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第136話

 海面のいたるところから触手が出てくねくねさせている。

 時折、モンスターが逃げているが直ぐに触手に捕らわれて倒されてしまっている。

 もう災害級じゃねか。あの時にアオガネをテイムしててよかった。


「モンスター反応! 何かが来ます」


 籠の方から誰かが叫んだ。

 直ぐに前方の方から大量のカモメの見た目をしたモンスターが飛んでくるのが視界に入る。

 レベルはほとんどが30ぐらい。ディオガさんたちは島に着いてからが本番だ。


「直ぐに迎撃を――」


「ディオガさん!」


 指示だしをするディオガさんを呼ぶ。


「なんだー!」


「ここは俺がやるんで皆さんは温存しててくださいー! やばくなったらヘルプをお願いします!」


「お、おい!」


 シロガネたちに止まるよう指示を出して気球の前に出る。


「クモガネ、行くよ」


『いつでもいいよ』


「【共鳴技・フロストウィング】」


 周囲の温度が一気に下がり体のあちこちが凍り付く。

 水魔法の使用回数を全て使い、大量の水を生成して凍らせ、氷の弾丸を迫り来るモンスターたちに浴びせた。

 体力が半分になる前にどうにかモンスターたちは一掃することができたな。

 共鳴技を終わらせた俺は後ろにいるディオガさんに向く。

 ディオガさんを含め、みんな目を見開いてた。

 あ、トオルさんだけ目がキラキラしている。これは面倒くさいことになりそうだ。


「ディオガさん、もうモンスターの反応ありませんか?」


「え、あ……」


 ディオガさんは小柄な女性に視線を向けると、女性は頷き返した。


「そのようだ……」


「わかりました。それじゃ再開しますね」


「おい、ハルナ! 帰ったら絶対やろうぜ!」


「……」


 俺はトオルさんに笑顔を向けて俺は持ち場に戻る。


『ハルナ、回復いる?』


「お願いするよシロガネ」


 シロガネから甘い香りがすると体力が回復していく。


「サンキュー、シロガネ」


 シロガネの頭を撫でる。俺が離れている間、しっかり持っててくれている他の子たちも順番に頭を撫でて持ち場に戻った。


「見えてきたぞ!」


 しばらく進むと海面からの触手の数が増えてきた気がする。


「見えてきたぞ!」


 ディオガさんが叫んで伝えてくれた。

 前方に俺たちが行った島よりも大きい島が見えてくる。その中心から特大の触手が出現しているという異様な光景だ。

 今からディオガさんたちはあれを攻略するか。

 ディオガさんたちは全員カンストはしていると聞いている。大丈夫だと思うけど少し心配だ。

 そんなことを考えていると、触手たちが動きが激しくなり俺たちの気球目指して伸びてきた。


「みんな! 上昇だ!」


 急いでシロガネたちに指示を出して触手が届かなそうな高さまで上昇させる。


「ハルナ! 前に進んでくれ!」


「わかりました!」


 トオルさんに言われ気球を前進させることにした。


「みんな頑張ってくれ!」


 シロガネたちに激励をする。

 島まではもうすぐだけど、触手の攻撃が思った以上に激しい。


『あ、主……!』


『もう、限界……』


 アインたちの体力が限界のようで徐々に気球が下がっている。

 体力が尽きたツヴァイとフィーアが縄を離して落ちていく。


「シロガネ! アカガネ! 頼む!」


 二体は縄を離してツヴァイとフィーアの元に飛んでいった。


「クモガネ、気合い入れろよ」


『わかった!』


「【共鳴技・フロストウィング】」


 共鳴技を使い翅を最大まで広げてからアインとドライ、フュンとゼクスを戻す。

 落下したツヴァイとフィーアを回収したシロガネとアカガネも戻して、一人で気球を引っ張っていく。


「もう十分だハルナ」


 俺が気付かない間にトオルさんは俺の隣に来ていた。不安定な足場にも関わらず、トオルさんは黒い大剣を構え、振り下ろすと迫ってくる触手が真っ二つになった。


「お前ら! さっさと降りろ!」


 籠から次々とディオガさんたちが飛び降りていく。


「ご苦労さん」


 気球の上で座るトオルさんは俺に労いの言葉をかける。

 無我夢中で飛んでいたけど、いつの間にか島の上空にいたのか。

 俺は気球の上にへたり込む。


「疲れた……」


「頑張ったご褒美だ。好きな色を一つ持っていきな」


「……いいんですか?」


「帰ったら戦ってもらうけどな?」


「やっぱりか。分かりました」


「おお、それは楽しみだな」


 トオルさんから緑色の石――翠玉石を貰った。


「トオルさん、気を付けて」


「おう!」


 駆け出したトオルさんは気球から飛び降りた。

 俺はシロガネを呼び出した。


『また使ったの?』


 そう言ってシロガネは俺の減った体力を回復してくれた。

 みんなが居なくなって軽くなったな。

 俺は共鳴技を解いた。


『もう帰るの?』


 クモガネが尋ねてくる。

 地上では激しい戦闘が繰り広げている。

 このまま帰ってもいいけど、カンストしている人たちの戦いはなかなか見れないし、しばらく見ていよかな。転移で直ぐに戻れるしね。


「しばらくはいるよ。あ、この気球はどうしよう……」


 試しにインベントリに仕舞えるか試したけど無理だった。

 悩んでいると気球は段々と小さくなって落下していった。持ち主のアレンさんから離れると小さくなる仕掛けかな。

 俺は気配を遮断してディオガさんたちの戦いを見守ることにした。


次回の更新は2/3を予定しております。

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