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第206話

 コガネたちが卵に触れてもうんともすんともしない。触れるだけじゃダメなのかな。


「春名、俺そろそろいくよ」


「お、おう。あ、孵化装置俺が持っておくよ」


「あいよ」


 颯音から孵化装置を受け取った。


「そうだ。明日昼ぐらいに行くよ」


「了解。海都は……まだログインしていないな」


 プレイヤーカードで海都が居るか確認。後でいつ来るか聞いておこう。


「またな」


 颯音は手を振ってどこかに転移した。


『ハルナ、飽きたんだけど』


 コガネが飽きたと愚痴を漏らす。そのコガネの頭の上にヒガネが乗っている。


『ヒガネのレベル上げに行っていい?』


「そんな遠くに行かなければいいよ」


『はいはーい。行こうヒガネ』


『早く元の姿になりたいな』


「なんかあったらすぐ呼べよな」


 歩いて行く二体に言うとコガネとヒガネは一緒に同じ足を上げた。

 さて、次は何をするか……魔法をぶつけてみる? それか衝撃を与えてみるか? 決められた場所で一定時間置いとくだったら難しいな。

 そんなことを考えていたらいつの間にか他の子たちもこの空間で自由なことをし始めた。

 みんな飽きたんだな。


『主! 我らも行っても良いでしょうか!』


 ビートル隊の六体が俺の周り集まってくる。


「レベル上げか? 行っていいぞー気を付けるんだぞ」


『分かっております! 行くぞ!』


『『『おう!』』』


 ビートル隊は飛び去って行く。


「ハガネは行かなくてもいいのか?」


 俺の近くで滞空しているハガネに聞いてみたけど、頭を横に振った。


「あ、そうだ」


 俺はインベントリから琥珀石を取り出し、ハガネに見せる。


「この石に触れたら進化するけど、触ってみるか?」


 ハガネは琥珀石をグルグルと見て回り、俺の顔をじっと見つめてくる。


「えっと……何か、言ってほしんだけど……」


『……』


 ハガネはゆっくりと琥珀石に近づいて触れた。

 だけど、いくら待ってハガネが進化する様子はない。アインたちの時は触ったら進化したんだけどな。なんでだろう……

 レベル18で進化条件も分かっている状態だけど、レベルが足りないのか、一回進化しないと使えないのか……アインたちとは条件が違うのかもしれない。

 俺は琥珀石をインベントリに仕舞い、掌を差し出すとハガネは掌に乗る。案外重くないなんだな。


『ハルナ! 見てみて!』


 クモガネの方に顔を向けると氷像が作られていた。周囲に水はない。アオガネが出したのかな?

 アオガネの方を見ると照れながら頭をコクコクと頷いている。


「上手くできているんじゃ……あれ?」


 氷像を見ると何処かで見覚えがあるシルエットだった。

 クモガネが俺の肩に乗って言う。


『これ、ハルナだよ! 似てるでしょ?』


「え、これ……俺?」


 改めてみるとなんとなく俺に似ている?気がする……似ているのか?


『似てるかな? アオガネと協力して作ったんだ』


「そ、そうなんだ。ありがとなクモガネ、アオガネ」


『えへへ』


 嬉しそうな表情をするクモガネ。


『クモガネの無駄な才能』


『別に良いだろうアカガネ……って、アカガネは近づいちゃダメ!』


 アカガネが氷像に近づいたことで氷は凄い速さで溶け始め、傾きだし卵の上に倒れてしまう。


「アオガネ!」


『ま、任せて……!』


 アオガネは口から勢いよく水を出して氷像を吹き飛ばした。

 卵に倒れなくてよかった。俺は胸を撫でおろした。


『ぼ、僕の像が……ハルナが壊れた……』


「俺壊れてないからな、クモガネ!」


『ハルナ~……!』


 泣きながら胸に飛び込んでくるクモガネ。


『ご、ごめんねクモガネ……』


 クモガネはアカガネを睨む。


「アカガネもワザとじゃないんだから許してあげてくれよクモガネ。壊れたらまた作ればいいんだかさ。それに、次の作品も楽しみにしているよクモガネ」


 笑顔を向けて言うとクモガネはキラキラした瞳で返してくる。


『し、仕方ないな! 楽しみにしててね!』


 クモガネの気分は戻ったみたいだ。いつもより高い気がするけど。


『本当にごめんねクモガネ……』


『もう気にしてないから謝らないでアカガネ。今度は気を付けてね』


『うん、ありがとうクモガネ』


 アカガネとクモガネも仲直りしたし良かった良かった。


『ハ、ハルナ……』


 アオガネが小声で俺を呼ぶ。


「どうした?」


『た、卵が光ってる、よ……?』


 アオガネに言われ卵を見ると一つだけ光っていて、段々と光が強くなり、殻が割れる音がした。



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