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第145話

 ――トントン。

 ドアがノックされ、開くとメイドの人たちがどんどんと料理を運んでくる。

 俺たちは勉強道具を片付けて料理をテーブルの上に並べて貰った。


「それではごゆっくりお召し上がりください」


 男性がお辞儀をするとメイドもお辞儀して部屋を出ていく。


「なんか大変だな海都」


「普通に運んでくれって言ったのに……」


 海都はため息をつく。


「まぁいいや、早く食おう。颯音が限界のようだし」


 颯音の方を見ると、颯音はキラキラした目で料理を見つめていた。

 そして、颯音からお腹の音が聞こえてくる。

 俺と海都は笑った。


「二人とも笑うことないじゃん……」


「わりぃわりぃ……っぷ」


「春名っ!」


 俺は笑い堪えきれずに吹き出してしまう。

 颯音は少し涙目にながら怒鳴る。


「ほら、早く食おうぜ……くっ……」


「海都まで! もう知らない!」


 颯音は怒りながらも箸を取りステーキを食べた。


「うんまっ! なにこのお肉……!」


 余程美味しかったのか颯音の箸が進む。

 俺と海都も少し遅れて食事を始めた。

 颯音が絶賛したステーキを俺も食べる。うん、美味い。前に兄ちゃんに連れていってもらった高級レストランを思い出すな。

 食事進めていると海都は箸を置く。


「な、今日泊まっていかないか? この後やるとしたら確実に夜遅くなってしまうし、夜遅くに送るのも危険だ」


「それもそうだけど、兄ちゃんの許可が出たらかな。まぁでも寝間着ないんだよな」


「俺も同じかな」


「寝間着なら来客用のがあるから大丈夫だ」


「へぇー。なら、連絡してみるよ」


「俺もしてみる」


 俺は兄ちゃんに、颯音は母親の連絡して確認した。


「うん、分かった。おやすみ」


「どうだった?」


 通話を終わらせると海都が尋ねてくる。


「いいってさ」


「そうか。颯音は?」


「こっちも大丈夫だよ」


「おお、そうか。これで心置きなくゲームがやれるな。そうと決まればこれ食べたら風呂に入ろう。それからゲームだ」


「はいはい」


「おう!」


 俺たちは食事を終わらせて風呂場に行く。


「風呂っていうか銭湯じゃん!」


 颯音のツッコミが反響する。

 颯音が言った通り海都の家の風呂場すっげぇ広かった。


「これ何人用?」


「……さ、入ろう」


 海都に尋ねるとはぐらかされてしまった。 

 のんびりと湯舟に浸かり、来客用の寝間着に着替えて部屋に戻った。

 部屋に戻ると俺たち用にふかふかの布団が敷かれていた。ふわふわだ。俺たちが風呂に行っている間にしたのか。

 布団の上に腰を下ろした颯音はスマホを見ながら言う。


「アップデート内容が来てるよ」


 俺と海都もアップデート内容を確認した。

 アップデート内容は全部で四つ。

 一つ目は各エリアの拡張とモンスターの種類を追加、ダンジョンの生成率を上昇。

 ダンジョンの生成率がどれぐらい上がるのか分からないけど、全然見かけないし良いと思う。

 二つ目はクラン設立。各エリアの街にある組合所に申請後、必要な費用を払えば出来るようになる。クランは三人以上からという条件付き。

 俺と颯音と海都は確定だから行けるな。

 三つ目は上位職への転職。転職条件はプレイヤーカードのジョブ欄を見れば条件が記載している。

 条件が揃えば組合所にて転職が出来るそうだ。

 四つ目は鍵の使用方法だ。各エリアの何処かにあるハウスというオブジェクトの鍵穴に鍵を挿せば、色々とカスタムが出来る自宅になる。

 鍵を二本以上の所持している場合はクランの拠点にすることができ、家をアップグレードすることも可能だそうだ。

 鍵はダンジョンで入手できるみたい。ダンジョンの生成率を上昇させたのはこれのためか。


「自宅かぁ。颯音も持ってるからクランの拠点にもできるな」


「ハウス……ハウス……あ、あの家じゃない? 春名」


「あの家?」


 俺は頭を傾げる。


「海原エリアでポツンと小さい島の上に設置されていた家だよ」


「あ、あれか!」


「多分、あれがハウスなんじゃない? 今度確かめてみようよ」


「そうだな」


「ハウスの見当がついているのか?」


 静かに聞いていた海都が話に入る。


「一応な」


「となると……まずは上位職になれるか確認したあと組合所に行ってクランを設立。その後にそのハウスに行く流れかな」


「それでいいぜ。てか、やっぱ海都がリーダーをやれよ! そこまで考えているならさ!」


「断る!」


「即答!? 学校でも坊ちゃんで呼ぶぞ! 海都坊ちゃん!」


「そこには触れんなよ!」


「二人とも! 落ち着いて! もう俺がリーダーやるからさ!」


 険悪な状況に颯音が仲介に入る。


「え、マジで? ラッキー! じゃあよろしく颯音!」


「颯音なら任せられるな。よろしく颯音」


「ああああ! 俺を騙したなあっ!」


 俺たちは周りを気にせずに騒いだ。

 騒ぎ疲れた俺たちはそれぞれの寝床で横になる。


「そろそろログインしようよ、春名、海都」


「「賛成」」


 それぞれヘッドギアを準備してアプデ後のゲームにログインした。



次回の更新は2/24に予定しております。

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