第31話
かなりのモンスターを倒し続けて大分時間が経ち、俺たちは休憩をすることにした。
木々も少なく見晴らしがところを見つけて腰を下ろして、インベントリから串焼きを取り出しみんなで食事をする。
「颯音、攻撃系のスキルばっかり取るのもいいけどさ他のも取ろうよ」
颯音のレベルは現在6。取得したSPを全て攻撃系のスキルに割り振って八個もスキルを持っていることに少し口を挟む。
ちなみに俺は18でSPは温存していてコガネは19まで上がっている。
「ん、そろそろ他のも取る予定だけど……奥義的なのも欲しんだよな~なのに全然それっぽいスキルが見当たんなくて」
「スキル強化してみれば? [5]振ったら新しいスキル出るかもよ」
「お、それだ! 次レベルが上がったら割り振ろう」
そう言いながらどんどんと串焼きを食べていく颯音。コガネも一緒なもんだから消費のペースがエグイ……今度払ってもらうか。
そう言えばシロガネにご飯あげてなかったな。
「シロガネ」
「キュ」
呼び出したシロガネを膝の上に乗せ最後の蜂蜜を飲ませた。
「前から思ってたけど春名のネーミングセンスないな」
「うっさいわ。串焼きの分請求するぞ」
「うっ……ごめんごめん。し、シロガネって言うんだな。見た感じまだ戦えないの?」
「今はな。満足度ってゲージをマックスにすれば進化して、多分戦闘に参加できると思う」
「ふーん。あとどれくらいなの?」
進化の項目を見てみると90まで上がっていた。残り10か。
蜂蜜の在庫ないしシロガネを見せに行くついでに蜂蜜を分けてもらおう。
「キュ……」
物足りなさそうな表情を浮かべるシロガネ。うーん、行きたいけど颯音を連れて行けないし……
「どうかしたの?」
考えていると颯音が尋ねてくる。
「んーシロガネのご飯なくなっちゃって、森の奥に行かなきゃいけないんだ」
「そうなんだ。ここら辺なら一人でもなんとか出来るし行ってきなよ」
「悪い……直ぐに戻ってくるよ」
「おう」
シロガネを紋章に戻して俺は立ち上がる。
「コガネ、クイーンビーの所に行きたいから【共鳴】をお願い」
「シュ」
コガネは頷いて武器と一体になり特殊な革手袋に変わり、頭上にある枝にワイヤーを括り付けて一気に上がる。
「なんだそれ!」
その光景をみて颯音は驚く。
「まぁあとで説明するよ。それじゃまたあとで」
俺は木の上を移動してクイーンビーがいる大木に向かった。大分扱いにも慣れたおかげで木の上での移動が早くなったな。そのおかげで前回来た時よりも大分早く大木に到着した。地味に時間かかるからな……
「ビー!」
一体のハニービーが俺の下に飛んでくる。案内してくれたハニービーかな。
「ビー?」
『何か用なの? だって』
「シロガネのご飯に蜂蜜を分けてほしくて来たんだけど余ってる?」
「シュ!」
武器と離れたコガネが通訳してくれた。
ハニービーは大木の中に入っていく。コガネの通訳は本当に便利で助かるな。
「通訳ありがとなコガネ。帰ったらなんでも買ってあげるよ」
またコガネは武器と一体になる。
『その言葉忘れないでよね』
「何を買わせる気なんだよ!」
『内緒』
言わなければよかったと内心思った。
しばらくするとハニービーが戻ってきた。
その後ろからクイーンビーも一緒に着いてくる。俺は急いでシロガネを呼び出して抱え上げた。
「ビィー」
クイーンビーは優しくシロガネを撫でる。シロガネも嬉しいそうに体をくねらせた。
「ビィー!」
クイーンビーが鳴くと大木から大量のハニービーが飛んできて、地面に蜂蜜を沢山置いて行く。
『あまり必要ないからあげるって』
「そうなんだ。まぁありがたいからいいけど」
一通り置き終わるとハニービーたちは解散してクイーンビーだけが残った。
俺は蜂蜜を全てインベントリに仕舞った。
「本当に助かりました。また困ったことがあればいつでも言ってくださいね」
「シュ!」
「ビィー!」
コガネが通訳すると大木に急いで戻っていく。
「コガネ、なんかあるのか?」
『クイーンビーが戻ってきたらわかるよ』
「えーすっげぇ気になるんだけど……」
クイーンビーはすぐに戻ってきて何かを白い物を抱えている。それを俺の近くに置く。
なんか見覚えのあるな。どこだろう……
「それ、なんですか?」
「ビィー!」
『クイーンアントの卵』
「クイーンアントの卵……クイーンアントの卵!?」
予想外なことが起きて俺は声を荒げて驚いた。
次回更新は8/17予定です