第182話
「ここ、は……」
見渡す限り草原が広がっているけど、潮の香もする。
海原エリアに転移したのか?
「ここはとある島じゃ」
「島? てことは、海原エリアに転移したのか……オピオさんって何者?」
「秘密じゃ」
それよりもとオピオさんが続ける。
「お主には探してもらいたいものがあるのじゃ」
「探し物ぐらいならお安い御用です。どこにあるんですか?」
オピオさんは地面を指差す。
「地中にあるんですか?」
「そうなんじゃ。結構深くにあるから儂じゃ無理なんだ」
「それぐらいなら。クロガネ」
俺はクロガネを呼び出す。
『……』
「そんな目で見ないでくれ」
クロガネは溜息をつく。
『今度はなに?』
「地中にあるのを探したいから【共鳴】してほしい」
クロガネは一段と深い溜息をつく。
『後でお願い聞いてもらうから』
「お、おう」
クロガネは黒い球体と一体になり、俺の右腕に巨大なドリルが装着された。
「オピオさん、探しているモノの特徴ってあり……ま、す?」
オピオさんの方に視線を向けると凄くキラキラした目で見てくる。
「今のはなんじゃなの? モンスターだったような……」
「あ、言ってませんでしたね。俺もモンスターをテイムしているんですよ」
「ほほう。初めてみるのう……他にもいるのかの?」
「居ますけど……見ます?」
「良いのかのう?」
「別に構わないですけど。あ、ここってモンスターって出ます?」
「モンスターかのう? それならあちらの方にいるぞ」
オピオさんが指さした方を見ると、モンスターがちらほら見える。
あのレベル帯なら大丈夫かな。
俺は全員を呼び出した。
「俺はこっちで作業をしているから自由にしててくれ、あっちの方にモンスターいるから戦うなら一人で挑むなよ」
『『はーい!』』
コガネ、シロガネ、ヒガネとアインたちビートル隊のメンバーがモンスターの方に行き、他のメンバーは俺の周りで残った。
「こんなにいるとは驚いたのう」
「自慢の仲間です」
「そうかの」
「オピオさん、話を戻しますけど探しているモノの特徴を教えてください」
「海のような青さの宝玉なんじゃが……」
オピオさんはジェスチャーをして大きさを教えてくれた。
サッカーボールぐらいの宝玉か。
「クロガネ、【鉱脈探知】で場所わかるか?」
『……変な場所があるみたい。そこなんじゃない?』
「変な場所? まぁそこ掘ってみるか」
巨大なドリルを回転させ地中を掘り進める。
――ガキン。
変な音がしてドリルを止める。
「これかな?」
周りの土を取り除き掘り出す。地上に戻った俺はオピオさんに見せる。
「おお、これじゃこれじゃ。感謝するぞハルナ」
オピオさんは宝玉を抱き抱える。
「それって何か聞いても?」
そう聞くとオピオさんはまた困った表情をする。聞かれたくない奴なんだな。
「聞いちゃまずいやつみたいですね。すみません、今のは忘れてください」
「すまんのう。それじゃあ報酬の進化の石じゃ」
オピオさんから三色の進化の石を受け取った。
「オピオさん、なんか他に手伝いすることありませんか? なんかこれだけじゃ……」
「うーん、そういわれてものう……これだけで十分だし、うーん……思いつかぬな」
「そうですか……オピオさんなんかあれば言ってくださいね」
「その時は遠慮なく頼もうかのう。それじゃあ帰るかのう。送っていこう」
「あ、大丈夫です。このまま拠点に戻るので」
「そうか、それじゃあの」
オピオさんは手を叩くと一瞬で姿を消した。
モンスターを倒していたメンバーも戻ってきたし拠点に戻ろう。コガネたちを全員戻してから、拠点に戻った。
「ドライ、フュン、ゼクス」
拠点に戻った俺は三体を呼び出す。
「おまたせ。好きなの選んでくれ」
三体は俺の掌の上にある進化の石をどれにするか話し合う。
決まったようで、ドライが黄緑色の金緑石、フュンが紅色の日長石、ゼクスが紫色の紫水石を選ぶ。
三体が同時に取ったせいで光が一段と眩しく背を向ける。
光が収まり振り返ると三体の姿が変わっていた。
ドライはウィードビートルに進化した。甲殻の色は茶色のままだが、体の所々に苔が生えている。胸部には二本の長い角が生えている姿。
フュンはサンビートルに進化して甲殻の色は白色に。角も頭部に一本と胸部に四本となり、中でも胸部の上の一対の角が大きく垂直に伸びている。また、頭部の角は緩やかに上にカーブしていた。
ゼクスはライザービートルに進化して甲殻の色が紫色に。頭部に長い角が一本と胸部に五本の角が生えている。アインたちの中じゃ角数が一番多いな。
無事に三体とも進化してよかったぜ。
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