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第50話

「春名春名!」


「ん?」


「じゃーん!」


 HRが終わって直ぐに前の席の颯音は俺の方に振り返りテストの結果表を見せてくる。


「赤点はないんだな」


「おう! これも春名のおかげだよ!」


「颯音の実力だよ」


 俺はそう言って鞄を持って立ち上がる。


「春名、今日泊りに行ってもいい?」


「許可は取ってるのか?」


「おう。さっき母さんに確認したよ」


 颯音は母親とのやり取りを俺に見せる。


「了解。大丈夫だと思うけど一応兄ちゃんに聞くけどダメだったらなしだからな?」


「わかった」


俺は兄ちゃんに連絡したらすぐに返事が返ってきた。


「兄ちゃん良いって。夕飯はどうする?」


「お願いしてもいい?」


「わかった」


 俺と颯音は一緒に下校して帰路に就く。

 帰宅した俺は荷物を降ろして早速夕飯を作る。


「ただいま」


 大方作り終わると兄ちゃんが帰ってきて、俺は料理を一旦中断して出迎えに行く。


「兄ちゃんおかえり」


「颯音は来てるのか?」


「まだ来てないよ」


「そうか。はい、これ」


 兄ちゃんは紙袋を差し出し俺は受け取った。


「この紙袋って……予約が一年待ち以上するほどの大人気の洋菓子店の紙袋じゃん! どうしたのこれ?」 


「お前と颯音へのご褒美。知り合いがそこで働いているから無理言って頼んだ」


「普通は無理に言っても出来ないと思うんだけど……」


 兄ちゃんは俺の頭をポンポンと手を置いて部屋に向かった

 兄ちゃんの仕事って本当になんだろう……まぁどうせ聞いても教えてくれないか。さ、料理の続きしなきゃな。

 キッチンの戻ろうとした時、玄関のチャイムが鳴った。玄関を開けると荷物を持った颯音だった。


「いらっしゃい」


「お邪魔します。あ、これ母さんから」


 颯音からも紙袋を受け取る。


「うん、お礼言っておいて」


「伝えとく。冬真兄は帰ってるの?」


「帰ってるよ。ご褒美もらったから夕飯終わったら渡すよ」


「やった!」


「荷物は俺の部屋に置いといて」


「はーい」


 颯音は俺の部屋に荷物を置きに行く。

 俺はそのままキッチンに戻って料理を再開する。

 颯音にも手伝ってもらって直ぐに夕飯にした。


「あ、そうだ。春名に言ってなかったけど明日から二日間家を空けるから」


「そうなんだ。仕事関係なの?」


「まぁそんなところ。ごちそうさま」


 食べ終わった兄ちゃんは食器を流しに置いてから部屋に戻っていった。


「冬真兄忙しそうだね」


「かもな」


 兄ちゃんの仕事がわかんないから俺は曖昧に答える。

 夕飯を食べ終わった俺たちは兄ちゃんから貰った褒美の洋菓子を食べることにした。


「うっま! これ美味過ぎない?」


「そりゃね一年待ちするぐらいだからな」


「へぇー……え、これ見越して予約してたの? 冬真兄は」


「知り合いに無理言って頼んだんだって。うん、美味い」


「はぁ? え……マジで? 冬真兄の人脈凄いな……」


「ほんとそれな」


 食べ終わった俺たちは風呂を済ましてからログインした。


「さて、前に言っていた通りに遠くまで散策しますか」


「おう。モレルさんはログインしてるの?」


 颯音に言われ俺はプレイヤーカードを確認してみるとモレルさんはログインしていた。


「いるみたいだけど、誘ってみる?」


「誘ってみようぜ」


 俺はモレルさんにメッセージを送る。


「モレルさん、今大丈夫ですか?」


『ハルナ君こんばんは。友達のお店手伝っているけど大丈夫だよ』


「あー……そうなんですね。冒険に行こうと思ってモレルさんを誘いにきたんですけど忙しいですよね」


『ハルナ君かハヤト君が船にいるならそっちに転移できるから、手伝いが終わったら行くよ!』


「わかりました。待ってますね」


 モレルさんとメッセージを終わらせ颯音に伝えた。


「あとから合流するなら少し船を動かしていい? 前に操縦したときに島みたいのを船のレーダーで見つけてそこに行きたい」


「無人島なのか?」


「行ってみないとわかんないけど……」


「まぁ特に決めてないしいいぜ」


「じゃ船を動かすよ」


 颯音は操縦席に向かった。


「あ、そうだ。あいついんのかな?」


 颯音を見送った後シーセンチピードのことを思い出した俺は船先のデッキに向かうことにした。


「お、居るな」


 昨日から動いていない様子。体力も出会った時よりも回復していて全快してる。ずっとここで回復してたのか。

 シーセンチピードを観察していたらエンジン音がして船は動き出した。だけど、シーセンチピードは起きる気配はない。寝てるのかな?

 俺はゆっくりと近づき音を立てずに隣に座るとシーセンチピードは目を覚まし、俺と目が合うと一目散に海に逃げてしまった。


「襲う気なかったけどなぁ……」


 景色が流れていく中でシーセンチピードが横になっていた所を見ながら俺はそう呟いた。





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