第14話
「お、終わった……」
ようやく終わったことに安心した俺は地面にへたり込んだ。
モレルさんの一撃で大量のゴブリンたちは消滅して素材が大量に散乱していた。
「ハルナ君怪我大丈夫!?」
「疲れたけど、大丈夫ですよ」
「よかった……」
モレルさんは胸をなでおろす。
「ごめんねハルナ君。まさか、こんなことが起きるなんて……」
「気にしなくていいですよ。新しい装備の性能も試したかったし丁度良かったです。それに、レベルも大きく上がりましたし結果オーライです」
ステータスを確認したらレベルが8まで上がっていた。
3も上がったおかげでSPが[6]も纏まって手に入ったのは嬉しい。
「それよりも、この散乱した素材どうしましょう。このダンジョン見つけたのモレルさんとその友達の方ですし、俺は辞退しますよ」
「それはダメ!」
顔を近づけて否定するモレルさん。
「今回は迷惑かけちゃったから全部あげる」
「いや、流石に全部は……ぶ、分割にしません?」
急いで素材を集めた俺は半分にしてから、少しだけ多めにモレルさんに渡した。
モレルさんは納得してなさそうな顔をしているけど渋々受け取ってくれた。
「モレルさん、俺ダンジョン初めてなんですけど、何処か休める場所ってありますか? 休息ついでにSPも振りたいので」
「え、あー……確か、友達の話だとダンジョンボスの手前にモンスターが寄ってこない場所があるって聞いたよ」
「そこまで行きますか。モレルさんは砲撃をなるべく使わないでくださいね。なんとか俺とコガネで対処します。コガネ!」
コガネを呼び出すと鼻提灯を膨らませ寝ていた。
鼻提灯を突っついて割るとコガネは目を覚ます。俺はそっと抱き上げた。
「シュ?」
「そろそろ行くよ」
そう言うとコガネはお腹を足でさすりだす。お腹空いているようだな。
インベントリから余った串焼きを食べさせた。
すると、後ろから変な音が聞こえ顔を向けるとモレルさんがお腹を押さえ赤面していた。
「えっと……食べます?」
「う、うん……あ、でも休息所に着いてからでお願いします……」
元気になったコガネを頭に乗せ俺達は警戒しながら洞窟の奥に進む。
装備の効果を使って気配を遮断して先行するけどもモンスターがいない。
まさか、さっきのでダンジョン内のモンスター全滅したとか?
「全然モンスターいないね」
「そうですね。まぁでも警戒は怠らないように進みましょう」
「うん」
しばらく進んで行くもやっぱりモンスターに遭遇することなく開けた所に出る。中央にはひし形のエメラルド色の浮いている物体があった。
触れてみると淡い光が広がりだす。すると、目の前にウィンドウ画面が現れてそこには「モンスター不可侵領域」と書かれていた。
モンスター不可侵領域ってことはモンスターが入ってこないってことか。モレルさんが言ってたのここだな。
「目的地に着いたみたいですね」
モレルさんに話しかけるとまたお腹の音が鳴って俺は笑いを堪えた。
「はい、モレルさん」
俺はインベントリから串焼きを取り出してモレルさんに渡す。
「あ、ありがとう……」
モレルさんが受け取ろうと手を伸ばすと、タイミング悪くお腹の音が鳴り俺は笑ってしまった。
怒った表情で受け取ったモレルさんは俺から大分距離を取って座り食べ始める。怒らせちゃったな……謝りに行こう。
モレルさんは俺が近づくと背を向けて座り直す。相当怒っているようだ。
俺は頭を下げて謝った。
「モレルさんさっきはごめんなさい」
「……」
モレルさんは隣に座るよう手でジェスチャーする。俺は素直に従って隣に正座で座ったら肩に頭を乗せるモレルさん。
「……次は怒るからね」
「はい……気を付けます」
「分かればよろしい!」
モレルさんの機嫌も直って俺はSP振りを始める。何故だかモレルさんは頭を退けようとしない様子。まぁ気にしないけど。
今SPは[6]もある。選びたい放題だけど今回は【プロテクト】と【バリア】に振ろう。
どっちも[3]ずつ振ると新しいスキル【ラウンドシールド】が使えるようになった。
【ラウンドシールド】は自分を中心とした小範囲の物理攻撃、魔法攻撃を防いでくれる。防げる回数は自身の防御力と魔法防御力に依存する。
相手の攻撃よりも俺の方が防御力、魔法防御力が高ければ防げる回数は増えるってことだよな。
相手のステータスが見られないから使いどころが難しいけど、まぁよさげなスキルが手に入ったしいいか。
ついでにコガネのステータスも見ておこう。レベルは9。俺より高いのはまぁ仕方ないとして新しいスキルは覚えていないようだな。
進化の条件も解放されていないし、早くお前の進化するところを見てみたい。
大分休息を取った俺達は奥に進み、大きな扉の前に到着。この奥にダンジョンボスがいる。扉に手をかざすとゆっくりと開いていきダンジョンボスの姿を見せる。