第137話
ディオガさんたちは触手の攻撃をかいくぐって島に降りることが出来たが、触手の攻撃が更に激しくなった。
「ユラン! バフを頼む!」
「任せて~」
ユランさんは呪文を素早く唱えるとディオガさんたちは光に包まれる。
ユランさんのバフのおかげなのか全員の動きがさっきより良くなっている。おかげで触手の攻撃に対応できている。凄いな。
「クルルンはそのままユランの護衛を」
「分かりました」
クルルンさんは札をみたいなのを取り出してユランさんと自身を囲うように結界を作る。
クルルンさん、面白い武器を選んでいるな。
「アレン! 行けるかい!」
「勿論すよ! フリッジ!」
「【共鳴技・フルバースト】!」
アレンさんはインベントリから大量の重火器を呼び出し、カウボーイの姿をした女性は二丁拳銃を構えると、二丁拳銃が姿を変えロケットランチャーみたいな姿になりアレンさんと一緒に一斉に発射して、触手を焼き払った。すっげぇ……!
「ギン! 私たちも行くよ!」
「行くでござるぞブレス殿!」
「【共鳴技・風神剣舞】!」
大きい杖を持った褐色の女性から凄い勢いで風が吹き荒れ、忍者の姿をした男性が風に乗り次々と触手を切り刻んでいく。
道が出来るとディオガさんとトオルさん、大鎌を持った女性と箒に跨った女性が後を追いかける。
先ほどの四人の攻撃で道が出来たけど、徐々に触手が戻っていく。
すると、二人の女性はディオガさんとトオルさんの前に出た。
「ラン。時間を稼いで」
「任せてお姉ちゃん!」
箒に跨った女性は指揮棒みたいな棒を振るうと空から沢山の隕石が落ちてくる。
俺は当たらないように避けた。
視線を戻すと、大鎌を持った女性の大鎌が目を見開くほどの大きさまでになっていた。
横に大きく薙ぎ払い道を確保した。
すかさず、ディオガさんとトオルさんが一気に駆け抜けて島の中心にある巨大な触手に近づく。
「ディオガ! やるぞっ!」
「この一撃で決める!」
ディオガさんは白い光を放つ剣を掲げ、トオルさんは黒い光を放つ大剣を掲げると二本の剣が重なり天まで届く巨大な剣になる。
「【共鳴技・デュアルブレード】!!」
二人は剣を振り降ろすと、巨大な触手はゆらゆらと動き鞭のようにしならせ攻撃をしようとする。
「「はああああああっ!」」
二人の剣が巨大な触手を縦に真っ二つに一刀両断。倒された巨大な触手が消えると周囲の触手も一斉に消え失せた。
満身創痍のディオガさんたちは地面に座り込み勝利をかみしめていた。
無事に見届けたし俺も帰ろう。
「ハルナ~! いるんだろう~!」
グレンさん経由で転移して帰ろうとしたら大の字で横たわっているトオルさんが俺のことを呼ぶ。
見えていないはずなんだけど……
「お、やっぱりいた」
ディオガさんが立ち上がる。よろめきそうになり急いで支えた。
「すまない。街に戻っていなかったんだな」
「みんなの戦いを見守りたくて」
「バッチリ、最後サポートしただろう? 一瞬動きが止まったぞ、あいつの」
「あ……そこもばれてましたか」
二人の共鳴技が振り下ろされるとき、俺はコガネとの共鳴技で巨大な触手の動きを妨害したのだ。
圧倒的な力で一瞬しか止められなかったけど。
「そうだったのか、助かった」
「ほんの少しだけだったんですけど、二人の助けになれたならよかったです」
「ハルナ、こっちも手を貸してくれ」
寝そべっているトオルさんが手を伸ばしてくる。
俺は溜息をついて、トオルさんの手を掴み立ち上がらせた。
「サンキュー。で、ディオガ。帰りどうするんだ? アレンの気球は使えないし」
「すでに連絡してある、迎えの船が来るまで待ってろ」
「あ、それなら俺の船で帰ります? 多分、全員乗れるかと」
「それじゃ俺はハルナの方に乗っていくわ」
「私たちも乗る」
大鎌を持ってた女性と隕石を振らせた女性も手を上げる。よく見ると顔がそっくりだ。
他の人たちも待ってられないのか俺の船に乗ることになった。
「ディオガさんも乗ります?」
「そうしよう」
「分かりました」
俺はインベントリから船を取り出した。
ぞろぞろと船に乗り組んで行くディオガさんたち。
船の操縦はアレンさんがやるとの事で任せた。
賑わっていた船内だったが程よい揺れと疲れによるのか一人ずつ眠りついていく。
お疲れさまでした、着くまでゆっくり休んでください。
俺は静かに船内から平和になった海原を眺めた。
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