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第22話

「話は後だ。ついてこい」


 侍風の恰好の男性に言われ四人の後をついて行く。しばらく歩くと侍風の恰好の男性が立ち止った。


「ユリーナ、結界を頼む」


「わかりました」


 白いローブを着た女性が長い呪文を唱えると周囲に半透明な壁が出来る。

 興味本位で触ってみると体が通過してしまう。


「この魔法は外からの敵の侵入を防ぐ魔法なんですよ」


「へぇー。一種のモンスター不可侵領域ってことなんですね」


「そういうことだ。先程は助かった、俺はグレン。ジョブは侍でこのパーティーのリーダーを務めている」


 それからと、グレンさんは続ける。


「そっちの鎧装備なのがベオル」


「ベオルだ。ジョブは大盾士だ」


「魔法使いのがエレナだ」


「エレナだよ! ジョブはデュアルキャスター」


 あまりぴんと来なかった俺はエレナさんに尋ねた。


「デュアルキャスターってなんですか?」


「簡単に言うと二属性の魔法が使える魔法使いのこと! 凄いでしょ!」


 ドヤ顔をするエレナさん。


「す、凄いです」


「ふふん!」


 エレナさんは嬉しそうだ。

 正直に言うと何が凄いのか分からない。帰ったら調べておこう。


「最後は私ですね。ユリーナと申します。ジョブは結界士をしています。それで……先程からきになっておりましたが頭の上にいるモンスター……ですよね?」


 ユリーナさんがそう言うとグレンさん、ベオルさん、エレナさんの三人は武器を構える。

 俺は慌てて止めに入った。


「こいつは俺の相棒のコガネって言います! コガネ挨拶して!」


「シュ!」


 足を上げて元気よく挨拶するコガネを四人はまじまじと眺める。


「モンスターを仲間に? 初めて聞くな」


「私も! そんな情報聞いたことない」


「隠し要素みたいなようで、自分も偶然仲間に出来たんですよ」


「なるほどな。それでお前さんは……」


「あ、俺はハルナって言います。ジョブは盾士です」


 急に場が静かになった。あれ、俺変なこと言ったのか?


「狩人とか弓士とかじゃないのか?」


 ベオルさんが尋ねてくる。


「はい。あ、さっきの攻撃で皆さん、俺が弓士とかだと思って?」


 そう聞き返すと四人は頷いた。矢で攻撃したら普通思うもんな。

 俺は自分のプレイヤーカードをみせて武器を変形させつつ軽く説明をした。


「その盾を選んだのか。俺もそれにするか悩んだ」


「俺も盾士なんでベオルさんの盾の使い方すっごく参考になります。さっきの戦い!」


「そ、そうか」


「よかったなベオル」


「うるさい……!」


「ベオルが照れてる! 珍しいねユリーナ!」


「そうね。ふふ」


 ベオルさんの事を揶揄う三人。


「それで、ハルナはなんでここに」


 グレンさんが尋ねてくる。正直に言うか迷ったけど、俺はありのまま伝えた。


「俺がここに来た理由は、クイーンビーの頼みで大事な卵を取り返しに来たんです」


「そのレベル帯でか?」


 俺のプレイヤーカードみたベオルさんが声を低くして言う。


「無茶なのは分かってます。こっそり忍びこんでぱっぱと取り返すだけです」


「見つかったらどうするの?」


「その時は全力で逃げるだけです。足には自信があるんで。それじゃ俺はこれで」


「待て」


 立ち上がって結界の外に出ていこうとするとグレンさんが呼び止める。


「その大事な卵? が保管されている場所は目星がついているんだろうな?」


 俺は首を横に振る。すると、グレンさんが大きく溜息を吐いた。


「俺達はここにレベル上げで来ている。ハルナの目的は卵の奪還。なら一緒に動かねぇか? その方がハルナもレベルがあがるし、こっちも人数が増えて臨機応変に対応できる。悪い話じゃないと思うんだが。皆はどうだ?」


「俺は構わない」


「私は賛成だよ! なんか面白そうだしね!」


「皆の意見に任せます」


「ということだ。後はハルナが決めることだ」


「皆さん……」


 涙がこみ上げてくるのを俺はグッと堪えて勢いよく頭を下げた。


「ありがとうございます! 皆さんの邪魔にならないよう頑張ります!」


「それじゃ、俺達のプレイヤーカードだ」


 グレンさんたちとプレイヤーカードを交換してパーティーを組んだ。


「よし、それじゃ行きますか」


「あ、すいません。SP振りしたいんで少し時間貰ってもいいですか?」


「おう」


「すぐ終わらせます」


 スキルツリーを開いて早速SPを振り分ける。今溜まってるSPは[10]。今回は大盾士のグレンさんがいるから守りは問題ない。なら、【トランス】に割り振るか。とりあえず[5]振ってみたけど変形回数は増えなかった。

 思い切って残りのポイントも割り振ろう。


「おお、変形回数が増えた」


 【トランス】は[5]の時に変形回数が増えて今度は[15]。変形回数に必要なSPが三倍増えている。

 その法則でいくなら次は[45]……マジか……道のりが遠いな。

 ま、まぁまだ決まったわけではないし、他のスキルも習得しながらゆっくり上げていこう。


「お待たせしました」


「それじゃ行こうか」


 ユリーナさんの結界が解かれ俺達は移動し始める。



次の更新予定は8/3です。


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