第37話
コガネは自分の体を見ようとぐるぐると回り出す。少しだけ面白かったけど、仕方なくコガネを持ち上げて鏡の前に連れて行くとコガネは鏡の前で色んなポーズをしだす。俺はその間にコガネのステータスやスキルを見てみた。
コガネが進化したことでレベルが1に戻っていた。進化するとレベルがリセットされるみたいだな。
ステータス自体は最初にあったコガネのステータスよりかは高い。
そして、進化したことでいくつかのスキルが消滅したり新しいスキルが追加されていた。
消滅したスキルは【ねばねばの糸】【睡眠の牙】【毒の牙】【保護色】の四つ。
新しいスキルは糸に触れたモノを低確率で麻痺状態にする【ビリビリの糸】。遠距離の麻痺攻撃は強いし便利だ。
もう一つが雷属性の噛みつき攻撃の【電気の牙】。シロガネの回復スキル【蜜団子】に続いての初の属性系のスキルだな。毒と睡眠が無くなったの残念だったけど、他の攻撃スキルあってよかった。あとは【麻痺耐性】と【電気耐性】で以上だ。頼もしくなったな。俺も負けないようにしないとな。
「コガネ」
「シュ?」
俺が呼び掛けるとコガネは見上げてくる。そんなコガネに膝を曲げてしゃがみ俺は頭を撫でた。
「コガネ、かっこいいよ」
「シュ!」
コガネは胸?を張ってドヤ顔をする。
俺はぼそっと思ったことを尋ねてみた。
「進化できたならすぐに進化すればよかったのに、なんで今したんだよ?」
「シュ」
そう尋ねるとコガネはそっぽを向いてシロガネと遊びだす。言う気ないなこいつ……まぁいいけど。
「可愛いお仲間さんだね」
「! びっくりした……」
いつの間にか後ろにいたアトラに声を掛けられ俺は驚いてしまった。
「驚かさないでくださいよアトラさん」
「ごめんよ、そんなつもりはなかったんだよ……」
「すいません、責めた訳じゃ……えっと、こいつらですよね。蜘蛛の方がコガネで蜂の方がシロガネって言います。どちらもテイムして仲間になりました」
「モンスターって仲間に出来るんだ~凄いね~」
「今の所ハルナだけみたいです」
横から会話に入る颯音。
「もう話し合い終わったの?」
「おう。アトラさんに製作依頼を頼むことにした」
「お金足りた? 足りなかったら貸すけど」
「お金は足りたんだけど、素材が足りなくって製作できないみたい。次に素材が届くのが一週間ぐらいなんだって」
「その必要な素材を取りに行くのを手伝って欲しいと」
「そう! 春名話わかるー!」
「うーん、まぁいいけど。貸し一つな」
「うぅ……わ、わかったよ」
「で、その素材は何処で取れるの?」
「それは僕が教えるよ」
そうアトラさんが言うと一枚の大きい紙をテーブルに広げる。
「これはね自分のマップを投写することで他の人に見せることが出来るアイテムなんだ。ちなみに製作したのは僕だよ」
「へーこんなアイテムあるんだ。アトラさんって意外と凄い人だったり?」
「僕は普通だよ。話を戻すね」
アトラさんがテーブルに広げた大きい紙に触れると、はじまりの街が浮き上がり草原と続き樹海が浮き上がった。
「大分地形が変わっちゃったけど、ここら辺にサイレントバードって鳥のモンスターがいるからそいつらから静鳥の羽を大量に手に入れてくれば直ぐに製作に取りかかれるよ。レベルも20ちょいぐらいだから平気だと思うけど」
「……アトラさん一つ質問してもいいですか?」
「なんだい?」
「少し時間は経ってますけど今日アップデートで大分地形が変わったのに、その情報は正しいんですか?」
「あ、うん。そこは信じて。知り合いに素材回収専門でやっている人がいてね、その人の話じゃ出てくるモンスターの位置はほとんど変わっていないそうだよ。あ……これ内緒だった! 今の話聞かなかったことにしてくれる?」
「分かりました。俺は何も聞いてません」
「助かるよ。うっかり話したことバレたら怒られるとこだよ」
アトラさんは少し涙をこぼした。相当怖い人だろうか
それにしても良いこと聞いたな。てことは、クイーンビーがいる場所はほとんど変っていないってことだな。それだけ分かれば探せれるな。
「集まった素材は僕のプレイヤーカードを通せばいつでも送れるからね」
「て、言われてもまだ交換してませんけど」
「そうだった! 交換しよう!」
俺と颯音はアトラさんとプレイヤーカードを交換した。
「それじゃ、集まったら送りますね!」
「うん。その間に他の製作できる装備は製作しておくから」
「分かりました!」
コガネとシロガネを紋章に戻してから俺と颯音はアトラさんの店を後にした。