第49話
船内に戻るとコガネとシロガネは中断していたケーキを食べ始めた。
俺はその間に二体のステータスを確認した。
まずはコガネから。レベルは13まで上がっていて追加スキルは二つ。
相手の攻撃力を数秒間少し下げる【威嚇】と相手の防御力を数秒間少し下げる【睨む】の二つだ。
どちらもデバフ系のスキル。どれぐらい下がるんだろうか……丁度食べ終わっているようだし頼んでみるか。
「コガネ、俺に向かって【威嚇】と【睨む】使ってくんない?」
コガネは頭を傾げるも俺に向かって全身の毛を逆立せ体を振るわす。これが【威嚇】かな?
自身のステータスを見ると少しだけ攻撃力は下がっていた。
次にコガネは凄い形相で俺を睨んでくる。ステータスを見ると防御力が少しだけ下がった。
コガネには申し訳ないけど怖さよりも可愛いさが勝ってるんだよな。コガネには絶対に言わないけど。
「ありがとうコガネ。はい、まだケーキはあるから食べて」
「シュ!」
目の間に置くと嬉しそうに食べるコガネ。シロガネはそれをじっと見つめている。
「シロガネの分もあるよ」
「ビー!」
シロガネにも上げると目を細めて美味しそうに食べる。
俺はソファーに座って今度はシロガネのステータスを確認した。
シロガネのレベルは19。新しいスキルは風の刃を飛ばす【エアーカッター】と甘い香りを風に乗せて中範囲にいる味方を回復させる【癒しの風】の二つ。範囲系回復技が増えたのは良いね。
「シロガネ。食べている時で悪いんだけど【癒しの風】使ってもらってもいいかな?」
「ビー」
シロガネは頷き舞い上がると甘い香りが漂ってくる。これが甘い香りか~名前の通り癒されるな。
「シロガネもありがとな。あ、シロガネも進化したかったらいつでも進化していいからな?」
シロガネのステータスを確認したときに進化の項目も見てみたら一つだけ進化条件が達成されていたのだ。
進化先の名前はソルジャービー。進化条件はなんとレベル18にするだけという簡単な条件。
他の進化先の条件はコガネの時と同じように指定されたスキルの使用回数が必要なのになぜこれだけ……まぁ考えても仕方ないしこういう仕様だと思っておこう。
ちなみに残りのシロガネの進化先は以下の五体。
ポイズンビー。関連スキルは【毒針】と【二撃の針】。
トラップビー。関連スキルは【ハニートラップ】と【罠外し】。
ソニックビー。関連スキルは【エアーカッター】と【エアーブースト】。
スイートハニービー。関連スキルは【蜜集め】と【蜜団子】と【蜜吸】。
ヒールビー。関連スキルは【癒しの風】と【癒しの舞】。
シロガネが習得してないスキルはあるけど個人的にはヒールビーに進化してほしい。まぁどのモンスターに進化しても俺は嬉しいけど。
「ビー?」
「お前が進化するの楽しみしているよ。ほら、ケーキ食べな」
「ビー!」
コガネとシロガネが食べ終わるまで俺はマニュアルを読むことに。色々な設備や機能が搭載されていて俺は驚き半分呆れ半分の気分になった。この船、魚雷搭載してんのな……
「シュ……」
「ビー……」
マニュアルを読みふけっているとコガネとシロガネの寝息が聞こえ、顔を上げるとソファーの上で気持ちよさそうに寝ていた。
俺は立ち上がって毛布が閉まっている棚に行って毛布を引っ張り出し掛ける。
「そろそろ時間か」
気が付けばそろそろログアウトしないといけない時間になっていた。
「ん? 何の音だ?」
ガタンと船先から音がしたので俺は様子を見に向かった。
「あ、さっきのシーセンチピードがいるな」
物陰から様子をみると海に逃げていったはずのシーセンチピードが戻ってきている。シーセンチピードは船に何かをすることもなく横になって瞼を閉じて寝始めた。
なんかしているなら追い出すか倒そうと思ったけど……どうしよう……まぁ今回だけ見逃すか。
俺は物音を立てずに船内に戻った。
「コガネ、シロガネ。寝ているところ悪いけどそろそろログアウトするから戻すよ~」
俺がそう尋ねるとおぼろげに返事するコガネとシロガネ。
「戻れコガネ、シロガネ」
二体を戻し使用時間を停止してから俺はログアウトした。