシロガネはシルクシープの毛から顔を出して俺に向かってのんきに手を振っている。

 俺は軽く溜息をついてからシルクシープにゆっくりと近づくもシルクシープはひたすら草をむしゃむしゃ食べている。


「二体を攻撃してないってことは敵対モンスターじゃないってことだね」


 俺の後をついてきた颯音が言う。


「まぁそれでもなんかあったら面倒くさいから関わらないでおこう」


「そうだな」


 俺はコガネとシロガネをゆっくり引っこ抜いた。


「シュ!!」


「シルクシープで遊ぶのは禁止。まだ散策終わってないんだから行くよ」


 俺がそう言うとコガネは俺の手から抜け出して前を歩いて行く。そのあとをシロガネが追い駆けた。

 その後、俺たちはシルクシープの群れから離れ、更に島を散策すると石で作られた塀にボロボロで錆びれた柵が見え、その先には屋敷みたいな建物を見つけた。

 何故こんな島に建物のがあるんだろう……イベント的な奴かな?


「なんか……幽霊が出てきそうだね~」


「雰囲気も相まって出てきそうですね」 


「春名もモレルさんもここゲームの中だから、幽霊なんて出ないって!」


 颯音はそう言うが膝がプルプルと震えていた。


「そう言えば颯音、ホラー系苦手だったな~」


「苦手なら後回しにする? まだまだ島は広いんだし」


「え、だ、大丈夫です! こ、こここを散策しましょう!」


 颯音は引き攣った表情で言う。明らかに痩せ我慢しているなこいつ。


「手でも繋ごうか颯音?」


「あ、それいいね! 握っていれば怖さ減るし」


 そう言ってモレルさんは颯音の左手を握る。

 手を握られた颯音は少し赤面をしているようだ。


「颯音照れてるぅ~」


「て、照れてないし!」


「ほれ、行くぞ」


 俺も颯音の右手を握って歩き出す。

 錆びれた柵の隙間を潜って中に入り大きい木製の扉の前に着く。

 俺は扉についているドアノッカーを叩いてから慎重に扉を開いて外から中の様子を伺い大声で叫んだ。


「すいませんー! 誰かいますかー!」


 しばらくすると半透明な浮いている布がこちらに向かってくる。だけど、そいつらは扉の近くにいる俺のところまでなぜかやってこない。

 疑問に思いながら調べるとゴーストっていうモンスターだった。

 確かに幽霊は出たけどモンスターか。レベルも15と低い。


「人はいないみたい?」


 後ろから颯音が尋ねてくる。


「人はいないけど幽霊はいるぜ」


「は?!」


「ハルナ君、ちゃんと言ってあげたら?」


 俺の次に中の様子をみたモレルさんに注意をされてしまった。


「どういうこと?」


「ゴーストって言うモンスターだよ。一応幽霊だろ? 間違いではない」


「そういうことか……」


 胸に手を当てて安堵する颯音。


「モンスターなら倒せるってことだよな?」


「倒せると思うけど、大体のゲームだとゴースト系には物理無効が搭載していることの方が多いから、所持している前提で戦った方がいいかもな」


「あ、それなら大丈夫だと思う……【烈火の拳】」


 颯音が両手が赤く燃え上がる。

 颯音がよく使うスキルの一つ。拳に炎を纏わすことで火属性の攻撃にすることができ、低確率で相手を火傷にするスキルだ。 


「このスキルには春名には教えてないことがあって、このスキルはなんと魔法ダメージとしても判定あるんだよ!」


「へぇーそんな効果あるんだ」


「相手がモンスターなら怖くないぜ!」


 やる気満々に拳を構える颯音。

 せっかくやる気満々になった颯音のテンションを下げたくないしなんも言わないでおこう。


「そんじゃゴーストのヘイトは俺が担うから二人で倒しまくって。コガネとシロガネも無理しないようにな」


「シュ!」


「ビー!」


 俺たちが建物の中に足を踏み入れた瞬間に彷徨っていたゴーストたちが一斉に襲いかかって来た。




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