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第193話

「ウィル!!」


 落ちて行くウィルに手を伸ばすけど、どんどんと距離が離れて行ってしまう。


『ハルナ、手を借りるよ!』


 コガネが一体化した球体が右手にくると、特殊な革手袋になりワイヤーが勝手に伸び、ウィルの体に纏わりつき引き寄せ受け止めた。


「怪我ないか?」


 そう聞くとウィルは頷き、俺は胸を撫で下ろした。


『『『主!』』』


 俺の後を追って穴に入ってアインたちが追いついてきた。

 ウィルに護衛を頼んだヒガネはハガネに掴まり戻ってくる。


『そろそろ地面よハルナ』


 全然先が見えない状況でクロガネから報告がくる。


「サンキュー、クロガネ。クモガネ、翅を展開してくれ」


『分かった』


『私もやる!』


 アカガネも翅を展開したく赤色と水色の球体が混ざり合い、赤と白の翅が地面に落ちる前に展開され無事に着地した。


「ここは……」


「春名!」


 暗くて視界が悪い空間を見渡していると颯音の声が聞こえてくる。

 俺は【蛍火】を発動して颯音の声がした方を照らすと颯音が手を振ってこっちに向かってきていた。


「颯音……なのか?」


「俺以外に見えるのか?」


「いや、だって……落ちた先に普通知り合い居たら疑うだろう?」


「あー……それは疑うな。まぁ安心して、俺は正真正銘の俺だから!」


 サムズアップする颯音。本人で間違いなさそうだな。


「てか、なんでこんなところにいるんだよ」


「春名より先に穴に落ちたんだよ。おかげで、ベオルさんとユリーナさんと逸れた。春名は……あ、その子がウィル君? だっけ?」


 俺の後ろで隠れているウィルに気づいた颯音はしゃがんだ。


「俺、颯音っていうんだ。よろしくな」


「ウィルっていいます。ハヤトさんは、ハルナさんの友達?」


「おう、親友だよ」


 颯音の言葉を聞いて俺は恥ずかしくなる。こいつ、平気で普通に言うよな。


「【蛍火】……」


 紛らわすために【蛍火】を使い暗い空間を照らす。

 俺たちが落ちた場所はかなり広い四角い部屋で、ドアが一つしかなかった。


「おお、本当に耳がある! なぁ触ってもいいか? あ、嫌だったらいいんだけど」


「え、ど、どうぞ……」


 颯音はゆっくりとウィルの頭をヒスイとギンを撫でるように撫でた。


『ねぇー、僕も遊んでよ』


「うわっ!? まだいたのかよ……さっさとどっか行けよな」


『えー遊んでよー』


 目の前に空中を漂っている半透明の少年が現れ、颯音とじゃれている。

 漂う幽霊? レベル高っ! モンスターなのこいつ?


『あんた誰?』


 幽霊の少年が睨んでくる。


「……ウォル? ウォルだ……よかった……やっと会えた……」


 ウィルの発言で俺と颯音は幽霊の少年に視線を向けた。


「よかった……」


『……じゃない……』


「ウォル?」


『僕はウォルじゃない!』


 幽霊の少年が叫ぶとバタンとドアが急に開き、船内なの強風が吹き込み幽霊の少年が出ていった。


「ウォル待って!」


 ウィルは幽霊の少年を追い駆けてしまった。


「春名、全く話が掴めないんだけど」


「大丈夫、俺も分かってないから。追いかけるぞ」


「お、おう」


「ヒガネとハガネ。悪いけど、一旦戻すぞ」


 ヒガネとハガネが頷き俺は二体を戻してからウィルの後を追った。


「おい! ウィル! ストップ!」


 ウィルは俺の声が届いていないのか止まろうとしない。


「春名! 白い手がくるよ!」


「こんな時に……! ビートル隊! 白い手を蹴散らせ!」


『『『お任せを!』』』


 色とりどりになったアインたちは白い手に突進していき倒していく。そのおかげで道が開けて俺たちは白い手の群れを通り抜けた。


「ウィル! 止まれ!」


 ウィルが部屋に入った途端にドアが閉まってしまった。


「くそ……!」


 ドアを押すがびくともしない。


「春名退いて! 【共鳴技・フルブブラストナックル】!」


 颯音は閉ざされたドアに強力な一撃を入れ、ドアごとぶっ壊した。


「ウィル無事か!?」


 部屋に入ると禍々しい雰囲気を放つローブを着た骸骨が佇んでいて、その近くに白い手で捕らわれているウィルがいた。


「死王リッチロード……ここでボスモンスターかよ……やるんだろう春名」


「ああ、やるしかない……!」


 俺は盾を構える。


「俺も攻めるから、自分のことは自分で守れよ」


「分かってるさ」 


 俺は念のためにボスモンスターと遭遇したことを全員にメッセージを送ってから佇んでいる死王リッチロードに突撃した。



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