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第165話

「ただいまー」


 玄関から聞こえる兄ちゃんの声で俺は瞼をゆっくりと開ける。

 ガチャっと自室のドアが開く音がして視線を向けると兄ちゃんが立っていた。


「春名、いたんなら明かりぐらい付けろ」


「兄ちゃん……お帰り……」


 俺は体を起こし大欠伸をした。


「寝ていたのか。もうすぐ夕飯なんだから、いい加減起きろよ」


「夕飯……?」


 外を見ると太陽は傾き始めているけど、まだ外は明るかった。


「もう夜の五時だぞ」


「……え」


 俺はスマホを取り画面を見ると十七時と表示されていて、颯音と海都からのメッセージが沢山来ていた。


「うわ……やっちゃたな……」


「どうした?」


「え、ううん。なんでもない」


 兄ちゃんは頭を傾げる。


「また夜中までゲームやってたんじゃないよな」


「そんなにはやってない。週一ぐらいだよ」


「それでも十分なんだよな……まぁ夏休み中は大目に見るけど、それで成績が下がるようなことがあったなら、没収だからな?」


「わかってるって」


「それならいいけど」


 そう言って兄ちゃんは部屋を出ていく。

 俺は送られてきたメッセージに目を通す。

 内容を纏めてると、先に行ってるからとのこと。

 二人に夕飯を済ましてから行くとメッセージを返信した。


「春名ー! 起きてるなら手伝えー!」


「はーい!」


 リビングから聞こえる兄ちゃんの声に返事してから、部屋を出る。

 兄ちゃんと夕飯を作り、一緒に食べて、風呂を済ましてから俺はログインした。

 ログインして直ぐに二人のプレイヤーカードを確認。うん、いるみたいだ。

 俺は二人にメッセージを飛ばすと直ぐに返ってきた。


『あ、やっと来た』


『おせーぞ春名!』


「悪い……今どこにいんの?」


『ルーシャさんの店で休んでるから早く来て』


「了解」


 俺は颯音のプレイヤーカードを選択して転移した。

 ルーシャさんのお店に転移して、テラス席に居る二人を見つける。


「遅れてすまん!」


 手を合わせて謝る。


「ここのお会計よろしくな」


 海都が渡してくる伝票を受け取って空いている椅子に座る。


「それで、どうなったんだ?」


 颯音が答える。


「インゴットならあるから代金を払ってくれるなら売っても良いって」


「水晶はない感じ?」


 海都が答える。


「今手持ちにないそうだ。火山エリアで取れるって聞いた」


「やっぱり火山エリアか、これから行く? 行くなら付き合うけど」


「モチのロンだ」


「んじゃ春名、会計よろしく」


「よろしく!」


「はいはい」


 伝票を持ってレジに向かい精算してから、お店を出る。

 そんなに急ぎでもないからのんびりと転移門に向かって歩いて行く。

 何かを思い出したのか颯音が尋ねてくる。


「春名、メニュー画面の拠点って何か装置を設置したの?」


「転移装置を設置したんだよ。街と拠点を行き来できるようになってるから後で試してみ」


「へぇー、後で試してみよう」


 海都が会話に混ざる。


「素材揃ってたのか?」


「いや、組合所で金払って買った。あ、そうだ。二人に言うことがあったんだ」


「なんだよ」


「モレルさんとルーシャさんもクランに入ったから」


「そうなんだ。これで五人か~。グレンさんたちも誘いたいね」


「誘いたいけど、あの四人でクラン作ってそうだからな」


「あー確かに」


 そんな会話をしていると転移門前に到着。門を潜って火山エリアに行く。

 火山エリアに付いて早々、武具店に行き、装備投影して暑さ対策をする。まぁそれでも暑いんだけどね。無いよりかはマシだ。


「で、どこ行けばいいんだ?」


 海都に聞くと手元を操作しだす。


「アトラさんに教えて貰った山があるのはあっちだな」


「よし、じゃあ向かいますか」


「歩いて行くの時間かかるし、飛んでいかない?」


 颯音が面倒くさい提案する。


「いやだ。このエリアじゃクモガネが力を発揮することが出来ないから二人も抱えては飛べない」


「クモガネの共鳴って白い翅でしょ? シーサーペントの時に使ってた赤と白の翅も使えないの?」


「あー……あれはアカガネとクモガネの共鳴だから使えるかわかんね」


「アカガネでも無理なの?」


「アカガネならこの暑さでも平気だけど、アカガネとの共鳴……早いんだよな~。簡単に説明するとジェットエンジンなんだよ。だから、かなりのスピードが出るから二人を抱えての制御は出来ない。高所から落ちてもいいなら……」


「遠慮する! ほら、行くぞ二人とも!」


 即答した颯音は歩き出す。絶叫系苦手だもんな。

 俺はアカガネを呼び出した。

 キョロキョロと周りを見るアカガネが言う。


『私だけ?』


「あとで、みんなを呼び出すよ。アカガネ、【共鳴】だ」


『うん!』


 アカガネは黒い球体と一体化して、ジェットエンジン見たいな機械の翅を展開した。

 そのまま、俺は颯音の腰に腕を回す。


「春名?!」


「海都、マップの情報を送って。あっちに着いてから転移すれば早いと思う」


「はいよ」


 海都から目的地の情報を送られてくる。


「俺じゃなくても良くない!?」


「颯音の方が面白い反応するから、俺はパス」


「海都の裏切り者!!」


「ほら、行くぞー」


「嫌だああああああ!!」


 一気に上昇して、目的地に向かう。

 到着するまで颯音は絶叫していた。





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