第155話
颯音が見つけた宝箱は金色の宝箱だった。
これは期待してもいいだろう。
「開けるぞー」
俺は宝箱の蓋に手をかけ押すと、蓋はゆっくり開ける。
「「「おおおお!」」」
宝箱の中には金色に輝く硬貨が沢山詰まっていた。
「いくらあるんだろう……」
「山分けにするか?」
「いや、春名が持ってた方がいいだろう。颯音もそれでいいだろう?」
「おう!」
「じゃ俺が持ってるよ」
俺は硬貨に触れ所持金に入れる。
「おお、すっげぇ大金。なんか必要なときは言ってくれよ」
「そう言われてもな……特に欲しいものないからなぁ~」
「俺も……ないかな? あ、拠点改造に使えばいいんじゃね?」
「使い道はおいおい考えよう。それよりも……」
硬貨を回収したら底の方に青い色の卵が置いてある。
調べてみるとブルードラゴンの卵と判明した。
「マジか! よっしゃよしゃああ!」
海都は嬉しそうに拳を掲げている。
「リヴァイアサンだからワンチャンドロップするかなと思ってたからよかったな」
「え、リヴァイアサンってドラゴンなの? 海蛇かと思ってたぜ」
「海蛇って……ゲームとかあんましない方だっけ?」
「ゲームはするけど、大体がシューティング系だ」
「そうなんだ。それじゃ知らなくても無理ないか」
海都は宝箱の中にある卵をそっと抱き上げた。
「この卵、俺が回収していいか?」
「おう」
「よかったな海都」
「ありがとな二人とも」
「あとは孵化させれば仲間に出来るぞ」
「孵化……どうやんの?」
「話の続きは島に戻ってからだ」
俺たちは部屋の奥にある魔法陣に乗りダンジョンの外に出た。
「「「ん?!」」」
俺たちはダンジョンの入り口の前に飛ばされ、慌てて水中呼吸機を取り出して咥えた。
ダンジョンの入り口がどんどん小さくなっていく。俺たちがクリアしたことでダンジョンが消滅したんだな。
俺は二人に合図を送り浮上する。
海面に出た俺は眩しく輝く太陽の日差しに目を細める。
「うおっ、アオガネか。びっくりした……」
急に体が浮き上がったと思ったら【共鳴】を解除したアオガネが俺を背に乗せてくれた。
『ハ、ハルナ……さっきの僕……』
雰囲気と口調が元通りになったアオガネ。
『へ、変……だった……?』
俺はアオガネの背中を撫でながら言う。
「最高だったぜアオガネ」
『あ、ありがとうハルナ……』
少し照れている様子のアオガネ。
「俺たちも乗せてくれ」
颯音と海都もアオガネに掴まり背中に乗る。
「アオガネ、島に向かってくれ」
『うん……』
アオガネはゆっくりと島に向かう。
のんびりと景色を眺めていると颯音が話しかけてくる。
「アオガネ進化したね。春名のテイムした中では一番大きいんじゃない?」
「その次がコガネかな。まぁ進化したらどうなるか知らないけど」
寝そべっていた海都が体を起こす。
「なぁ、孵化の方法」
「ん? ああ、孵化させるには孵化させる機械が必要なんだ」
「へぇー、そんなのあるんだな。持ってんのか?」
「持ってない。友人が持ってるから借りる予定」
「そうなんだ」
そんな会話をしているとようやく俺たちの拠点がある島に辿り着く。
島に着くと、コガネたちは【共鳴】を解除する。
俺はコガネたちに労いの言葉をかける。
「みんな、お疲れ様。今回はありがとな」
『ハルナ、ご褒美は?』
コガネが褒美がないか聞いてくる。
「悪い……今はないんだ。次ログインするときでもいいか?」
『約束よ?』
シロガネが足を出してくる。俺は足を握って指切りみたいなことをする。
「じゃあ戻すぞ」
俺はコガネたちを戻す。
「なんか疲れた……」
「もう夜中の三時か。大分やったんだな」
「そうだね。なんか疲れたから俺はログアウトするよ」
「俺もする。春名も?」
「おう」
船をインベントリに仕舞ってからログアウトする。
ヘッドギアを外した俺は起き上がる。
「なんか腹減った。海都、なんかある?」
「菓子ぐらいしかないけど……」
海都がそう言うとタイミングよくドアがノックされた。
「お夜食をお持ちいたしました」
タイミング良すぎて俺は若干恐怖を感じた。
海都はベッドから降り、ドアを開け夜食を受け取り、ドアを閉める。
海都は夜食をテーブルの上に置く。
俺と颯音は布団から立ち上がりテーブルに集まる。
「美味しそう、頂きます!」
「海都、失礼だと思うけど……なんかタイミング良すぎて怖いんだけど……」
「あー……昔からあんな感じだからな……ま、まぁ冷めないうちに食べようぜ」
「そうなんだ……頂きます」
俺たちは出来立てほかほかの夜食を食べ、適当に駄弁ってから眠りに就いた。
次回の更新は3/15に予定しております。