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第191話

 モンスターに見つからないように、ウィル君の案内でウィル君たちが使っている部屋に来た。


「ウォル、居るの?」


 ボロボロの部屋からは返事は返ってこなかった。

 この惨状だとウィル君のご両親はもう……


「ウォル……どこにいるんだよ……」


 俺はウィル君の頭を撫でる。


「他のところも探そう」


「うん……」


 ここにくる間に他のメンバーにも頼んでみたけど、見つかったていうメッセージは来ていない。

 ウォル君ももしかしてしたら……いや、考えないでおこう。

 俺はウィル君の前で屈んで背中に乗るように促す。


「少し走るからしっかり掴まっていろよ」


「うん!」


 俺はウィル君をおんぶして船内をあてもなく駆け出した。


「ちっ、モンスターかよ……!」


 前方に腐った死体のモンスターのゾンビが現れて足を止める。そんなに近づいていないのに腐った臭いがここまでくる。


「アカガネ!」


『って臭い! なんなのこの臭い……』


「アカガネ! あいつらを燃やしてくれ!」


『わかった!』


 アカガネを翅を広げて羽ばたくと小さな蝶ような形をした炎を沢山作り、ゾンビを燃やし尽くす。アカガネのスキル【胡蝶炎】だ。ゾンビは火属性に弱いからな、あっという間に倒せた。


「凄い……! ハルナさんはモンスターを操れるの!」


「操ってないよ。力を貸してもらっているんだよ」


『ハルナは分かってないんだから』


「え? どういう……」


『先急いでいるんでしょ? 早くしないと』


「そうだった! 掴まっていろよ」


「う、うん!」


「アカガネ、付いてきてくれ」 


『わかった』


 ゾンビの素材を回収してから再び走り出す。



「ウォルー! どこにいるんだー!」 


「アカガネ!」


『任せて!』


 俺が走って、ウィル君がひたすらにウォル君の名前を叫びながら俺たちは移動している。

 ウォル君からの返事は一向にないかわりに、ゴーストやゾンビなどのモンスターが集まってきて、それをアカガネが倒していく。


「ハァ、ハァ……」


「ハルナさん大丈夫?」


「だ、大丈夫……だから、ウィルは続けてろ」


「う、うん。ウォルー!」


 さっきから走りっぱなしだからそろそろスタミナの限界だけど、ウィルが頑張っているんだ。俺も頑張らないと。


『ハルナ、足元!』


「え」


 足が急に動かなくなり俺は前のめりで倒れ込みそうになるが、アカガネが間に入ってくれた。


『ハルナ重い……』


「悪いアカガネ!」


 急いで退こうとするけど足が動ない。足に視線を送ると白い手が俺の足を掴んでいた。


「ハルナさん! モンスターが!」


 前と後ろからモンスターが近づいてくるのをウィルが伝てくる。


「出し惜しみなしだ」


 俺は全員を呼び出した。


「コガネとクモガネ、クロガネとアオガネは前方のモンスターを! ビートル隊は後方のモンスターを倒してくれ」


『仕方ないな』


『任せて』


『ふん』


『が、頑張ってみる……!』


『『『我らにお任せを!』』』


 コガネたちは迫りくるモンスターを次から次へと倒していく。


「ヒガネとハガネは俺の足を掴んでいる手を攻撃してくれ」


『任せなさい』


 ハガネは頷いた。

 ヒガネとハガネのおかげで白い手は消え去った。


『アカガネの上に乗っかるなんて、ハルナ最低……』


『シロガネ違うから、ハルナを責めないで』


『そうなの? まぁいいわ』


 シロガネは【治癒蜂兵】を召喚してアカガネの体力を回復する。


「ウィル、一旦退いてくれ」


「う、うん……」


 ウィルに降りてもらうアカガネの上から退けれた。


「アカガネ、ありがとな」


『どういたしまして』


 モンスターを倒し終えたコガネたちが戻ってくる。


「これ全部ハルナさんの仲間なの?」


「自慢の仲間だよ。よし、コガネとシロガネ、クモガネとアカガネ、アオガネとクロガネは【共鳴】を。ビートル隊は付いてきてくれ。ハガネとヒガネはウィルの護衛を頼む」


 コガネたちは頷きに配置についてくれる。


「ウィル、行くぞ」


「うん……え?」


 ウィルが歩いた瞬間、足元に穴が広がりウィルが落ちて行く。


「ウィル!!」


 俺はウィルの後を追って穴に飛び込んだ。



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