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第21話

 ハニービーに引っ張られてしばらく森の中を進んで行くと途轍もなく大きく聳え立つ木の前に連れてこられた。着いた瞬間ハニービーたちは解散して一体だけ残った。

 マップを見ると森のかなり奥に来ていた。

 道中遭遇したモンスターたちのレベルは20以上だったけど、ハニービーたちが追い払ってくれて戦わずに済んで体力を温存できたのはありがたい。


「ビー!」


 立ち止ってマップを見ていたからかハニービーが早く来るように自分の周りを飛んで急かしてくる。

 道を覚えていたかったけど後回しにしよう。


「どっち行けばいい?」


「ビー!」


 ハニービーが先を飛んで案内してくれるようだ。ついて行くと木に人一人が通れるぐらいの穴が出現してハニービーはそこに入っていった。

 中は暗いけど、モレルさんから借りたペンダントを使って視界を確保した。 

 そう言えば返し忘れていたな。今度会った時に返そう。

 足元気を付けながらに進んで行くと、木の中なのに上から太陽の光が差し込み、丁度いい暖かさに保たれた明るい場所に出た。


「ビー!」


 中央には色とりどりの花が咲いている場所にハニービーが飛んでいくと何かが起き上がった。

 見た目はハニービーと一緒だけど体長約二メートルぐらいあって、首元にはふさふさの毛みたいのが巻いていて、頭の上には王冠を乗せていた。

 名前はクイーンビー。蜂の女王か。レベルは25と結構高い。だけど……なんかぐったりしているような……

 俺と目が合ったクイーンビーは翅を動かし飛ぼうとするもすぐに地面に落ちる。よく見ると翅が一枚切れていてた。


「シュ!」


 頭の上にいたコガネが飛び降りてクイーンビーの下に歩いて行く。なにやら話しているようだけど何話しているか全然分かんない。完全に蚊帳の外だな。


「シュ」


 戻ってきたコガネは武器と一体になり俺は尋ねた。


「どうだったの?」


『クイーンビーの大事な卵が取られたんだって。それを取り返しに行ったら罠に嵌められて翅を失ったそうだよ』


「そのクイーンビーの卵を奪還するのを手伝えばいいんだな。どんなモンスターなの?」


『相手はクイーンアント。レベルはクイーンビーと同じ。他にもポーンアントやナイトアントなんてのもいるって』


 クイーンビーと同じレベルのモンスターから奪還するのか。難易度激ムズだけど、手伝うって言ったんだ。やるしかない。


「成功出来るか分かんないけど、やれるだけやってみるよ」


 そう言うとコガネはまた武器から分離して俺の頭に乗っかってくるとクイーンビーの所に行くよに足で指す。


「シュ!」


 コガネが鳴くとハニービーとクイーンビーは頷いた。


「ビー!」


 ハニービーが周りを飛び回り、俺が通ってきた道に飛んでいった。

 俺は急いでハニービーの後を追い駆ける。随分と森の中を歩くと地面に大きい穴が出来ている所に到着した。

 穴は意外と深くて全然底が見えない。


「コガネ、【共鳴】を頼む」


「シュ」


「それじゃ行ってくる」


 そうハニービーに言って俺は穴に飛び込んだ。

 飛び込んで直ぐ足元にワイヤーを展開して足場を作る。足場に俺が通れるぐらいの隙間を作り、ゆっくり下降していく。モンスターに見つからないように一応気配を遮断させておく。

 ようやく底に着いた俺はペンダントの明かりを頼りに辺りを見渡した。


「どっちに進めばいいんだ、これ……」


 四方八方に道が伸びている。マップを開いてみたけど表示されなかった。

 勘で行くしかないか。


「どっちに行こう……」


『ハルナ、あっちから音がするよ』


 耳を澄ますと鉄と鉄がぶつかる鋭い音が聞こえてくる。慎重に音がする方に進んで行くとだんだんと音は大きくなり、話声も聞こえてきた。

 俺は気付かれないように身を潜めた。


「グレン、今だ!」


「はああああ!」


 全身鎧装備の男性がかなり大きい体格の黒い蟻の姿したモンスター――ポーンアントを抑えていると、横から髪が赤く侍風な恰好した男性が攻撃してポーンアントを倒した。


「ファイアボール!!」


 二人の後方から高めの声がすると火の玉がポーンアントに向かって放たれた。

 火の玉はポーンアントに着弾すると、ポーンアントは燃え上がり消滅した。


「エレナの魔法便利だな」


「ふふん! 凄いでしょう!」


 侍風な恰好した男性が、魔法使いの恰好した女性を褒めると嬉しそうにしている。


「皆さん、今回復します」


 白いローブを着た女性が呪文を唱えると三人は淡い光に包まれて体力が回復していく。

 あれがパーティーでの戦い方か。凄いな。 ……ん?

 四人の頭上からパラパラと砂が落ちているの気が付いた俺は天井を見るとポーンアントが落下しようとしていた。


「【トランス・ソウルボウ】」


 特殊な革手袋から弓に変形させて、ソウルを大量に消費してポーンアントに向けて放った。

 レベル差のせいでほとんどダメージが入らなかったけど吹き飛ばしに成功。


「誰だ!」


 全身鎧装備の男性が声を荒げる。


「そんなことより早くそいつを!」


「ベオル、そいつの言うとおりだ。やるぞ」


「お、おう」


 侍風の恰好の男性と全身鎧装備の男性の連携でポーンアントはさくっと倒された。



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