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第30話

 街に入った俺は一緒に回って知ってた方が良い施設を教えていく。

 そして、今は訓練場の前に来ていた。

 建物の前で俺は颯音に尋ねた。


「そう言えば、颯音のジョブは?」


「格闘士だよ。やっぱ男は拳で勝負でしょう!」


「昔から格ゲー好きなのは知っているかけど、ここでも格ゲーすんのかよ」


「いいだろ別に……そろそろ戦いたいんだけどまだ案内続くの? 飽きたんだけど」


「大体終わったし、それじゃ行くか」


「よっしゃ! 早く外行こうぜ!」


 そう言って駆け出す颯音に俺は言う。


「そっちじゃないんだけど」


「……案内お願いします」


「はいはい」


 街中の近道を通り街の外に出る。


「颯音のレベルは2か。戦闘とか問題なさそう?」


「おう。問題ない」


「それなら森に行くか。なんかあっても俺が守るから気楽に戦えよ」


「おう! 守りは任せた相棒!」


 颯音は拳を向けてくる。

 本当に恥ずかしいことを堂々と言えるな。まぁ今更か。

 俺は自分の拳を颯音の拳に重ねた。


「わかった」


 颯音はニイッと歯を剥きだして笑った。

 森の入り口に着いた俺はコガネを呼び出す。


「おお、それが春名のテイムしたモンスターか。ちっさいな」


「シュ!」


 コガネは颯音に飛びかかりガジガジと頭を噛み始めた。

 颯音の体力がみるみるうちに減っているな。 


「痛い! 痛いから! 春名も見てないで助けてよ!」


「あ、そうだった。コガネ、ストップ」


 コガネを無理矢理剥がして串焼きを渡して宥めた。


「こいつ、凶悪過ぎない!?」


「いや、どう見ても颯音が悪い」


「はぁ? 俺が悪いの? なんで?」


「颯音も身長の事を言われたら怒るっしょ?」


「そりゃ……あ。俺が悪いな」


 俺はインベントリから串焼きを取り出してそっと颯音に渡す。

 受け取った颯音は中腰になって俺の腕の中に居るコガネに視線を合わせた。


「さっきはごめん。これで仲直りしない、か?」


「……」


 コガネはじっと颯音をみてから串焼きを奪い去るように受け取って食べた。


「許したってことでいいのこれ」


「そうじゃない? 知らないけど」


「無責任な飼い主だな!」


「飼い主じゃないし。コガネが食べ終わったらレベル上げ始めるからな」


「……はいよ」


 コガネが食べ終わるまで颯音は近くのスライムに戦いを挑むことにした。

 俺は近くで見守ることにしたけど、格ゲーのようにコンボを決めていて内心呆れた。

 あれ、昇竜……これ以上は言わないでおこう。

 戦闘が終わって颯音がこっちに駆け寄ってくる。


「どうだった俺の戦いぶりは!」


「お前……あれスキルなんだよな」


「うん、【猛撃】っていう初期スキルのおかげ。スキルを使った後に他のスキルを時差無く繋げれて使えるんだ」


「あーそれでコンボみたいに繋いでるんだな」


「そそ。俺好みのスキルでしょ」


「そうだねー」


「少しは興味を持ってよ!」


「はいはい」


「シュ」


 食べ終わったコガネは俺の頭に乗っかってくる。


「そんじゃ、森に行きますか」


「おう!」


 森に入った俺たちはモンスターを探して散策。直ぐに孤立しているロングエイプを見つけるも颯音は奇襲をかけてあっさり倒した。


「余裕余裕」


「油断すんなよ。追加でモンスターが来る――」


「ウキキ!」


「ほら来たぞー」


 タイミングよく怒ったロングエイプが三体も現れた。

 ロングエイプは仲間が倒されると増援が来るという少しだけ面倒くさいモンスターとネットに書いてあった。通りで前回一体だったのに増えた訳だわ。


「颯音、タゲ持つからその間にやってくれ! 【咆哮】!」


 ロングエイプの敵視を全て集めた俺は【ラウンドシールド】を使って攻撃を防ぐ。ロングエイプの攻撃が低いおかげで割れる気配がない。低レベル帯相手なら【ラウンドシールド】は有効だな。


「はああああ!」


 隙だらけのロングエイプを颯音は怒涛のコンボを決めて倒しきる。


「シュ」 


 頭の上に居るコガネは糸を飛ばして颯音の援護をした。


「ナイスだコガネ!」


 残りのロングエイプも颯音が倒して戦闘は終了。コガネが援護したのは少しだけ驚いたけど仲直りしたようでなによりだ。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] ハルナ兄の仕事 多分VRMMO(ハルナがやってるやつ)の何らかの部署の人じゃないかなって推測ですが…
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