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第259話

 拠点に来た俺はフレンド一覧をみてグレンさんたちが居るか確認した。

 ミライさんが居るみたいだな。ミライさんに伝えておいてもらおう。


「海都、ミライさんいるみたいだから連絡してみる」


「分かった。あ、そうだ。孵化装置使う予定ある? 無いなら先に使ってもいいか?」


「モンスターの卵を手に入れたんだな。なんの卵なんだ?」


 海都はインベントリから緑色の卵を取り出して見せてくれた。

 調べてみるとグリーンドラゴンの卵と表示された。 


「おお! 二体目のドラゴンか! よかったじゃん!」


「あのイベントでドラゴンっぽい敵が居てさ、運よくドロップしてくれたんだ」


「そっか。俺も使いたかったけど先譲るわ」


「その言い方だと春名も手に入れた感じ?」


「おう。オベロンの卵をな」


「へぇー、オベロンの卵を……ん? 悪い、聞き間違いじゃなかったらオベロンの卵って言った?」


「言った」


「あのボスモンスターの? どうやって?」


「多分、報酬だと思うけどね。いや~来た時はびっくりしたよ」


「こっちの方が驚いていんだけど……あの場で教えられない訳だ」


「グレンさんたちには教えても平気だけど、不特定多数の人に聞かれるのはまずいからな」


「そうだな。じゃあお言葉に甘えて先に使うわ」


 そう言って海都は家の中に入っていった。

 海都を見送ってからメッセージをミライさんに送ると、「了解した」とミライさんから返ってきた。

 これでこの件は終わりだな。

 俺は順番にコガネたちを呼び出して、最後にニアを呼び出した。

 ニアは瞼を閉じて眠っているようだ。

 ゆっくり持ち上げると、コガネたちが心配そうに見守っていた。


「ニアのことは俺に任せて、みんなは適当にしててくれ」


 そう言うとディルとヘイムンダ、テオクエとウシャスラの四体だけ残って他は自由に行動した。


「ハルナさん! 来てたら声を掛けてくだ……あれ? ニアが退化している……コガネの時と同じだ。何があったか聞いてもいいですか?」


「んーまぁウィルにならいいか」


 俺は樹海での出来事を話すと、ウィルはウキウキしながら話しを聞いてくれた。


「そんなことがあったんですね……お疲れ、ニア」


 ウィルは優しくニアの頭を撫でると、ゆっくりと瞼が開き、きょろきょろと見渡す。


「おはよう、ニア。体の調子はどうだ?」


『ハルナ! ハルナあそぼ!』


 ニアの反応がティターニアの記憶を思い出す前に戻っていて、ディルたちに視線を送るも状況が飲み込めていないのか困惑した表情をしていた。


「いいよ。ただ、その前に聞きたいことがあるんだけど、オベロンのこと覚えている?」


『オベロンってだれ?』


 ニアは頭を傾げる。

 この反応は本当に覚えていないようだな。


『はやくあそぼ!』


「お、おう。何して遊びたい?」


『おそら、とびたい!』


「空か~」


 どうしようか考えているとヘイムンダがニアを掴む。


『一緒に空のお散歩行きましょう? ニア』


『うん!』


 ヘイムンダとニアが空に舞い上がっていくのを見ていると、ディルが話しかけてくる。


『また女王は我らのことを忘れたのであろうか……』


「俺に聞かれてもわかんねえよ」


 そう答えるとディルは俯いてしまった。


「まぁ、でも、記憶を無くしていても、心では覚えているんじゃないか? 樹海の時もそうだったし」


『……そうかもしれないな』


 どこか寂しいそうな雰囲気を醸し出しているディルに俺は気になったことを尋ねた。


「オベロンの孵化のやり方って普通に孵化装置でいけるかな?」


『女王様と同じく四体の眷族を揃え、祭壇で孵化させねばならぬが。王の眷族はもう存在しないから実質的に不可能だ』


「そっか……ちなみに眷族四体って巨樹で対峙した巨大な奴らであってる?」


 ディルは頷いた。

 てことは、あのゴキブリみたいのも仲間にしないといけないのか? それはなんか嫌だけど……どうしよう……


「あ、そうだ。オベロンからなんか貰ってたっけな」


 インベントリに仕舞ってある指輪を取り出した。

 世界樹の指輪……効果は世界樹にある隠し扉を開けると。


「ディル先生、質問! 世界樹って何ですか?」


『気持ち悪いから変な呼び方をするな。世界樹とは、遥か昔にあった巨樹だ』


「過去形ってことは、今はない感じ?」


『ああ。悪魔どものせいで、燃えて無くなってしまったのだ』


 ディルから少しばかり怒りの感情が伝わってくる。

 悪魔……ニアの過去を見た時にオベロンが言っていた悪魔どもと関連しているのか。


「ディル、その悪魔って――」


『ハルナもおそらのさんぽいこ! ディルロスも!』


 ヘイムンダに抱えられたニアが満面の笑みで誘う。


『わかった。ヘイムンダ、代われ』


『仕方ないわね』


 ヘイムンダが地面にニアを置いてから、ディルが持ち上げた。

 聞くタイミングを逃したな。まぁ時間はあるし、いつか聞いてみよう。


『ハルナもはやくはやく!』


「分かってる。ウィルも一緒に行こうぜ」


「あ、はい!」


 俺はクモガネとアカガネに翅を展開してもらい、ウィルはアインの背に乗って一緒に空の散歩をしていると、いつの間にかコガネたちも参加して、何故か競争する流れになって盛り上がった。


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